東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「JT NPO応援プロジェクト」第7回助成 選考結果について


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東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」 の第7回選考を行い、下記の通り決定いたしました。

助成先一覧

No. プロジェクト名/団体名 所在地 助成額
(単位:万円)
7-1 入浴買い物バス運行による元気・絆復活
特定非営利活動法人いわて地域づくり支援センター
岩手県
花巻市
444
7-2 被災市民による地域コミュニティ維持・担い手育成並びに要援護住民支援の基盤づくりサポート事業
石巻仮設住宅自治連合推進会
宮城県
石巻市
487
7-3 食と農の再生・うつくしまプロジェクト~持続可能な地域資産循環型の福島復興へ~
特定非営利活動法人福島県有機農業ネットワーク
福島県
二本松市
440
7-4 帰村モデルとしての川内村地域再生事業
特定非営利活動法人元気になろう福島
福島県
福島市
392
7(継)-1 南三陸自然史学舎(しぜんしのまなびや)構想実現のための2プロジェクト推進
特定非営利活動法人海の自然史研究所
宮城県
南三陸町
370
7(継)-2 私営公民館の運営と地域コミュニティの活性化事業
特定非営利活動法人 雄勝まちづくり協会
宮城県
石巻市
200
7(継)-3 小高区が「アクションを積み重ねていく」ための、世代間まちづくりワークショップと提案事業の協働実践
特定非営利活動法人 はらまち交流サポートセンター
福島県
南相馬市
400

助成件数:7件(新規4件、継続3件) 助成総額:2,733万円(新規1,763万円、継続970万円)
*第7回助成は2015年1月5日から2015年1月19日までの応募について2,3月に選考し助成が決定したもの。
*助成期間は2015年4月1日から2016年3月31日までの1年間。
*海の自然史研究所、雄勝まちづくり協会、はらまち交流サポートセンターは第3回助成対象団体で何れも継続して助成することとなった。

選考総評

選考委員長 大橋正明

[JT NPO応援プロジェクト概要]
 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、認定NPO法人日本NPOセンターが2011年3月から行っている「東日本大震災現地NPO応援基金」に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として2013年8月から実施している資金助成事業である。過去6回公募を行い、34団体に助成(2015年2月末現在で24団体が助成期間中)している。なお、2014年8,9月に選考し、10月より助成開始した第5回助成より、新規助成と1年間の事業を終える助成案件に対する継続助成の2本柱となっている。

[応募状況と選考プロセス]
 第7回助成(助成期間2015年4月1日~2016年3月31日)は、2014年11月より告知を開始、応募受付期間は2015年1月5日~1月19日であった。新規助成の応募件数は、計47団体であった。応募事業の活動地域別内訳は、宮城県が最も多く、続いて福島県、岩手県の順である。団体の所在地では宮城県が多く、その約半数で福島県、岩手県と続いている。47件のうち、過去6回の本助成に応募したのは12団体であった。継続助成については、対象となる第3回助成7団体のうちの5団体および第2回助成で一旦助成を終了した3団体、合計8団体から応募があった。

 新規助成の選考プロセスは、これまでと同様にまず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて慎重に検討を行い、選考委員会において選考すべき20件を選出した。その後選考委員がこの20件について書面評価を行い、その結果を基に全員参加の選考委員会の場で審議を行い、助成にふさわしいと思われる6団体を選出した。その後、事務局スタッフがこれら6団体を訪問し、活動状況や選考委員会から説明を求められた疑問点等について詳細な聞き取りを行った。このインタビュー結果を選考委員長に報告し、最終的に決裁を行い、助成事業4件を決定した。助成額合計は1,763万円であった。

 一方、継続助成についても、これまでの活動実績等も踏まえて同日に選考委員会で審議を行い、継続助成がふさわしいと考えられる団体を3団体選出、新規助成と同様に事務局による聞き取りを行ったうえで、選考委員長にその結果を報告し決裁を経て、助成事業3件を決定した。助成額合計は970万円であった。新規と継続をあわせての助成は、7件で助成金額は2,733万円となった。

