市民活動団体(NPO)育成・強化プロジェクト報告(2013年4月)~


「市民活動団体(NPO)育成・強化プロジェクト」(ワールド・ビジョン・ジャパンからの寄付により2011年12月より実施)は、2013年5月で約1年半を迎えました。2013年1月から5月の間の岩手・宮城・福島3県のプロジェクトに参加しているメンバーの様子をお届けします。

「自主勉強(情報交換)会」とは…各県ごとにメンバーが有志で(2か月に1回ペース)集まり日々課題としているテーマについて議論したり、学び合う場です。
「追加研修」とは…昨年度開催した「NPOを磨く15の力」研修の他にメンバーが必要だと思われるテーマについて追加で研修の機会を提供しています。

岩手

岩手では長い冬が終わり、季節が夏へと移り変わる間に、プロジェクトメンバーは1月18日に第2回自主勉強会、3月13日に第1回追加研修、4月27日に第3回自主勉強会と精力的に活動に取り組みました。同時に先進的・先駆的なノウハウや事例を持つメンターによるメンバーのサポートも行われ、メンバーとメンターが一体となった組織基盤強化への取り組みが行われています。

《第2回自主勉強会》
メンバーが自主的に勉強会運営を行い、それぞれの地域や活動分野からの視点で毎回熱い議論が交わされる自主勉強会。第2回は紫波町のオガールプラザを会場に盛岡・紫波のメンバーが中心となり行われました。勉強会のテーマは組織運営について。『労務管理』『会計の方法』『寄付の集め方』の3 つのテーマに分かれ、各団体の課題を整理するとともに、その打開策を検討し、団体ごとに工夫している点、課題と感じている点等を共有し合いました。当日ご参加いただいたメンターの皆さんにもアドバイスを頂き、とても充実した勉強会となりました。また次回追加研修で学びたいテーマについても検討し、「コミュニケーション人間関係⇔ファシリテーションワークショップの仕方」が次のテーマに決まりました。
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《第1回追加研修(3月12日)》
第2回自主勉強会で決まったテーマ「コミュニケーション人間関係⇔ファシリテーションワークショップの仕方」を学ぶべく、講師に日本ファシリテーション協会・フェローの徳田太郎さんをお招きした第1回追加研修。ファシリテーションの概要から、話し合いを変える様々な手法まで、約4時間の講義時間でしたが、時間の長さを全く感じない濃密な研修でした。参加メンバーからは、明日からでも自分の団体で活用していきたいなど、前向きなコメントを多くいただきました。
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《第3回自主勉強会》
第3回自主勉強会は、大槌町のメンバーが中心となり大槌町・浪板地区で行われました。参加者は年度末の忙しさもあり、多いとは言えませんでしたが、その分メンバーの意見がダイレクトに反映され、活発な意見交換がされました。勉強会では、メンバーそれぞれが「活動する地域の弱さ」を出し合い「沿岸地区の弱点に対しどうアプローチできるか」題して「沿岸を磨く15の力」として、5つの項目をまとめました。全体を通じ、地域課題の掘り起しができたとともに、次回第2回追加研修のテーマも、出された課題に実際にアプローチするには、まずは地域の情報を調査・収集する必要という声のもと「社会調査の仕方」にテーマに決まるなど、とても意識の高い勉強会でした。
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《基盤整備コース・インターンプログラム》
メンターサポートを行う中で、顕在化した課題に対し、実践編として取り組む「基盤整備コース」と、メンバー他組織へインターンに行く「インターンプログラム」が岩手でも始まりました。このプログラムに参加するには申請書の提出が必要で、メンバーとメンバーが多くのやり取りを行い、より内容の濃い申請書を目指しました。この申請書を書く過程やノウハウも一つの財産になったと思います。6月末を終了とするこのプログラムは今まさに佳境を迎えています。すでにプログラムを終えた団体の代表者や担当メンターからは、「一回り成長してきた」「早速団体内で学んだことをやろうとしている」などうれしいお声を頂いています。
全国的に活躍されているNGO・NPOの皆様からこれまで培ったノウハウや事例を岩手に教授いただく機会を頂き、改めて感謝申し上げます。以上岩手事務局からの報告でした。
(岩手事務局 大吹哲也)

