【開催報告】7/14 NPOと行政の対話フォーラム’17


2017年7月14日(金)、かながわ県民センターにて、「NPOと行政の対話フォーラム’17」を開催しました。その概要をご紹介します。

■ 鼎談 市民社会とコミュニティ ~出会いと共振による地域づくり~

【登壇者】
西川 正さん(ハンズオン埼玉理事)
松原正城さん(奈良県下市町地域づくり推進課主査)
萩原なつ子(日本NPOセンター副代表理事)

萩原が質問するかたちで、それぞれ行政とNPOの立場でユニークな取り組みをされているお二人にお話をうかがいました。
松原さんからは地元・奈良県下市町の地域コミュニティの参加についてのお話。ご紹介いただいたのは、過疎化・高齢化がすすむ難しい状況に対し、地域交流やコミュニティなどの新しい課題をめぐって実施された「下市町『元気印集落』事業」。地域を維持するには、行政だけではなく専門性を持つNPOとの連携が成功のカギになりそうです。forum2017_opening
西川さんからはNPOが進める地域コミュニティとの関係づくりについて紹介。まちづくりという目標の下、住民同士のコミュニケーションを生みだす関係づくりが、新しい人たちとの出会いや学び合う環境の提供につながること、そして住民自らが動くことで分かち合いの場ができていくことを分かりやすく語っていただきました。近代化が進むにつれて希薄になった住民同士のコミュニケーションをめぐり、NPOがどのような役割を担っていくのか。参加者の皆さんもうなずきながら聴いていました。

ほかにも、熱い議論の中でさまざまな意見が飛び交いました。ここではキーワードをいくつかご紹介します。
・行政は住民の思いをコーディネートし、住民全員に情報を共有すること。それにより地域全体のまちづくりに努める。
・行政と住民の中間的な存在である観光協会や地域づくりコーディネーター、NPOなどが求められている。
・NPOは「住民のために」ではなく、「住民とともに」動く組織。
・NPOの特性は、「参加のデザインにかかわる専門性」と「協働のデザインにかかわる専
門性」に集約されるのではないか。
・行政とNPO、地域コミュニティや地域住民がそれぞれの特性を生かしてかかわることが大切。無理なく楽しんでできることを課題とするのがよい。
・行政とNPOが協力して地域づくりの活動に取り組むこと。そこから新たな目標・取り組みが生まれる。

■ セッション1 災害と地域コミュニティの再生を考える

【登壇者】
横田能洋さん(茨城NPOセンター・コモンズ代表理事)
飯塚正広さん(つながりデザインセンター・あすと長町代表理事)
【聞き手】
田尻佳史(日本NPOセンター特任理事)

「災害発生後にNPOと地域コミュニティ、行政はどのように連携できるのだろう?」
「災害発生に備えたNPOと地域コミュニティ、行政のネットワークの構築とは?」

forum2017_session1 災害を切り口に、地域とNPOの関係について事例紹介やワークを実施したのが、このセッション。
はじめに、横田さんが2015年の東北豪雨災害の際に、常総地域で取りくんだ被災者支援活動について報告しました。行政や社会福祉協議会等との連携、地域のNPO同士が強みを生かすためのネットワークづくり、そして支援者と被災者をつなぐ取り組みなど、臨場感がある紹介でした。そして、在宅被災者への支援の必要性や情報を伝える人のつながりの大切さ、空き家の修復や炊き出しを通じた「心の復興」、ことばの壁を越えた在留外国人や離散者をつなぐ活動など、経験にもとづいた大切なポイントも参加者の皆さんに共有されました。
飯塚さんからは、東日本大震災発生後の仙台市あすと長町地区の活動を紹介。仮設住宅や災害公営住宅の地域コミュニティをつくっていく取り組み、仮設住宅の自治会による共助コミュニティの維持、そして署名運動などを経て災害公益住宅の80世帯の継承という成果など、行政や地域病院などと連携した地域づくりが紹介されました。ここでもキーワードとなったのは「心の復興」でした。
会場からの質問などにも出て関心が高かった分野は、「災害ボランティアセンターで受けられないニーズのコーディネート体制」「仮設住宅でのトラブルや大学などからの支援」「発災時の行政への期待」などでした。
まとめとして、登壇者からは次のような発言がありました。
「日頃から、災害を想定したつながりが発災時の対応能力を向上させることが大切」
「発災を機にコミュニティなどをつなぎ直すこと」
「災害への備えは、共通項としてNPOと自治会等をつなぐ取り組みになり得る」

