東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「JT NPO応援プロジェクト」第6回助成 選考結果について


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東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」 の第6回選考を行い、下記の通り決定いたしました。

助成先一覧

No. プロジェクト名/団体名 所在地 助成額
(単位:万円)
6-1 福祉有償運送事業(障害者や要介護高齢者などの暮らしを支える生活支援)
特定非営利活動法人 愛ネット高田
岩手県
陸前高田市
500
6-2 仙台市若林区東部農村地域復興プロジェクト
一般社団法人 ReRoots
宮城県
仙台市
460
6-3 原発被災地域の仮設住民仮設及びみなし仮設)のための要支援者・要介護者急増対策事業
特定非営利活動法人 NPOほうらい
福島県
福島市
482
6(継)-1 地域住民への生活支援、地域コミュニティ形成の促進プロジェクト
特定非営利活動法人 生活支援プロジェクトK
宮城県
気仙沼市
400
6(継)-2 次世代の若者による実践的地域社会課題解決プログラム
一般社団法人 Bridge for Fukushima
福島県
福島市
400

助成件数:5件(新規3件、継続2件) 助成総額:2,242万円(新規1,442万円、継続800万円)
*第6回助成は2014年10月15日までの応募について10,11月に選考し助成が決定したもの。
*助成期間は2015年1月1日から2015年12月31日までの1年間。
*生活支援プロジェクトK、Bridge for Fukushimaは第2回助成対象団体で何れも継続して助成することとなった。

選考総評

選考委員長 大橋正明

[JT NPO応援プロジェクト概要]
 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、認定NPO法人日本NPOセンターが2011年3月から行っている「東日本大震災現地NPO応援基金」に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として2013年8月から実施している資金助成事業である。過去5回公募を行い、2014年11月末時点で、24団体に助成している。なお、2014年8,9月選考、10月より助成開始した第5回助成より、新規助成と1年間の事業を終える助成案件に対する継続助成の2本柱となっている。

[応募状況と選考プロセス]
 第6回助成(助成期間2015年1月1日~2015年12月31日)は、2014年8月より告知を開始、応募受付期間は10月1日~10月15日であった。新規助成の応募件数は、残念ながらこれまでになく振るわず計41団体であった。応募事業の活動地域別内訳は、宮城県が最も多く、続いて福島県、岩手県の順である。団体の所在地では宮城県と福島県同数で、岩手県が次に多かった。41件の内、過去4回の本助成に応募したのは16団体であり、前回の第5回応募と同様に再応募の割合が高い傾向にあった。継続助成については、対象となる第2回助成5団体および第1回助成で一旦助成を終了した2団体のうちの1団体、合計6団体から応募があった。

 新規助成の選考プロセスは、これまでと同様にまず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて慎重に検討を行い、選考委員会において選考すべき16件を選出した。続いてこの16件について選考委員が書面評価を行い、その結果を基に全員参加の選考委員会の場で審議を行い、助成にふさわしいと思われる6団体を選出した。選考委員会後、事務局スタッフがこれら6団体を訪問し、活動状況や選考委員会から説明を求められた疑問点等について詳細な聞き取りを行った。このインタビュー結果を選考委員長に報告し、最終的に決裁を行い、助成事業3件を決定した。助成額合計は1,442万円であった。

 一方、継続助成についても、これまでの活動実績なども踏まえて同日に選考委員会で審議を行い、継続助成がふさわしいと考えられる団体を3団体選出、新規助成と同様に事務局による聞き取りを行ったうえで、選考委員長にその結果を報告し決裁を経て、助成事業2件を決定した。助成額合計は800万円であった。新規と継続をあわせての助成件数は5件、助成金額は2,242万円となった。

[選考における議論のポイント]
 今回もこれまでと同様にJT NPO応援プロジェクトの5つ選考基準*1をベースに審議を行った。

*1≪JT NPO応援プロジェクト選考基準≫

地域性:活動する地域のニーズを把握、事業の内容がそれらに基づいて組み立てられているか
参加性:地域の人々や外部からのボランティア等の参加が期待できるか
連携性:地域の他の団体、企業、自治体等と協力して事業が実施されるか
実現性:目標設定、目標に対する計画、予算等が適切で実現性が高いか
継続性:参加する人々の主体性を育て、活動する地域への長期的な貢献を行なえるか

