【開催報告】2/21開催:NPOと行政の対話フォーラム 2014『これからの市民社会のススメ ―地域性にもとづく支援・協働―』




 2014年2月21日(金)、かながわ県民センターにて、「NPOと行政の対話フォーラム 2014」を開催いたしました。2002年度の開催から12回目、取り分けNPO法施行15周年の節目となる今回は、北海道から沖縄まで、全国39都道府県から143団体202名の方々にご参加いただきました。改めまして、心より御礼を申し上げます。

 来年2014年度の「NPOと行政の対話フォーラム」は、2014年7月15日(火)~16日(水)に2日間の日程で、同じくかながわ県民センターにて開催する予定です。詳細は、改めてご案内いたします。ぜひご参加ください。

 以下、フォーラムの開催概要です。

開会~オープニング・基調鼎談

市民社会創造のこれまでを俯瞰し、これからの市民社会を展望する

 フォーラムは、当センター代表理事 早瀬、およびかながわ県民活動サポートセンター所長 下元さんの挨拶により幕を開けました。

開会挨拶(遠景)

開会挨拶(遠景)

 午前は、早稲田大学政治経済学術院教授 北川さん、奈良市長 仲川さん、早瀬によるオープニング・基調鼎談が行われました。

オープニング・基調鼎談(北川さん、仲川さん、早瀬)

オープニング・基調鼎談(北川さん、仲川さん、早瀬)

 まずは、早瀬から「3つの15年目」(NPO法施行、「横浜コード」発表、地方分権一括法公布)としての今を再確認することから始まり、NPOの意義と各種調査などからうかがえる実情、自治のあり方などについて、問題提起しました。

オープニング・基調鼎談(早瀬)

オープニング・基調鼎談(早瀬)

 その後、北川さん、仲川さんをお迎えして、お二人それぞれにお話しいただきました。まず、北川さんには、いわゆる「改革派知事」として、「NPO室」の創設など、全国の自治体NPO推進施策をリードされてきた経緯もご紹介いただきつつ、この15年と近年の動きについて概観いただきました。

オープニング・基調鼎談(北川さん)

オープニング・基調鼎談(北川さん)

 次に、仲川さんには、企業、NPO、そして行政という3つのセクターを経験された立場から、NPOと行政双方における15年と、特に奈良市長に就任以降の地域の動きについて概観いただくとともに、市長に立候補されるに至った動機についてもお話いただきました。

オープニング・基調鼎談(仲川さん)

オープニング・基調鼎談(仲川さん)

 さらに、三者の話題を受けて、地方分権時代におけるNPOと行政の協働の意義や、対話の重要性、制度論やセクター論を超えた地域課題解決のあり方などへと、議論を深めていきました。

 最後に、北川さん、仲川さんそれぞれに、これからを担うNPO・行政職員それぞれに向けた熱いメッセージを送っていただきました。

■ ご参加者のアンケートから
  • 地域活動の第一線でやっている者として、力強いメッセージを含めた基調講演に感動しました。シッカリと頑張っていきたいとの決意を持ちました。
  • 私どものNPOも15年目。メインストリームの転換、その内容と方向性を再確認できました。
■ 参考URL

分科会

分科会 1
【地域に根差した支援】NPO支援センターの真価を問う

 午後の部は、「支援」「協働」「参加」「ネットワーク」の4つの分科会に分かれて、それぞれの切り口から、これからの市民社会について考えていきました。

 分科会1では、くびき野NPOサポートセンター理事長 秋山さん、あきたパートナーシップ副理事長 畠山さんをお迎えして、「地域に根差した支援 ~NPO支援センターの真価を問う~」をテーマに、対話を進めました。

分科会1(遠景)

分科会1(遠景)

 まずは、コーディネーターの当センター事務局次長 坂口が、当センターの2012 年度実態調査結果をもとに、NPO支援センターのおかれる現状や設置形態別の課題を整理したうえで、NPO 支援センターのあり方について言及しました。

 秋山さんには、NPOの普及啓発を推し進めた活動当初から、週刊「NPOPRESS」による情報の循環など、市民に広く働きかけることにより、10年ビジョン「ビジョン2008」の実現を目指す現在に至るまでの活動の展開について、また、対話にもとづく行政との関係性についてお話いただくとともに、中山間地域の暮らしや交通インフラなど、地域の社会経済状況の変化に対応するNPO支援センターのあり方を示していただきました。

