東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「JT NPO応援プロジェクト」第11回助成 選考結果について


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東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」 の第11回選考を行い、下記の通り決定いたしました。

助成先一覧

No. プロジェクト名/団体名 所在地 助成額
(単位:万円)
11-1 東日本大震災の内陸避難者を支える活動
いわてゆいっこ花巻
岩手県
花巻市
300
11-2 食の循環を通して心と体を元気にする地域支え合いプロジェクト
一般社団法人 ワタママスマイル
宮城県
石巻市
425
11-3 NPO・市民活動団体の活性化と協働推進のための情報発信事業
特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
宮城県
石巻市
300
11-4 復興公営住宅相互とNPOの連携による新たな共助(well-being)の体制づくり
特定非営利活動法人 つながりデザインセンター・あすと長町(旧・あすと長町コミュニティ構築を考える会)
宮城県
仙台市
488
11-5 住むことを禁じられた海辺のまちの縁側づくり
荒浜再生を願う会
宮城県
仙台市
324
11-6 避難からの”次の暮らし″をつなぐ・支える応援プロジェクト
特定非営利活動法人 市民公益活動パートナーズ
福島県
福島市
450
11-7 震災によって避難生活を送る子どもたちを支えるための教育・福祉支援とコミュニティづくり
特定非営利活動法人 ビーンズふくしま
福島県
郡山市
434
11(継)-1 民営公民館の運営と地域コミュニティの活性化事業
特定非営利活動法人 雄勝まちづくり協会
宮城県
石巻市
290
11(継)-2 帰村モデルとしての川内村地域再生事業
特定非営利活動法人 元気になろう福島
福島県
福島市
385

助成件数:9件(新規7件、継続2件) 助成総額:3,396万円(新規2,721万円、継続675万円)
*第11回助成は2016年1月4日から1月18日までの応募について1,2,3月に選考し助成が決定した。
*助成期間は2016年4月1日から2017年3月31日までの1年間。
*雄勝まちづくり協会、元気になろう福島は第7回助成対象団体で、何れも継続して助成することとなった。
*いわてゆいっこ花巻は、団体解散に伴い2016年11月末に助成中止となった。

選考総評

選考委員長 大橋正明

[JT NPO応援プロジェクト概要]
「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、特定非営利活動法人日本NPOセンターが2011年3月から行っている「東日本大震災現地NPO応援基金」に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として2013年8月から実施している助成プログラムである。2年間で10回の助成を行い、57のプロジェクトに計2億3千万円を超える助成を行ってきた。

[応募状況]
第11回助成(助成期間2016年4月1日~2017年3月31日)は、2015年11月より告知を開始、応募受付期間は2016年1月4日~1月18日であった。
新規助成の応募は51件、応募事業の活動地域は、これまでと同様に宮城県が最も多かったが、岩手県が全体の約3割を占めたことが特徴だった。また、過去1年間にJT NPO応援プロジェクトに応募したことがある団体は全体の約4割を占めた。
継続助成の応募は、応募資格がある9団体のうち4団体から応募があった。この内、継続2年目への応募が2団体、継続3年目への応募が2団体であった。

[選考プロセス]
新規助成の選考は、これまでと同様にまず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて審議し、本審査の対象として22件を選出した。本審査では選考委員が選考基準に基づいて事前に書面評価を行ったうえで、5名の委員が全員参加する選考委員会で活発に意見を交わし、助成候補7件を選出した。その後、事務局スタッフが7団体を現地訪問し、活動の状況や選考委員会で挙げられた点について詳細なヒアリングを行った。選考委員長はヒアリングの結果を加味して助成対象と金額を検討し、最終的に助成対象7件、助成総額2,721万円を決定した。
継続助成の選考は、前回の助成事業の取り組みと今回の応募内容について、各選考委員が選考基準に基づいて書面評価を行ったうえで、選考委員会で助成候補2件を選出した。その後、事務局スタッフが現地ヒアリングを行い、選考委員長の決裁を経て、助成対象2件、助成総額675万円を決定した。
新規助成と継続助成を合わせた助成件数は9件、助成総額は3,396万円となった。

[応募内容の全体的な特徴と選考のポイント]
今回の応募内容から窺える全体的な特徴は以下の3点が挙げられる。
(1)被災者が抱える課題はより個別化・深刻化している。
(2)国・自治体の取り組みは被災者の多様な課題に充分に対応できていない。
(3)(1)(2)を踏まえてNPOは従来の活動の修正や新たな展開を模索している。