 これらの選考基準に照らし合わせて審査した結果、新規助成・継続助成いずれにおいても全ての選考基準について万遍なく高い評価ができる事業は、私たちの予想や期待に反して数少なかった。選考委員会において、評価が高くなった事業の特徴および議論のポイントは、主に以下の2点である。

 第1に、事業の「自立化」「地元化」の意思としっかりとした計画である。発災から3年半余りが経過した現在では、当初より外部支援が減少している傾向にあり、組織が自らの人材、資源、資金で運営していくことがより求められている。この「自立化」に向けた準備として、現時点でどのような計画を持っているかが議論のポイントとなった。また、発災直後から実施している事業もしくは新たに開始した事業が今後誰によって担われるのか、そのためにどのような準備、計画をしているのかについても同様に議論された。「自立化」「地元化」について、地域の状況と組織の目標に照らし合わせて具体的であり実現可能性の高い事業は高く評価された。

 第2に、事業の実施地域における、他団体との連携・協力の具体性である。本助成に応募いただく事業の活動地域は異なるが、共通する点は、課題がひとつではなく複合的に存在すること、短期的な解決は難しく継続的な取組によってはじめて成果が出てくることである。復興に向けた地域の課題解決には、1つの組織だけでその解決にもたらすことがより困難になっていると考えられる。この状況下では、協力・連携する組織とのその目的や互いの役割が明確であることと、主体的に課題に取り組む姿勢が重要であり、これらの点において優れている事業は高く評価された。

 本プロジェクトは2年目を迎え、応募いただく事業内容の変化を感じている。地域住民の課題はより細分化され、その人たちを支える現地NPOの事業も継続が困難になっている。その中で地域住民の参加や他の組織や個人と協力しながら課題に取り組む姿勢はより重要になり、そのために組織や事業の意義やビジョンを伝える力も必要になっている。単年度の事業実施に留まらない、地域や組織の継続的な運営に資する助成となることを強く願っている。

【選考委員】

委員長 大橋 正明認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 副代表理事
委員栗田 暢之特定非営利活動法人 レスキューストックヤード 代表理事
委員後藤 麻理子 特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会
理事・事務局長
委員諏訪 徹日本大学 文理学部 社会福祉学科 教授
委員永田 亮子日本たばこ産業株式会社 執行役員

助成概要と選考理由

【新規助成】

テーマ 福祉有償運送事業(障害者や要介護高齢者などの暮らしを支える生活支援)
団体名 特定非営利活動法人愛ネット高田
代表者 代表理事 千葉 丑美
助成額 500万円
選考理由  愛ネット高田は、東日本大震災前は介護保険事業等を行ってきた団体である。
助成事業は、これまで外部支援団体が運営してきた移動困難者のための有償の移動支援事業について、同団体がスタッフ、車両を引き受け、引き継ぐものである。同事業は平成24年度から実施、公共交通機関等では移動が困難な障害児者や高齢者延べ2600名(平成25年度)以上の通院、通学、買い物等に関わる移動支援を行ってきた。
 助成事業は、以上の事業継続を図りつつ、利用者負担、他の事業収入、市の補助金の獲得を図り、持続可能な事業実施体制の構築を目指す。活動地域である陸前高田市にとって、ニーズが強く、助成の必要性が高いと判断した。
これまでの支援実績を着実に継続・発展させつつ、自主財源や市からの補助等、複数の財源を確保しながら、持続可能な事業の確立に期待する。

