東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「大和証券フェニックスジャパン・プログラム2013」選考総評


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東日本大震災現地NPO応援基金〔特定助成〕
大和証券フェニックスジャパン・プログラム2013
-被災地の生活再建に取り組むNPOの人材育成- 選後評

選考委員長 谷山 博史

[本プログラムの趣旨]
 本助成プログラムは、東日本大震災で被災した地域の再建支援に取り組む現地NPOのスタッフの育成を支援するものである。被災地のNPOが真に地域のニーズをくみ取り効果的な支援活動を持続的に行えるかどうかは、スタッフの人材育成と人材育成を通しての組織基盤の強化が不可欠と考え、昨年度から特定助成プログラムとして開始された。
 被災地では震災発災後数多くの市民活動が自然発生的に生まれた。当初手弁当であった活動が社会の支持と支援を受けて徐々に組織化され、継続的な活動に展開してきている。また、東日本災震災以前から活動していた団体が震災を機に被災地の再建に本格的に取り組むようになったケースもある。いずれのケースにおいても、被災地では組織基盤が安定していないNPOが多く、震災援助ブームともいえる支援金の流れが先細っていく中で、人材育成と組織基盤の強化が喫緊の課題として浮上している。また刻々と地域での支援ニーズが変わる中、当初活動を回すことに忙殺されていた団体は自分たちの目指すべきミッションの構築あるいは再構築を迫られることも多い。
 現地NPOにとってミッションの明確化と活動の充実、運営の円滑化と財政基盤の強化など、組織として求められる要所要所の課題を適材適所のスタッフの育成を通して乗り越えることが求められている。本助成プログラムは通常の助成ではカバーされにくい人材育成活動を育成スタッフの人件費も含めて支援することを特徴としている。
 本年度から新規で助成するNPOに加え、継続助成として昨年度助成した団体をも助成の対象とした。一年間の人材育成の成果をもとに継続支援することで組織基盤の強化が定着することを期待してのことである。

[選考結果]
 新規助成については28件の応募に対して5件を採択した。助成額では1860万円である。継続助成では4件の応募に対して全4件を採択した。助成額では1493万円になる。昨年の助成団体が7件であったことを考えると、決して多い数とは言えないが、いずれの案件も昨年度の実績を継続助成によって伸張あるいは定着させることが期待できると判断した。
 これらの他に市民社会創造ファンドが行う合同研修事業にも助成することとした。これは本プログラムの新規助成対象団体を対象に、本プログラムの趣旨である“人材育成による組織基盤強化”に対する理解を深め、今後の活動の糧となる情報収集や団体間の交流の機会となるよう、合同で研修会を行うものである。昨年度好評であったことから、本年度は正式に助成対象事業として審査にかけて採択した。助成額は150万円である。

[選考経過]
 選考委員は、全応募書類を事前に読み込み、5件の推薦と2件の準推薦を選出し、評価コメントをつけて事務局に送付。事務局はこれをまとめて7月23日の第1回選考委員会に提示した。第一回選考委員会では推薦数の多いものから順に意見を述べ合い、議論し、採択候補か不採択かを決めていった。結果として8件の助成候補を選出したが、いずれの案件も研修方法や助成金の使途、他の財源との関係など何らかの不明な事項があったため、事務局に現地でのインタビューを依頼した。8月27日の第2回選考委員会では事務局がまとめたインタビュー結果をもとに最終選考を行った。8候補案件のうち2件は辞退、1件は不採択となった。
 応募案件の傾向としては、昨年度に比べて被災者の雇用の創出、収益活動の事業化、市民組織として行政に依存しない市民力の強化といった、長期化する復興課題に長期的な視野で対応しようとする案件が目立った。一方で、被災者支援や地域復興という震災後の課題への対応という目的が不明瞭であったり、人材育成や組織基盤強化というより事業の継続のための人件費確保に比重があるケースも多かった。予算規模が昨年比で減少しているNPOも少なくなく、安定的な資金確保という課題も改めてクローズアップされた。また人材育成の方法については多くの団体が試行錯誤している。資金助成に終わらないフォローアップが私たちの課題としてつきつけられている。
 継続助成の案件については第2回選考委員会で審査を行った。新規助成同様事前に全応募書類とスタッフ育成レポートを読み込み、4件の推薦を選出、選考委員会での議論の結果4件すべてが採択となった。継続期間における事業展開とスタッフ育成のビジョンが意識されている団体が多いのが特徴である。2年間の助成期間を終えてスタッフが定着し被災者の生活再建に着実に取り組めるようになることを期待したい。

[今後に向けて]
 新規助成の応募は昨年の27件に対して28件でほぼ横ばいである。人件費の確保に苦労するNPOが多い割には応募が少ないといえるであろう。それは本プログラムが人材育成を通じてNPOの組織基盤を強化するという難しい課題を応募団体に課しているからでもあろう。本プログラムとしては引き続きプログラムの趣旨を周知させると同時に、プログラムの成果を発信していくことを求められる。そのためには個々の助成事例の分析を通して、人材育成のノウハウを社会に還元することも必要である。その一つの方法としては、本プログラムで実績を得た継続助成対象のNPOが新規助成対象のNPOに事例を共有することも一つの方法である。今年度の合同研修で新規助成NPOと継続助成NPOの学び合いの場も設定できればと思っている。また事務局や選考委員が可能な範囲で助成NPOの悩みに助言できるようにしたい。
 最後に、暑い最中に限られた時間で応募書類の読み込みに取り組んでいただき、委員会当日は熱心にご議論いただいた選考委員の皆さんに昨年同様厚くお礼を申し上げたい。

【選考委員】
委員長 谷山 博史 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター 代表理事
委員  佐久間 裕章 特定非営利活動法人 自立支援センターふるさとの会 代表理事
委員  須田 木綿子 東洋大学 社会学部 社会福祉学科 教授
委員  手塚 明美 特定非営利活動法人 藤沢市市民活動推進連絡会 理事・事務局長
委員  岩井 亨 大和証券株式会社 広報部 CSR課 副部長(CSR課長)
委員  田尻 佳史 認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 常務理事・事務局長