宮城

 ちょうど昨年の今頃から、集合研修「NPOを磨く15の力」が始まり、メンバー同士、3ヶ月間集中的に顔を合わせる機会にもなっていました。その後は、自主勉強会を通じてさらに親交を深めてきており、以前、本コーナーでその様子はご紹介させていただきました。
さて、その自主勉強会を通じて、集合研修の15のテーマに追加して、メンバーが学びたい、力をつけたいと思うテーマを聞いたところ、多数声があがったのが「ファンドレイジング」と「中長期計画」でした。
それを追加研修に反映し、宮城では第1回追加研修「NPOのファンドレイジング~NPOの財源の特性を知り、寄付の仕組みをつくろう~」と題して、4月24日、仙台を会場に開催しました。メンバー、講師・ゲスト、事務局を含めて約20名が参加。ちょうど翌日にメンターサポートとメンター会議を予定していたこともあり、メンターにもご協力いただきました。寄付の仕組みや運用について具体的事例やアクションへのヒントを提供いただきました。参加したメンバーのアンケートからは、次のような気づきや感想が寄せられました。
・ビジョンの見直し、応援してもらう相手とミッションを伝えることの重要性にあらためて気づかされました。
・当団体の“ビジョン、ミッション”が明瞭でないことに思いっきり気づかされました。当会の会員勧誘方法や手段は、震災時に、このような活動をやってきたから会員になってほしい、という実績重視だった。今後ビジョン、ミッション示した勧誘活動を行い、会員増・寄付増をめざしたいと思います。その為にも何はおもあれ“ビジョン、ミッション”の明確化!
・動機、継続の必要性などを明確にして伝えることができて、その上で進むことなのだと思いました。
・近々寄付の募集を計画していましたので、今回の研修も日常的に有益なものとなりました。研修前は寄付目的、目標しか考えていませんでしたが、今回を機に誰に呼びかけるか、どういう寄付方法にするか改めて考えます。…などなど。

それぞれに関わりのある支援者や協力者の顔が浮かんだり、潜在層の存在に可能性を感じたり、
組織や活動を支える人・お金が循環するイメージが浮かび、団体で自分が工夫や実践を段階的に進められるといいですね。
第2回の追加研修は「中長期計画」をテーマに7月8日、仙台を会場に開催予定です。いよいよ本プロジェクトは終盤を迎えますが、メンバーが活動する現地の状況、特に被災地はまだまだこれから。引き続きともに歩みを進めて、応援していきたいと思います。
(宮城事務局 青木ユカリ)
B_20130424宮城第1回追加研修

