東日本大震災現地NPO応援基金(一般助成・第3期)第2回助成審査結果について


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東日本大震災現地NPO応援基金[一般助成]第3期第2回助成の審査を行い、
下記の通り決定いたしました。

助成先一覧

No. 団体名 所在地 助成額
(単位:万円)
1 特定非営利活動法人夢未来南三陸 宮城県
南三陸町
276
2 特定非営利活動法人陸前たがだ八起プロジェクト 岩手県
陸前高田市
300
3 特定非営利活動法人移動支援Rera 宮城県
石巻
300
4 一般社団法人まなびの森 宮城県
角田市、山元町
255

*助成件数:4件  助成総額:1,131万円
*第3期第2回助成は、日本NPOセンターが実施する東日本大震災の支援事業のいずれかのプログラムで支援対象となった団体を対象に実施し、2017年7月10日~7月18日(一次募集)同年10月20日~10月27日(二次募集)までのエントリーについて事前審査および本審査を行い助成が決定したもの。
応募要項
エントリーシート
*助成期間は、夢未来南三陸が2017年10月1日から2018年9月30日までの1年間。陸前たがだ八起プロジェクト、移動支援Rera、まなびの森は2018年1月1日から2018年12月31日までの1年間。

審査総評

東日本大震災現地NPO応援基金[一般助成]第3期
審査委員(座長) 早瀬 昇

東日本大震災現地 NPO 応援基金[一般助成]は、2016年7月より、『未来をつくる持続的な組織をめざした組織基盤強化』をテーマに第3期の助成を開始した。第2回助成は2017年6月22日に開始した第一次募集、10月2日に開始した第二次募集の2回の募集を行った。これは第一次募集では助成予定総額の1,000万円に達しなかったためである。
第一次募集では、7月18日の応募締切までに6団体からエントリーがあり、まず事務局担当者で事前審査を実施した。事前審査では、「今回の助成で何を解決したいのかという課題認識が曖昧」「組織基盤強化の目的、内容の検討が不十分」などの理由で2件が不採択、2件が保留扱いとなり、2団体が本審査の対象となった。保留となった2件については、審査委員も内容を確認し、最終的には次期募集を促すことで不採択とした。
第3期は「計画段階から事務局がフォローしつつ組織基盤強化に取り組む」という寄り添い型の助成であり、本審査対象の2団体に対して助成事務局が企画提案書作成のフォローを行い、これを審査委員が本審査する仕組みとしている。ただし、いわゆる「ドナードライブ」、つまり助成者側の志向・関心で助成対象団体を操作することのないよう、団体の主体性を尊重した企画提案づくりに心がけた。
その結果、企画提案書が確定した1団体について本審査を実施し、助成対象として決定した。
続いて、第二次募集では、10月27日の応募締切までに3団体からエントリーがあった。3団体とも事務局による事前審査をクリアし、第一次募集と同様に企画提案書の作成支援を行ったが、本審査までに1団体が状況の変化により応募辞退となった。この結果、第一次募集の本審査までに企画提案書がまとまらなかった1団体も含めた3団体が本審査の対象となった。
審査委員3名が選考基準に従って評価を行い、12月11日に本審査会を開催して更に企画内容について吟味を行った。各団体には本審査会からの意見を示し、団体と助成事務局で提案内容の修正を図った上で、3団体とも助成を行うことを決定した。
以上の結果、第2回助成は第一次募集の1件および第二次募集の3件、合計4件、総額1,131万円の助成を決定した。
各団体の組織基盤強化事業への期待は以下のとおりである。
「夢未来南三陸」の基盤強化テーマは、「売上向上による自己財源の確保」。具体的には、東日本大震災からの自立した復興のため、地域資源を活用した経済活動を柱に人と物と情報の交流拠点として立ち上げられた「南三陸直売所みなさん館」などの持続的運営に向けた経営力の強化である。企画提案書では販売力強化に向けた提案が中心だったが、非営利組織の特長である「市民に参加の機会を提供して自立する」体制も充実するため、会員や支援者、現地訪問者、遠隔地の支援者などに「参加の機会」を提供する力をつけるボランティアマネジメントやファンドレイジングなどの体制充実も助言した。一般的な物販施設を超えて、モノを介して被災地の再生を進める拠点としての機能が充実することが期待される。
「陸前たがだ八起プロジェクト」の基盤強化テーマは、「市民から信頼されるNPOの運営体制強化事業」。陸前高田市の仮設住宅が団体のサポートするモビリア仮設団地に集約され、最後まで残る状況にある。震災後、同仮設住宅に住む人々と苦楽を共にし、信頼関係を構築し、継続的な支援を行ってきた強みをもっている。被災者の自立再建が進み退去する人も増える中、厳しい状況にある人々こそが、仮設住宅での生活の長期化を余儀なくされている。仮設住宅閉鎖後の団体の展望が描き難い点もあるが、被災者の生活支援に最後まで寄り添っていく存在となるよう期待を込めて助成を決定した。
「移動支援Rera」の基盤強化テーマは、「安定・持続のための『丈夫な事務局』づくり」。震災発生後、石巻で車を失った被災者たちに必要不可欠な存在として活動を続けてきたが、移動支援の希望者と移動支援スタッフとの調整は、献身的に事務局業務を担ってきた代表者の職人芸的な努力に負っている状態だった。そこで、外部アドバイザーの力を借りて、送迎本部業務と事務局業務の整理・効率化、組織の目標とビジョンの意識化、安定した情報発信と地域のネットワーク強化による地域の支援者増に取り組む。個人の献身に依存してきたため持続可能性に課題があった団体だが、今回の支援により組織の持続性が高まり、次のステップに移行する起点となることが期待される。
「まなびの森」の基盤強化テーマは、「公教育の支援を通して地域の子どもたちを支える非営利の事業体として団体の継続性を高める」。具体的には、被災した子どもたちの学習支援活動や不登校の子どもたちの支援活動を進めるための組織基盤強化である。被災地山元町の西側に隣接する角田市の学習塾が始めた活動だが、元生徒がスタッフに加わるなど多くの若者が参加している点が特長である。学習塾から被災地の子ども達への学習支援や不登校支援への活動の幅を広げているが、若い世代が中期計画の策定にも参画することで、被災地での人材育成の面での展開も期待される。
震災から時間が経つにつれて、緊急救援的な事業から、震災以前からあった過疎などの地域課題が前面に出てくるようになり、その対策に取り組むという内容が増えてきた。被災地のNPOが事業を進める上で鍵となるのは、市民が活動の主体として参画していくことだ。これは、現地NPO応援基金が目指す、被災地の市民が主体となった復興を後押しするということでもある。それだけに、ボランティアマネジメント力やファンドレイジング力の向上など参加型組織を目指した基盤強化についても、努力されるよう期待したい。