[選考における議論のポイント]
 今回もこれまでと同様にJT NPO応援プロジェクトの5つ選考基準*1をベースに審議を行った。

*1≪JT NPO応援プロジェクト選考基準≫

地域性:活動する地域のニーズを把握、事業の内容がそれらに基づいて組み立てられているか
参加性:地域の人々や外部からのボランティア等の参加が期待できるか
連携性:地域の他の団体、企業、自治体等と協力して事業が実施されるか
実現性:目標設定、目標に対する計画、予算等が適切で実現性が高いか
継続性:参加する人々の主体性を育て、活動する地域への長期的な貢献を行なえるか

 なお継続助成については、上記の選考基準に加えて、1年目事業の活動実績や目標達成状況等も評価した。

 これらの選考基準に照らし合わせて審査した結果、新規助成・継続助成いずれにおいても全ての選考基準をバランスよく満たして高く評価ができる事業は、今回も残念ながら数少なかった。選考委員会においておしなべて高い評価を得た事業の特徴や、選考過程における議論のポイントは、つぎの2点である。

 第1に、事業の「自立化」と「継続性」である。発災からまもなく丸4年を超え5年目を迎えようとする現在、外部からの支援がますます先細りしてきており、組織が自らの力(人材、資源、資金等)で活動を継続していくことがより求められている。この「自立化」に向けて欠かせないのは、事業の将来的な見通しであり、またそのための具体的でしっかりとした計画性である。選考委員会での議論はまさにこの点であった。「自立化」と「継続性」については、地域の状況と組織の目標に照らし合わせて、将来的な展望を見据えたうえで具体的であり実現可能性の高い事業は高く評価された。

 第2に、事業の「実現性」と「連携性」である。応募いただいた事業の課題や活動地域はそれぞれ異なるが、共通する点は、社会課題が複合的にからまり、また一つの団体による、短期的な解決は難しくなってきていることである。それだけに、復興期における課題解決には、課題ならびにその解決策に向けたしっかりとした理解と認識が求められている。現象としての課題についてその背景や構造的な原因、加えて今後の変容の可能性などをきちんと把握して的確で効果的な対策を講ずることが、「実現性」につながる。また、行政や社会福祉協議会をはじめ、関連する組織との連携協力が欠かせない。つまり、「マルチステークホルダープロセス」の考え方である。これらの点において優れている事業は高く評価された。

 すでに2年目に入っている本プロジェクトは、応募いただく事業内容にも変化が見受けられる。地域住民が現在抱かえている課題は、震災以前からの社会課題も底流にある。より正確にいえば、震災復興の課題と従来の課題が混淆される形で、複雑化しかつ個別具体的に現われてきているといえよう。また、各種助成金が全体として先細りするなかで、現地NPOの事業も継続が全般的に困難になっている。そこで求められることは、地域住民の参加や他の組織や個人と協力しながら課題に取り組む姿勢である。それは、「自立性」と「継続性」であり、また「実現性」と「連携性」でもある。この助成プログラムが、地域の課題の改善もしくは解決と組織の継続的な運営に資することを強く願っている。

【選考委員】

委員長 大橋 正明認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 副代表理事
委員栗田 暢之特定非営利活動法人 レスキューストックヤード 代表理事
委員後藤 麻理子 特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会
理事・事務局長
委員諏訪 徹日本大学 文理学部 社会福祉学科 教授
委員永田 亮子日本たばこ産業株式会社 執行役員