 畠山さんには、指定管理を受けている秋田県ゆとり生活創造センター「遊学舎」について、事業概要から地域のNPOの現状についてお話いただくとともに、あきたスギッチファンドの立上げ経緯や秋田県内3地区に設置されているNPO支援センター同士の相互研修などを通した連携のあり方などを示していただきました。

 後半では、グループに分かれて、講師お二人の話を聞いた感想の共有と、質問を1つにまとめて、講師とやり取りするというセッションを行いました。

分科会1(グループセッション)

分科会1(グループセッション)

■ ご参加者のアンケートから
  • 資金調達方法、組織として具体的にどのような動きをしているのか。実際にお話を聞くことができ、非常に参考になりました。
  • そこまでやるのか!?という細かな配慮が聞けました。体系的な話よりも具体的な話が多く、参考になりました。
■ 参考URL

分科会 2
【地域が輝く協働】枠組みにとらわれない協働に可能性を見出す

 分科会2では、市川市企画部ボランティア・NPO課課長 稲葉さん、大阪府都市整備部事業管理室 副主査 梶間さんをお迎えして、当センター特別研究員 椎野のコーディネートのもと、「地域が輝く協働 ~枠組みにとらわれない協働に可能性を見出す~」をテーマに、対話を進めました。

分科会2(遠景)

分科会2(遠景)

 まず、稲葉さんには、市川市の市民の特徴から市民活動の活性化の必要性の認識、「まちの縁側構想」にいたるまでのプロセスをご紹介いただき、具体的な事業として、「1%支援制度」や「協働事業提案制度」、「地域ポイント制度」といった市民力を引き出す施策のあり方を示していただきました。

 次に、梶間さんには、長年のアドプト・プログラムの蓄積から生み出された「笑働OSAKA」の取組について、従来の協働との差別化や、環境や教育、福祉など、都市インフラの維持管理の範疇を超える取組みの展開について、事例をもとにご紹介いただきました。

 後半では、ゲストと会場参加者との活発な対話により、今後の協働事業の展望について、さらに議論を深めていきました。稲葉さんには、今年度実施されたばかりのアンケート結果にもとづいたお話をいただき、梶間さんには、取組みを通じて得られた示唆を「教条化・マンネリ化を打破する処方箋」に取りまとめてお話いただきました。

分科会2(稲葉さん、梶間さん、椎野)

分科会2(稲葉さん、梶間さん、椎野)

■ ご参加者のアンケートから
  • 限られた時間の中で、密度の濃い盛りだくさんの内容でした。講師それぞれの思いが伝わり、現場のイメージが伝わってきました。
  • 「教条化」の問題意識に対して、新たな境地を見る思いがしました。
■ 参考URL

分科会 3
【地域を動かす参加】市民の公共性は参加に宿る

 分科会3では、ワップフィルム事務局長 菊地さん、智頭町企画課課長 岡田さんをお迎えして、当センター常務理事・事務局長 田尻のコーディネートのもと、「地域を動かす参加 ~市民の公共性は参加に宿る~」をテーマに、対話を進めました。

分科会3(遠景)

分科会3(遠景)

 まず、菊地さんには、大田区を舞台にした映画「商店街な人」について、市民一体参加型の製作プロセスとともに、単なる鑑賞に留まらず、気づき・共感から自ら考え行動へとつなげる「上映フューチャーセッション」について、動画を交えてご紹介いただくとともに、映画から派生して生まれた地域連携の拠点としての「キネマフューチャーセンター」といった活動展開について、お話いただきました。

 次に、岡田さんには、取組みの原点と言うべき「ゼロイチ運動」のご紹介に始まり、単なる企画提案に留まらない、町の予算策定に直結する住民参加手法である「智頭町百人委員会」の仕組み、そしてその委員会から生まれた「森のようちえん まるたんぼう」など、こちらも動画を交えつつ、豊富な実践事例とともにご紹介いただきました。

 後半では、会場から寄せられた質問への回答も含めつつ、お二人の講師に「参加」の肝や今後の展望について、お話いただきました。菊地さんからは、市民の参加意欲を引き出す側面と、参加のハードルを下げる側面の両方を兼ね備えた映画づくりの重要性をお示しいただくとともに、藤沢市で現在進行中のプロジェクトをご紹介いただきました。岡田さんには、「要求型」から「提案型」へと住民意識を変えていく重要性について、言及いただきました。

分科会3(菊地さん、岡田さん、田尻)

分科会3(菊地さん、岡田さん、田尻)

■ ご参加者のアンケートから
  • 先進的な事例をお聞きして、たくさんのヒントをいただきました。
  • 小さいことから、工夫に工夫を重ね発展させていくことを学びました。非常に勉強になりました。
■ 参考URL