テーマ 仙台市若林区東部農村地域復興プロジェクト
団体名 一般社団法人 ReRoots
代表者 代表理事 広瀬 剛史
助成額 460万円
選考理由 Reroots(リルーツ)は、仙台市川内コミュニティセンターに避難した大学生が中心となって設立され、累計3万人に及ぶボランティアの受け入れを通じた被災農地の復旧支援活動や、農家の販路形成、行政へのアドボカシー活動等、地域の課題解決に向け取り組んできた団体である。
助成事業は、仙台市若林区において、農業再生を通じた地域コミュニティの再生を目指し、以下の活動に取り組む。
・有識者講演、食の文化祭開催を通じた地域の話し合いのテーブルづくり
・遊休地となった被災農地を活用した農村ツーリズム活動の拡大
・復興公営住宅近くでの野菜の移動販売、地産地消のための食のサークルづくり
・祭事協力、美化活動、景観再生活動を媒介とした地域コミュニティづくり
農村再生に向けては解決すべき課題も多く、長期的、多面的な取り組みが必要とされるが、若者たちが主体となり、地域との積極的な連携を図りながら、計画的かつ意欲的に復興活動に取り組むことで、地域の活力に繋がり、農村再生への取り組みが前進していくことを期待したい。
テーマ 原発被災地域の仮設住民仮設及びみなし仮設)のための要支援者・要介護者急増対策事業
団体名 特定非営利活動法人 NPOほうらい
代表者 理事長 小林 義明
助成額 482万円
選考理由  NPOほうらいは、東日本大震災前から福島市南部地域の住民を対象にしたまちづくりの活動として葛尾村との地域間交流事業や福島市南部地域住民活動連絡協議会の運営等を実施してきた団体である。発災直後は福島市南部地域を対象に、救援物資の配給活動等を行った。
 助成事業は、要支援者・要介護者が急増している仮設住宅・借り上げ住宅において、健康づくりに利点の多いノルディックウォーキング(以下NW)を通じて、疾病予防・介護予防活動を行い高齢者の健康維持・増進を図るものである。このNWは、高齢者のバランス感覚維持に効果があり、また上半身の筋肉を使うために全身の血行改善やメタボ改善にも役立つ。
 高齢者スポーツにおける安全管理として、福島県立医科大学の指導のもとに参加対象者除外ルールを策定するとともに、福島県理学療法士会による技術的指導も受け。飯館村社会福祉協議会等と連携している。仮設住宅ごとにグループを作りリーダーを置いて活動するこのNWが、健康づくりだけでなく、住民同士の交流を図りコミュニティ再生にも繋がることを期待したい。

【継続助成】

テーマ 地域住民への生活支援、地域コミュニティ形成の促進プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 生活支援プロジェクトK
代表者 代表理事 阿部 正孝
助成額 400万円
選考理由  生活支援プロジェクトKは、宮城県気仙沼市階上地区の応急仮設住宅および在宅の被災者に対して、トレーラーハウス「はしかみ交流広場」を拠点に、なんでも相談・健康相談、いきいき体操、健康講話・保健劇をはじめ、野菜づくりや編み物講座、自治会への支援活動等、地域に密着した多様な支援活動を継続している。
 被災各地では、応急仮設住宅やみなし仮設から防災集団移転や災害公営住宅等への転居という転換期を迎えつつあり、住民一人ひとりに寄り添うことが大きな課題となっている。生活支援プロジェクトKは、積み上げてきた地道な活動、医療福祉の専門性をもつスタッフが常駐している強みを活かして、階上地区において重要な存在になっていると考えられる。一方で、住民一人ひとりの問題を地域全体の課題としてどう対処していくのかが問われており、助成事業においても支援者間の協議の場づくり、行政との連携等、輪を広げて継続させていくことを期待したい。

テーマ 次世代の若者による実践的地域社会課題解決プログラム
団体名 一般社団法人 Bridge for Fukushima
代表者 代表理事 伴場 賢一
助成額 400万円
選考理由  Bridge for Fukushimaの助成事業は、東日本大震災を経験した福島県内の高校生たちが、社会課題解決の手法を学びながら、自分たちが関心のある社会課題の解決手段をプロジェクト化、NPOや企業等を巻き込みながら、課題解決に取り組むことを支援するものである。助成事業1年目は35名の高校生が参加、愛知・東京の高校生が来県しての福島遊学スタディツアー、上海の高校生との友好交流事業、県内の温泉地で海産物を養殖するという魅力創造プロジェクト等、11のプロジェクトを高校生が中心となり、実施した。
 今回の継続助成では、1年目の事業と同様に社会課題のプロジェクト化、資金調達、運営を実施する。また、参加校や参加者の拡大、高校生の力量形成のためにコミュニティオーガナイジングの手法についての合宿研修を新たに行う。1年目の事業で形成された高校生のコミュニティを核に次世代に継承していくよう、高校生の参加者や支援する企業・NPOの拡大に取り組むこと、福島県の社会課題に取り組む若い世代が、活力ある人材に育っていくことを期待したい。