助成概要と選考理由

【新規助成】

テーマ 入浴買い物バス運行による元気・絆復活
団体名 特定非営利活動法人 いわて地域づくり支援センター
代表者 代表理事 廣田 純一
助成額 444万円
選考理由  いわて地域づくり支援センターは、岩手県内の地域住民、NPO、行政が対等な関係で持続的な地域づくりを実施することを仲介支援してきた団体である。震災後も岩手県内で地域住民主体の復興計画策定等に取り組んでいる。
 助成事業は、岩手県沿岸の田野畑村村民を対象に、近隣市町村での入浴・買い物をするためのバスを運行、震災による被害で村落と仮設住宅に分断された村民同士の交流を生み出し従来の活力と絆を取り戻すことを目指す。2011年から開始し、村民の強い要望があり継続してきた事業である。今後は継続的な事業実施とともに持続可能な運営を目指して行政、他団体との連携・協力体制を構築することを期待する。

テーマ 被災市民による地域コミュニティ維持・担い手育成並びに要援護住民支援の基盤づくりサポート事業
団体名 石巻仮設住宅自治連合推進会
代表者 会長 増田 敬
助成額 487万円
選考理由  石巻仮設住宅自治連合推進会は、「孤独死をなくそう」を合言葉に、石巻の仮設住宅の自治会の連合会として、石巻市、石巻市社会福祉協議会とも協働しながら、被災した住民が主体となって仮設住宅の自治会のサポート、仮設住宅コミュニティの近隣コミュニティとの融和の推進、復興公営住宅移転後コミュニティの形成支援、関係機関・団体との協働促進などを行ってきた団体である。
 助成事業は、地域包括支援センターや社会福祉協議会と連携した要援護者支援のための啓発活動、仮設住宅の自治会運営をめぐる問題解決の支援(相談受付や支援スタッフの派遣)、単独の仮設住宅では開催が困難な企業等と連携した住民の交流会の開催、コミュニティのリーダーとなる人材の発掘・顕彰等を行う。 復興公営住宅への住民の転居が進む中、仮設住宅自治会の役員も交代しており、自治会役員への支援や新たな人材発掘、移転先での新たなコミュニティ形成が求められている。単独の自治会での対応には限界があるなか、自治会活動を支援する本事業は極めて時宜にかなったものとして期待する。
テーマ 食と農の再生・うつくしまプロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 福島県有機農業ネットワーク
代表者 理事長 菅野 正寿
助成額 440万円
選考理由  福島県有機農業ネットワークは、農業者・消費者・研究者・農業団体や行政との連携のもと、福島県内の有機農業の再生を目的とした事業を行っている。 東日本大震災後、福島における農業の現状を伝えるためのシンポジウムや現地視察を実施し、2013年3月には、福島県の農産物の販売、食の提供、交流窓口さらには東京に避難している被災者の集うアンテナショップとして「ふくしまオルガン堂下北沢」を東京都世田谷区に開設する等、福島県の食と農の再生を目指す活動は、県内他地域にも広がりを見せている。
 助成事業は、地元内外企業や市民団体と連携した市場調査・商品開発・販路開拓等を通じ、持続可能な地域資源循環型の事業を目指す。福島農業再生を加速させるべく、農家・企業・市民団体の新たな連携の試みと、農業体験交流と販売事業の川上から川下までの仕組みづくりに期待したい。
テーマ 帰村モデルとしての川内村地域再生事業
団体名 特定非営利活動法人 元気になろう福島
代表者 理事長 根本 二郎
助成額 392万円
選考理由  元気になろう福島は、福島県出身の県内外在住のメンバーによって福島市を中心とした地域活性化の活動を行ってきた団体である。震災後は双葉郡の農家コミュニティの支援等を実施している。
 助成事業は、福島県川内村で農業を再開もしくは再開を検討している農業者の支援として現在も福島県内に避難している大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村等の農業者を農業のプロボノとしてコーディネートする。事業を通じて川内村の農業者は農業再開にあたっての人手不足の解消、避難している農業者にとっては農業と関わる機会が増えることによる将来への意欲向上を目指す。 
 帰村後の生活への不安や将来への希望を見出しにくい状況下で、川内村等の双葉郡の住民のニーズを満たし、意欲を高める帰村モデルの構築に期待したい。