分科会 4
【地域を築くネットワーク】ネットワークで地域課題に対峙する

 分科会4では、かながわ県民活動サポートセンター 所長 下元さん、東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)事務局 岡坂さんをお迎えして、当センター統括部門長 新田のコーディネートのもと、「地域を築くネットワーク ~ネットワークで地域課題に対峙する~」をテーマに、対話を進めました。

分科会4(下元さん、岡坂さん、新田)

分科会4(下元さん、岡坂さん、新田)

 まず、下元さんには、かながわ県民活動サポートセンターの成り立ちから始めて、東日本大震災の発災から県内の被災地支援ボランティアの広がりと結集、そして、神奈川県と神奈川県社会福祉協議会、NPO法人神奈川災害ボランティアネットワーク(KSVネット)の三者による協働事業「かながわ東日本大震災ボランティアステーション(ボラステ)事業」について、現地や事務局、ホームページなど、様々な場面で活躍したボランティアの存在と、ボランティアバス(ボラバス)の運行や「かながわ金太郎ハウス」などのハード面から、ボランティアの発案を実現につなげるといったソフト面まで、ボランティアの活動を下支えする取組みなどについて、お話いただきました。

 次に、岡坂さんには、東日本大震災における被災者・避難者への支援活動に携わるNPO/NGOや企業、当事者グループ等、2014年2月現在で800を越える団体が参加する全国規模の連絡組織であるJCNについてご紹介いただきました。未曾有の災害に対して、「どこで、何という団体が、どんな活動をしているか」を共有する設立当初から、現地会議などの活動を継続していく中で、新たな団体の参加など、ネットワークの形成・変遷について、また、ネットワークの維持や民間組織としての行政との距離感など、ネットワーク全般についても言及いただきました。

 後半では、グループに分かれて、講師お二人の話を聞いた感想の共有と、事例やネットワーク全般にかかる質問をまとめてもらい、講師も交えて、議論を深めていきました。

分科会4(グループセッション)

分科会4(グループセッション)

■ ご参加者のアンケートから
  • 参加した皆さんとの対話(情報交換)ができ、良かったです。
  • ネットワークというしくみを作った後、いつも顔の見える関係を続けていく必要があると学びました。
■ 参考URL

クロージング

これからの市民社会を先駆ける

 フォーラムのクロージングは、ハリウコミュニケーションズ株式会社代表取締役社長 針生さんをお迎えし、当センター副代表理事 萩原との対談をおこないました。

クロージング(針生さん、萩原)

クロージング(針生さん、萩原)

 まず、針生さんに、地域の様々なステークホルダーと接するという印刷業の強みを活かして、地域に内在する多様な資源と知恵をつなぎ、様々なステークホルダーとの協働と協創を通じて地域が元気になるプロジェクトの核として活動する「ソーシャル・プロジェクト型企業」を目指すご自身の会社のご紹介をいただいた上で、地域情報誌「038プレス」を題材に、お話をいただきました。

 「038プレス」は、仙台駅に近接し、商店街を有するエリアの連合町内会からのニーズを発端に、市民が記者や編集者となって、クオリティにこだわった情報発信を手がけるフリーペーパーであることをご説明いただいたうえで、地域資源を応援し、刺激し、つないでいく中で、新たな活動が生まれる支援を行うなど、地域に根差しながら専門性の高い活動を行う「地縁型中間支援組織」と呼ぶべき位置づけへと発展していったことを、小学校や商店街などとの具体的な連携事業を交えてご紹介いただきました。

クロージング(針生さん)

クロージング(針生さん)

 萩原からは、針生さんのお話を受けて、NPOなどのテーマ型組織と町内会などの地縁型組織との試行錯誤を続けながらの「融合」、市民・企業・行政セクターの間に横糸を通す「クロスセクター」、小学校との連携事業などに代表される地域内の多様な主体を巻き込む「ダイバーシティ」、サッカーのパス回しに例えられる、結果(ゴール)に直接結びつかずとも、いざという時の引き出しとなるような常日頃からの「コミュニケーション」といったキーワードを抽出し、「これからの市民社会」に向けた示唆として、本フォーラムを締めくくりました。

クロージング(萩原)

クロージング(萩原)

■ ご参加者のアンケートから
  • 地縁組織の可能性を感じることができました。
  • 理想的な事例で、多角的な視点から地域活性化を考えるヒントになりました。
■ 参考URL



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□ フォーラム概要(ご案内時のもの)