福島

《基盤整備コース・インターンプログラム》
福島県内は、震災から2年が経った今も日々複雑な課題に直面しています。原発事故による避難やそこに暮らしながら見えない放射能との戦い、子どもたちをどう守るか、食べ物の安全性をどう確保するか、進まぬ除染、避難地域再編、これからのコミュニティづくり、等等。
震災直後から福島は全国、全世界からの支援をいただいてきました。しかし、そのような支援は永遠に続くものではなく、福島から発信し現状を知ってもらう努力を続けなければ、多くの人の関心は薄れていってしまいます。そして、自分たちがより力をつけていかなくてはいけません。
このプロジェクトのメンバーは、メンターのサポートを受けながら、組織基盤を強化するための様々な取り組みを行っています。その取り組みの中で、実践応援プログラム(基盤整備コース、インターンシップコース)を利用したメンバーもいます。このプログラムへの申請には、メンター、現地事務局とやりとりをしたうえで申請書を提出するという方法をとりました。課題は何か、その課題を解決するためにどのような取り組みをするか、どのようなスケジュールで、といったことを何度もやりとりを繰り返しました。目的を明確にして、具体的かつ効果的なプログラムにしていくために、やりとりに時間をかけて申請書を作成していくというこの方法は、メンバーにとっては、時間もかかり、忙しい活動の中で負担を感じていたかもしれません。しかし結果として、
・申請書書き直しをするやりとりそのものが勉強になった。
・課題が明確になった。
・スタッフ間で本音を話すきっかけになった。
といったコメントがメンバーから寄せられました。
また、インターンシップについては、日々忙しくスタッフも限られた中で、事務所を1週間以上空けることは難しい、現実的に不可能という声も聞かれましたが、団体内で調整することができたメンバーからは、
・団体から離れることで自分自身、団体のことを客観的に感じることができた。
・自分達とは違う切り口や多様な考え方に「そんな考え方、やり方があるのか」と驚かされた。
・他の団体について理解を深める事で、自分たちの今後の展開について”気づき”を得た。
といった感想がありました。
震災後無我夢中で走ってきた県内のNPOにとってこのプロジェクトは、2年が経った今だからこそ、少し立ち止まり、団体のミッションに立ち返って活動を整理したり、自分自身・組織体制そのものの見直しをしたりする機会となっているのだと思います。
また、全国からこのプロジェクトに関わっているメンターの方々は、メンバーと一緒になって考え、悩み、寄り添ってくれる存在であり、このプロジェクトを超えた関係が築かれつつあると感じています。
(福島事務局 内山智子)

当プロジェクトでは、「15の力」の集合研修の後、県別のメンバーのニーズに合わせて追加研修を実施しています。そこで、福島県では、メンバーの要望が高かった「事務局スタッフの人材育成」に関する研修を5月15日、会津若松市で実施しました。NPOのもっとも大事な財産のひとつである「人」。事前にアンケートを取ってメンバーの課題を調査したところ、下記のような様々な悩みが寄せられました。
・新しいスタッフ間の意識の差、やる気の差をなんとかしたい
・事務局スタッフの育成について理事会の意思がないこと
・業務で手一杯で育成する時間も取れず、自分も研修出席の時間を確保するのが難しい
・仕組みがない、実践を通して経験者が伝えている状況
・人材育成の機会や仕組みをつくったとしても、そのための時間とお金を確保が難しい
・スタッフが他を知らない井の中の蛙になっているような気がする
・NPO法人の運営の基礎を知らず、育成以前の段階
・受託事業で採用したスタッフの団体への関心を高めることと雇用の継続
 そこで、これらの多様な悩みの解決の糸口を見つけるために、福島県メンバーのメンターサポートを担当してくださっているメンターに研修にご参加いただき、自組織での実践例について情報提供をしていただくことにしました。
 <研修会の進行>
1、 自己紹介
2、 講義 ワールド・ビジョン・ジャパン 常務理事・事務局長 片山信彦さん
3、 質疑応答
4、 福島メンバーの悩みの共有
5、 福島メンターから実践例の紹介
6、 福島メンバーの気づいたことや今後の実践の紹介
特に「5、福島メンターから実践例の紹介」では、メンターがご自身の体験を赤裸々に語っていただきました。お蔭で、人材育成の採用から育成に関わる実践の多様さ、難しさ、ヒントを得ることができました。実践例を聞いたメンバーからは、下記の声が寄せられました。人材育成の奥深さと難しさ、面白さについての気づきがありました。
・この研修を新たな出発として、人との関係を大切にしながら成果を出したい
・メンターがスタッフの身になった人材育成をしている点を参考にしたい
・新人スタッフに「教える」目線になりがちだが「引き出す」ということを学んだ
・NPOでも人事評価を導入してもいいのだとわかった
・組織の成り立ちや規模で人材育成方法が異なることがわかった
・みなさん悩みながら苦労されながら工夫されていて、答えは1つでは無いと知った
今回は、メンバー・メンターで相談し合いながら「さらに成長していくぞ!」という意思があふれた研修会になりました。
(福島事務局 遠藤智栄)

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