*   *   *

[審査委員]
早瀬 昇   認定特定非営利活動法人日本NPOセンター 代表理事  ◎座長
栗田 暢之  認定特定非営利活動法人レスキューストックヤード 代表理事
山岡 義典  特定非営利活動法人市民社会創造ファンド 運営委員長

[助成事務局]
認定特定非営利活動法人日本NPOセンター
特定非営利活動法人市民社会創造ファンド

助成概要と推薦理由

組織基盤強化テーマ 売上向上による自己財源の確保
団体名 特定非営利活動法人 夢未来南三陸
主な活動地域 宮城県南三陸町
推薦理由 本団体は、震災後の南三陸町において、地域資源を活用した地域づくりと情報発信のために設立された。直売所「みなさん館」を通した地域の小規模農家や漁師などの産品の販売や、地域住民による手作り味噌の商品化など、地域の小さな経済の仕組みを生み出している。しかし、震災当初に比べて外部からの交流人口の減少や、事業再開の店舗の増加、新規参入の大型店舗のオープンなどで、売り上げの伸び悩みが課題となっている。
地域住民を中心とした商品販売の仕組みを持続可能な状態にすることは、組織の強化だけではなく、まちの復興において重要なポイントであると考え、今回の助成を決定した。具体的には、1.地元食材を使った弁当、総菜部門の拡大による店舗内の売上向上、2.商品ラインと情報発信の見直しによる店舗外での売上向上、3.新商品の開発に取り組む。
地産地消の商品づくりに取り組むことで他との差別化が図れ、地域内外の循環が生まれることを期待したい。

 