【継続助成】

テーマ 南三陸自然史学舎(しぜんのまなびや)構想実現のための2プロジェクト推進
団体名 特定非営利活動法人 海の自然史研究所
代表者 代表理事 藤田 喜久
助成額 370万円
選考理由  海の自然史研究所は、南三陸町の自然資源を食とアートという2つの形で伝える企画を打ち立て、壊滅的な被害を受けたふるさとの再生と自立した事業展開を目指して様々な取り組みに尽力している団体である。
 1年目の助成事業は、ミュージアムショップで取り扱う魅力的な商品の企画・開発、試作品の制作、地域水産物を使った新しいレシピの開発、県外の東京等で販売を行った。
 2年目の助成事業は、1年目で培ったノウハウや反省点を駆使しながら、ミュージアムグッズ、レシピを継続して企画・開発、加えて模擬店での販売やイベント実施、Webサイト構築による普及に取り組む。
 新規商品等の開発は、時間と労力が必要であり、復興支援グッズに全体的には売り上げが下降傾向にある状況は直視しなければならない。2年目の助成事業では、具体的な結果と成果を生み出し、南三陸に新しい名物が生み出すことを期待する。
テーマ 私営公民館の運営と地域コミュニティの活性化事業
団体名 特定非営利活動法人 雄勝まちづくり協会
代表者 理事長 及川 拓磨
助成額 200万円
選考理由  雄勝まちづくり協会は、宮城県石巻市雄勝町にある私営公民館「オーリンクハウス」を拠点に、町内の仮設住宅生活者や地域住民たちが集まり、語らい、交流する場所を提供している。
 1年目の助成事業は、公民館において定期的にさまざまな学習会や映画鑑賞、イベント等を行うとともに、地域住民が自主的に行うサークル活動の結成をサポートしてきた。例えば、生花教室の参加者は終了後にサークルを結成し、現在も継続した活動を行っている。
 2年目の助成事業は、公民館に併設しているコミュニティカフェの運営を改善し一定の収益も見込みながら、住民の自発的な活動を促進することに力を注ぎ、引き続き人々の交流と学びの場を提供する計画である。
 近い将来、町に学校が戻ってくることを想定し、子どもたちが集えるプログラムづくり等の住民のニーズと復興のフェーズに合った活動メニューを提供するとともに、多様な住民が自主的に運営や事業に参加できるアクティブな地域拠点に発展することを期待する。
テーマ 小高区が「アクションを積み重ねていく」ための、世代間まちづくりワークショップと提案事業の協働実践
団体名 特定非営利活動法人 はらまち交流サポートセンター
代表者 代表理事 門馬 浩二
助成額 400万円
選考理由  はらまち交流サポートセンターは、南相馬市および相双地域の経済活動の活性化のため、観光・スポーツ・文化を通じて、市外との交流人口の拡大に取り組んできた団体である。震災後は都市部からのボランティアの受け入れ、県内外の農業大学や高校の若者による農業のネットワークの構築や農業復興支援などを行ってきた。
 1年目の助成事業は、居住制限地域である南相馬市小高区の高校生や住民を対象に、「食と文化」「まち歩き勉強会」などをテーマにした世代間ワークショップ、「藍染体験会」「繭クラフト勉強会」「景観工芸作物栽培」等の農業交流事業を開催し、帰還・復興に向けた新たな町づくりのための合意形成と学習活動を進めてきた。
 2年目の助成事業は、より多くの住民を巻きこんでのワークショップやまちづくりアクションの実践、農業交流事業の技術向上のための講習会と人材育成を行い、住民主体による継続的に行える体制の構築を目指す。
 2016年の居住制限解除を前に、新しいまちづくりに向けた新たな一歩を踏み出すため、世代を超えたつながり、合意形成が必要であり、事業を着実に進めることを期待する。