審議では、まず被災者の状況について応募団体がどのような問題意識をもっているか、応募内容はその問題意識に基づいて企画しているかについて議論を行い、団体のミッションや活動実績に基づいてこれらの点が明確に説明されている応募事業は高く評価された。
次に、応募事業の目標と企画内容について議論を行った。本助成のテーマである「コミュニティの再生」に合致している、被災者が抱える問題やニーズを反映している、課題の解決につながる独創的なアイデアが盛り込まれている応募事業は高く評価された。一方で、これらの点について説明が十分に頂けなかった応募事業は厳しい評価となった。
最後に、応募事業の継続性や今後の展望については、多くが助成金や補助金による収入で運営されており、展望も模索段階であることを確認した。最終的には、問題意識、企画内容、これまでの活動実績を総合的に判断して期待が持てる応募事業を高い評価とした。
被災者のみならず応募団体自身も目まぐるしい変化にさらされている中で、中長期的な展望をもち、安定的な財源を確保していくことは大変困難であるが、被災者に寄り添った活動を継続していくために、団体の使命や目的の共有を行い、今後の展望を団体内で議論することや、賛同者や支援者を増やすための情報発信や仕組みづくりなどにも取り組まれることを期待する。

最終的に助成が決定した9つの事業は、被災者が抱える問題やニーズに対して、当事者と支援者のコミュニティをサポートする、あるいは、新たなコミュニティやコミュニティ再生の基盤や仕組みをつくることでその解決を目指している。
内陸部へ避難した人たちに寄り添い・支えるコミュニティづくり、震災により住む場所を分断された人たちを支え合うコミュニティづくり、地域コミュニティの復興に取り組む新たな基盤づくり、復興公営住宅での新たなコミュニティづくり、独自の地域文化やコミュニティを再生するための取り組み、避難から次の暮らしへとつなぎ・支えるコミュニティづくり、避難生活を送る子どもたちを支えるコミュニティづくりなど様々である。
9つの事業はそれぞれに明確な問題意識と企画内容を持っており、被災者に寄り添い、支える取り組みとして期待できる。

2016年3月で震災から5年が経過し、「地域の人々と共に取り組む、コミュニティの復興・再生・活性化」を目指す取り組みは転機を迎えている。被災者の声に耳を傾け、地域の変化に気づき、真っ先に課題に取り組んでいくNPOならではの取り組みが実施されることを願う。

【選考委員】

委員長 大橋 正明認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 副代表理事
委員栗田 暢之特定非営利活動法人 レスキューストックヤード 代表理事
委員後藤 麻理子 特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会
理事・事務局長
委員諏訪 徹日本大学 文理学部 社会福祉学科 教授
委員永田 亮子日本たばこ産業株式会社 執行役員

