東日本大震災現地NPO応援基金(一般助成・第2期)第7回選考総評


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第2期第7回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

「4年目を迎え、復興を推進する現地NPOの組織基盤強化のために」

選考委員長 島田 茂

【現地NPO応援基金の概要】

 東日本大震災発生から3年が過ぎました。全国の犠牲者数は、死者1万5,884人[*1]、行方不明者2,633人[*2]の計1万8,517人に上り、福島県を最多に避難生活による体調悪化や自殺などで亡くなった「震災関連死」は、3県のまとめで、1年前より438人増の2,993人[*3]に上っている。3年が経った現在でも26万7千人余[*4]が避難生活を続けている。現地では被災した方々がNPOを立ち上げ、復興の担い手として活動を継続している。しかし、時間の経過とともに資金は減り、組織の課題が表面化するなど、存続に危機を迎えている団体もある。
 現地NPO応援基金は、震災発生直後の2011年3月18日に日本NPOセンターが設置し、日本各地の個人・団体・企業、そして、海外から2014年3月末までの累計で約2億1,354万円の寄付を頂いた。その結果、第1期及び第2期第1回から第6回までに合計63件、総額1億5,895万円の助成を行うことができた。
 この間に、従来の現地NPO応援基金を[一般助成]として定義し直し、新たに[特定助成]として、2012年7月に人材育成に特化した支援を行う『大和証券フェニックスジャパン・プログラム』と、2013年8月にコミュニティの復興・再生・活性化に向けた事業を支える『東日本大震災復興支援JT NPO応援プロジェクト』という二つの[特定助成]制度が加わった。
 現地NPOの支援は、組織基盤を目的とする[一般助成]か、人材育成を中心とする[特定助成]『大和証券フェニックスジャパン・プログラム』か、又は、事業自体を目的とする[特定助成]『東日本大震災復興支援JT NPO応援プロジェクト』かに分かれるが、現実には複数の助成制度に申請している団体もあり、各団体が活動を継続するために外部資金を必死に獲得しようと努力している。

【一般助成の目的】

 [一般助成]は、「組織基盤強化」として、「今後の活動を充実していくために組織の力をつけていくこと」を目的とし、NPOの人材、資金、情報などの運営基盤の強化を主な助成内容としてきた。また、組織基盤強化につながる基礎的な支援ニーズ調査も助成の対象とした。助成の対象となる団体は、岩手県、宮城県、福島県において被災した住民の生活再建を直接支援する「現地NPO」または、それらの団体の「現地ネットワーク組織」あるいは「現地中間支援組織」とした。[一般助成]としては、応募団体のミッション・ビジョン・活動内容・実績を鑑みつつ、被災者の生活再建を持続的できめ細やかな支援が行えるよう、組織の自立的かつ長期的な運営基盤の強化支援を審査基準としてきた。

【第7回選考の経過】

 第7回助成(2014年4月~2015年3月迄の1年間以内)の助成金額は、1件当たり300万円以内(助成総額は新規助成・継続助成を合わせて1,300万円)で募集を行い、1月31日に締め切り、新規助成への応募が57件、継続助成への応募が7件、計64件の応募があった。
選考は、新規助成については、応募多数のため、事務局による予備選考委員会で40件に絞った。選考委員は、40件全ての申請書を書類審査し、各選考委員が事前審査を行い、2月24日に行われた本選考委員会に於いて、【新規助成】候補6件、【継続助成】候補4件、計 10件が選出され、その後、事務局による現地ヒアリングを実施した。
 事務局によるヒアリングの結果、新規助成候補の内1団体は申請内容と実情が異なり却下となった。また、継続助成候補の内1団体は、他の助成が決定し辞退となった。3月 18 日の選考委員長決裁会合で新規助成4件・継続助成3件を助成決定とし、助成総額1,288万円(新規助成878万円、継続助成410万円)を決定した。

【申請書類とヒアリングで気づいたこと-書面と実態のギャップ】

 事務局の現地ヒアリングでは、応募企画書の記載内容(書面)と現地ヒアリングでの確認(実態)とでギャップがある団体があり、主に下記の3つのケースが存在していた。
  ①実態を上手く表現しきれていないため誤解が生じる記載になっている。
  ②活動の実績や団体規模などについて、数字での表記に関して、補足を必要とする。
  ③応募時点から状況の変化などが起きており、齟齬が生じている。
 3つのケースのうち、③については、選考の前提が覆ってしまうことにつながるため、最終的には選考することはできなかった。助成対象として決定した団体に共通している点は、組織内でのビジョンの明確化と共有化がしっかりと図られていたことが挙げられる。現地ヒアリングの際に、図式化した資料を用意し、ビジョンの説明を行った団体もあり、現地ヒアリングの意義や必要性の再確認にもつながった。

【助成候補および助成対象団体の傾向】

 現地NPO応援基金[一般助成]では、第1期及び第2期第1回から第6回までで計63件の助成を行ってきたが、陸前高田市に所在地のある団体への助成は今期の2団体が初めてとなる。甚大な被害を受けた地域が震災後3年を経てようやく組織基盤強化に取り組み始めていることが考えられる。
 今回、助成対象となった団体は、代表・事務局長が女性である割合が多かった。被災地の復興を支える団体の多くは、女性が重要な役割を果たしている。いずれの団体にも共通することは、地域のニーズや現状、団体を取り巻く環境、これまでの活動展開と今後のビジョンなどの間のつながりやストーリー性の有無が重要であり、共感や納得が出来た団体の評価が高かった。前回からの繰り返しになるが、復興に時間がかかる中で、団体の自立性を高めていくことは困難ではあるが、それぞれの団体が改めて使命や目的を参画する役員や会員と共有し、共感し共に活動する仲間を増やし、ブログやSNSなどを活用し活動内容や実績を広く情報発信し、団体としての公明性と透明性を高め、寄附を募るなど組織が強化されることを願う。今回の助成金が、被災者と寄付者の期待に応えられる結果であることを願う。

[*1、*2出典:警察庁緊急災害警備本部 広報資料(2014年3月11日付)、
 *3出典:岩手県、宮城県、福島県の発表(各県のWebサイト:2014年3月31日現在)、
 *4出典:復興庁発表(2014年2月26日付)]


東日本大震災現地NPO応援基金(第2期第7回)選考委員

委員長島田 茂公益財団法人日本YMCA同盟 総主事
委員磯辺 康子神戸新聞社編集局社会部デスク 編集委員
委員栗田 暢之特定非営利活動法人レスキューストックヤード 代表理事
委員黒田 かをり一般財団法人CSOネットワーク 理事・事務局長
委員田尻 佳史認定特定非営利活動法人日本NPOセンター 常務理事・事務局長
委員堀江 良彰認定特定非営利活動法人難民を助ける会 常任理事・事務局長