■ セッション2 持続可能な地域づくりを考える

【登壇者】
馬袋真紀さん(兵庫県朝来市市長公室あさご暮らし応援課あさご人財創生係長)
吉原明香さん(市民セクターよこはま理事・事務局長)
【聞き手】
田尻佳史(日本NPOセンター特任理事)

このセッションでは、高齢化や人口減少など、都市と地方に共通する課題の解決に向けて取り組んでいる2つの地域の事例を紹介。論点になったのは次の2点でした。

「地方と都市部の社会課題解決に向けた共通点、相違点とは?」
「持続可能な地域づくり・まちづくりを推進する上での行政やNPOの役割と関わり方とは?」

はじめに、馬袋さんが過疎地域における地域おこしの取り組みを紹介。話の中で多く取り上げていたのは若者の取り込みについて。早い段階で、「自分たちがしたいことをしやすくする地域づくり」を意識しているとのことです。forum2017_session2
続いて、地域で活躍するリーダーを養成する講座「よこはま地域づくり大学校」について吉原さんから紹介。地域の一線に立つまでの期間短縮を目指しており、卒業後は30人のうち5~6名ほどが講師として活躍するようになるそうです。
質疑応答では、以下のようなキーワードが出てきました。

・組織が動くことにより地域の人が何かしらの形で関わるようになる。
・地縁組織の姿はいままでの地縁組織とは異なる。
・自治会は必ずしも入らなければならないものではないけれど、地域に関わることができる(能動的、明るい地域づくりのしくみ)。
・若い人たちが住みやすい地域づくりをどういうふうに進めていくかが普遍的な課題。

最後に、次のような言葉がありました。
「地域での活動はライフステージの延長にあると活動しやすくなる。それぞれが好きなこと、得意なこと、やりたいことが出来るようになる」
「地域活動は水平の関係。相手を『仲間』と見ている。『対象』とは見ていない。仲間として接することで、相手から力を引き出せる、相互作用が生まれる」

■ レクチャー

ⅰ NPO法の成立と意義

【講師】
早瀬 昇(日本NPOセンター代表理事)
特定非営利活動促進法が試行されてから既に18年余りが経過し、立法の背景や成立過程などについての情報が共有され難くなっていますが、「NPO法は何を変えようとしたのか」「現在までの到達点と今後の課題は何か」などについて解説が行われました。

ⅱ かながわ県民活動サポートセンター館内ツアー

forum2017_tourボランタリー活動を総合的に支援する施設として、1998年4月に全国に先駆けて開設され、その後の全国の公設NPO支援施設のモデルとなった「かながわ県民活動サポートセンター」を同センターの職員の案内で館内ツアーが行われました。

ⅲ NPO支援センターの温故知新

【講師】
椎野 修平(日本NPOセンター特別研究員)
NPO支援センターといわれるNPOを支援する組織や拠点は、「いつ、どのような議論を経て設立されたのか」「民間の支援センターと行政の支援施設の違いは何か」などについて解説が行われました。

■ 情報交換会

forum2017_meetingスピーカー12名が、所属組織の事業などについて3分間で情報提供を行ったうえで、参加者同士がそれぞれに名刺交換や情報交換。予定した時間では足りないほど活発な交流の場になりました。