助成概要と選考理由

【新規助成】

テーマ 東日本大震災の内陸避難者を支える活動
団体名 いわてゆいっこ花巻
代表者 代表 大桐 啓三
助成額 300万円
選考理由   いわてゆいっこ花巻は、岩手県沿岸の釜石市などから内陸の花巻市に避難した人々を対象に、継続して生活支援を行ってきた市民活動団体である。
今回のプロジェクトでは、みなし仮設住宅に居住する単身者や要介護者のいる世帯への訪問活動、傾聴活動、子育て世帯のお茶会、専門機関への橋渡し、農園の提供、同郷人会、季節ごとの各種交流会、追悼集会など、多岐にわたる活動を行い、孤立やひきこもりの防止、健康維持を支援する。また、ゆいっこ花巻新聞を発行し、イベントや行政施策等の情報を毎月届けたり、個別の相談活動を行ったりすることで、避難者それぞれの自立に向けた方向性が決定できるよう支援することを目的としている。
今後、みなし仮設住宅への行政による支援期限が検討されるなど、内陸避難者の心身への負担はますます増加すると予測される中、いわてゆいっこ花巻がこれまで重ねてきた丁寧な情報提供や個別対応、交流や活動の場の継続が求められる。みなし仮設住宅から自立する家族を支援し、被災者と市民のコミュニティが創生されるよう期待したい。
テーマ 食の循環を通して心と体を元気にする地域支え合いプロジェクト
団体名 一般社団法人 ワタママスマイル
代表者 代表理事 菅野 芳春
助成額 425万円
選考理由   ワタママスマイルは、被災した住民を雇用し、石巻市渡波地区の仮設住宅等の住民を対象に、見守りを兼ねた配食サービスや、地元の海産物を食材とする食堂を運営してきた市民活動団体である。
今回のプロジェクトでは、食堂の近隣にある土地を整備して、渡波地区の仮設住宅や復興公営住宅の住民が、専門家の指導を受けながら、地元特産の野菜づくりを楽しむことができる市民農園を開設する。農園は住民が共同で作業する区画と個人に貸し出す区画をつくり、収穫した野菜の一部はお弁当や食堂の食材として活用する。
農園が、今後の生活に向けて不安を感じ、生きがいや居場所を必要としている仮設住宅、復興公営住宅、自主再建した住民の継続的な交流の場となり、食の循環を通して心と体を元気にする地域支え合いのコミュニティが生まれるよう期待したい。
テーマ NPO・市民活動団体の活性化と協働推進のための情報発信事業
団体名 特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
代表者 代表理事 大河原 惇
助成額 300万円
選考理由   いしのまきNPOセンターは、東日本大震災前から石巻市内の市民活動団体を支援してきたNPO支援団体である。震災後は市民活動団体の取り組みを発信するポータルサイトを行政からの受託業務として運営し、また、昨年11月に市民活動団体の活性化を目的に設立され、68団体が登録する石巻市NPO連絡会議の事務局を担っている。
今回のプロジェクトは、市民活動団体の情報発信プラットホームを構築し、市民・行政・企業への周知を図り、また、活動のテーマ別・エリア別に集まる分科会を設置し、団体間の連携や行政・企業との協働を推進することで、市民活動団体の活性化と継続に寄与することを目的とする。具体には地元の新聞社と協働してNPO情報誌を毎月発行し、また、市民活動情報の収集・発信力の強化とポータルサイトのリニューアルに取り組む。
震災から5年が経過し、市民が主導し、市民活動団体・行政・企業が連携して地域コミュニティの復興に取り組む基盤が構築されるよう期待したい。
テーマ 復興公営住宅相互とNPOの連携による新たな共助(well-being)の体制づくり
団体名 あすと長町コミュニティ構築を考える会
代表者 代表 飯塚 正広
助成額 488万円
選考理由   あすと長町コミュニティ構築を考える会は、仮設住宅におけるコミュニティ構築および復興公営住宅への移転に向けたコミュニティづくりに取り組んできた市民活動団体である。
今回のプロジェクトでは、仙台市太白区あすと長町地区内に3か所建設された復興公営住宅の自治組織づくりや集会所の運営の仕組みづくりをサポートする。また、多世代が交流するための場づくりや復興公営住宅の住民による地域マップづくりに取り組む。
仮設住宅から復興公営住宅への転居に伴い、高齢者や単身者世帯を中心に健康や孤立の問題が生じやすい状況の中で、あすと長町コミュニティ構築を考える会が、仮設住宅における取り組みで蓄積したノウハウを活かして、復興公営住宅の住民同士の助け合いなど新たなコミュニティづくりの仕組みが構築されるよう期待したい。
テーマ 住むことを禁じられた海辺のまちの縁側づくり
団体名 荒浜再生を願う会
代表者 代表 貴田 喜一
助成額 324万円
選考理由   東日本大震災により、住環境の壊滅的な被害と186名の犠牲を伴い、地域全域が災害危険区域に指定された仙台市荒浜地区。荒浜再生を願う会は、震災前の海辺のまち独自の地域文化やコミュニティまでもが消滅しないよう、拠点となるロッジを建て、お昼のお月見会やオモイデツアーなどのイベントを実施したり、有識者を交えた公開討論会を重ねたりするなどして、移転した住民や活動に賛同するボランティアなどが気軽に立ち寄り、また将来のまちづくりが検討できる場づくりに取り組んできた。
今回のプロジェクトは、これらの取り組みをさらに深化させ、「ほぼ週おちゃっこ」や「ほぼ月壁新聞」など、ユニークな愛称で活動を定期化し、また食文化や住環境の再現などを通じて、地域の歴史や文化の継承を図ろうというものである。
災害危険区域の土地利用については、未だ不確定要素も大きいが、住民本位・地域主体の原則のもと、多様なセクターの参加で議論を積み上げ、将来のコミュニティづくりにつながる有益な提案が生まれるよう期待したい。
テーマ 避難からの”次の暮らし″をつなぐ・支える応援プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 市民公益活動パートナーズ
代表者 代表理事 古山 郁
助成額 450万円
選考理由   福島県においても、仮設住宅の入居期限といわれる2017年度に向けて、仮設住宅から復興公営住宅への転居や自宅再建など、“次の暮らし”への選択と移動が始まろうとしている。避難当初から積み上げられてきた仮設住宅のコミュニティが再び壊れ、新たな暮らしへの不安を抱える人たちは少なくない。とりわけ復興公営住宅へ入居する住民の半数以上が高齢であると想定されるため、移転前後のサポートは不可欠なものとなる。
市民公益活動パートナーズは、震災直後より相双地域から避難した住民の生活支援を継続しているNPO支援団体で、今回のプロジェクトは、浪江町などから桑折町や福島市などへ避難している人々への情報提供と、コミュニティの復興に取り組むNPOへのサポートの2つの事業が柱になっている。前者は次の暮らしの中での新たな住民同士のつながりづくりを支援し、後者はNPOの組織基盤と支援力の強化を図ろうとするものである。復興への新たなフェーズを迎える福島において、避難者の“次の暮らし”をつなぐ・支えるコミュニティづくりのモデルとなるよう期待したい。
テーマ 震災によって避難生活を送る子どもたちを支えるための教育・福祉支援とコミュニティづくり
団体名 特定非営利活動法人 ビーンズふくしま
代表者 理事長 若月 ちよ
助成額 434万円
選考理由   ビーンズふくしまは、福島県内の不登校の子ども、ひきこもりの青年たちとその家族の支援活動として、震災前からフリースクール等を展開してきた市民活動団体である。被災者の支援活動では、2011年9月から県北地域及び県中地域において、仮設住宅の子どもたちの居場所確保を目的に、遊びや学習支援に取り組むとともに、県外自主避難親子の心のケア、帰還した親子の居場所づくりなどの事業を行ってきた。
今回のプロジェクトは、現在も仮設住宅やみなし仮設住宅で避難生活を送っている富岡町や川内村の子どもたちを対象に、郡山市と三春町の2か所を拠点に、遊びや学習支援の活動を、週2日ずつ通年で行うとともに、避難先の住民との交流や郷土文化を継承するための体験活動などを行う。
まだまだ先行きが不透明で今後の生活再建にむけた選択で親たちが不安を抱えている中、子どもたちの居場所や学習支援の活動を継続し、子ども・保護者の選択や願いを包摂した教育とコミュニティの再生につながるよう期待したい。