組織基盤強化テーマ 市民から信頼されるNPOの運営体制強化事業
団体名 特定非営利活動法人 陸前たがだ八起プロジェクト
主な活動地域 岩手県陸前高田市
推薦理由 本団体は、震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市における復興支援を目的として設立された。被災者の生活は避難所から仮設住宅に移り、復興公営住宅の建設や防災集団移転などが進む中、仮設住宅の集約地にも予定されている岩手県立陸前高田オートキャンプ場モビリアを主な拠点にして、今も引き続き住民に寄り添う支援を行っている。
ハード面の整備が先行している地域にあって、仮設住宅における高齢化は加速度的に進み、復興の見通しが立ちづらい状況の中で、自治組織も形骸化しつつあり、コミュニティの再構築が非常に困難となっている。仮設住宅での生活を余儀なくされている人々に寄り添いつづけながらも、住民の主体性を大切にした支援にチャレンジする組織への支援が必要であると考え、今回の助成を決定した。
本事業では、仮設住宅の住民に最後まで寄り添える組織としての基盤を強化するために、組織改革と事務局体制の強化を中心に取り組む。組織基盤強化によって住民参加型の丁寧な寄り添い支援が続くことを期待したい。

 

組織基盤強化テーマ 安定・持続のための「丈夫な事務局」づくり
団体名 特定非営利活動法人移動支援Rera
主な活動地域 宮城県石巻市
推薦理由 本団体は、宮城県石巻市において移動が困難な高齢者や障害者、生活困窮者等を対象に移動支援を行っている。震災直後は緊急支援としての活動であったが、現在では震災支援の枠に留まらず、地域で必要な取り組みとして定着し、延べ13万人を超える送迎を実施してきた。
組織内での定期的な研修を通じて課題共有が図られ、スタッフの自主性も高まってきている。一方で、移動支援に特化した活動のため、送迎に関わる事務局業務(受付、配車等)が重要になるが、専門化や属人化が進み、特定の人材に負担が集中する状況に陥っている。本助成では、外部アドバイザーの協力を得て、送迎を含む事務局業務の整理や効率化、事務局スタッフの育成、ビジョンの意識化や地域のネットワーク強化を通じて「丈夫な事務局」づくりを目指す。
震災直後から丁寧な活動を展開する中で地域からの認知度やニーズも高くなってきており、持続的な活動のための基盤強化への取り組みは必要性が高いと考えられる。丈夫な事務局づくりが、丈夫な財政基盤や丈夫な組織につながっていくことを期待したい。

 

組織基盤強化テーマ 公教育の支援を通して地域の子どもたちを支える非営利の事業体として団体の継続性を高める
団体名 一般社団法人 まなびの森
主な活動地域 宮城県角田市、山元町
推薦理由 本団体は、宮城県角田市で20年来営業してきた学習塾を母体として2011年4月に発足した。子どもたちの豊かな成長を支えることを通して地域社会の再生産に貢献することを目的に、学習塾を収益の柱としつつ、多様な困難を背景にもつ子どもたちの学習支援に取り組んできた。
山元町内2地区の公民館での小中高生を対象とした学習支援活動では毎回40名前後の児童生徒が利用し、山下中学校と坂元中学校での学習支援活動では在籍生徒の70%が利用している。また、角田中学校では常勤職員が学校に常駐して不登校の生徒の学習支援に取り組み、2016年度は延べ678名の生徒が利用し、不登校の出現率は6%から3%に半減した。
学習支援や学習塾の運営には常勤職員10名と非常勤職員40名が関わり、常勤職員の内5名は元塾生、非常勤職員はほぼ大学生となっている。また、山元町の学習支援活動では、震災直後に支援した子どもたちが大学進学を機に支援者として関わるなど、人材の現地化が進みつつある。
本助成事業では、成長著しい20代の若者を中心とした組織の将来に向けた土台をつくるため、コンサルタントの伴走を得て、中期計画の策定、不登校の子どもたちの支援に関する学びを深めるための研修、学習支援の現場で活用する教材の開発に取り組む。
中期計画の策定では子どもたちの将来の夢も織り込み、学習塾の運営から震災対応の経験を踏まえた支援事業の定常化に向けて組織基盤が強化されることを期待したい。