【継続助成】

テーマ 民営公民館の運営と地域コミュニティの活性化事業
団体名 特定非営利活動法人 雄勝まちづくり協会
代表者 理事長 及川 拓磨
助成額 290万円
選考理由   雄勝まちづくり協会は、津波により多くの居住地を失い、高台移転事業が進められている石巻市雄勝町で、民設民営の公民館「オーリンクハウス」を立ち上げ、各種のイベントや文化活動、コミュニティカフェを運営し、住民同士のつながりと自発的な活動の拠点づくりに取り組んできた市民活動団体である。
2年間の助成による取り組みで、ハード面の復興が遅れている雄勝において、オーリンクハウスは住民の貴重な集いの場として定着しつつあり、財源の柱となっているカフェのメニュー開発やサービスの工夫などにより、新たな来場者やリピーターも増加し、現在も自立のためのカフェ事業強化の努力が続けられていることが評価された。
3年目の助成となる今回のプロジェクトは、介護など特定のテーマや悩みを抱える住民が参加し、情報交換や関係づくりを行う場として、“小規模コミュニティカフェ”を企画する。
地域住民の自発的な参加を引き出すとともに、専門機関や団体も巻き込みながらプロジェクトを展開し、豊かなコミュニティの礎が形成されるよう期待したい。
テーマ 帰村モデルとしての川内村地域再生事業
団体名 特定非営利活動法人 元気になろう福島
代表者 理事長 根本 二郎
助成額 385万円
選考理由   元気になろう福島は、震災前から福島県内の地域活性化に取り組み、震災後は農業支援を通じた双葉郡の地域再生に取り組んでいる市民活動団体である。
1年目の助成では、避難している双葉郡の農家をコーディネートして、川内村に帰還した農家の農作業をサポートした。年間の活動を通して、避難先で土に触る機会が無かった双葉郡の農家にとっては農業に関わる機会として、農業を再開した川内村の農家には人手不足や再開の不安や悩みを話せる機会として、お互いの意欲を高め、ニーズを満たす結果を生み出した。
2年目の助成となる今回のプロジェクトでは、川内村の農家、双葉郡の農家のいずれも参加人数を増やし、事業規模を拡大して実施する。
このプロジェクトを通じて、農業に取り組む者同士が結び付き、支え合うコミュニティが広がり、双葉郡の農業と地域の再生につながるよう期待したい。