特定非営利活動法人 NPO砂浜美術館 理事長 村上 健太郎さん

NPO砂浜美術館は1989年に任意団体として発足し、高知県黒潮町でTシャツアート展やホエールウォッチングなどを手掛けています。2003年に法人化した際には、行政主導で、観光協会など4つの団体が「観光」を切り口にNPO砂浜美術館としてまとまることとなりました。それぞれの団体に歴史があり、個性もある中で、すぐにというよりは段階的に一つにまとまっていきました。行政との関係も法人化により対等なものへと移っていきます。

法人化に伴い事業ボリュームが増え、スタッフも増加。事業分野も多岐に渡り、スタッフ間でミッションの共有ができない状況となります。スタッフに子育て世代が増加してきたこともあり、将来設計の持てる賃金体系の確立など、しっかりとした組織基盤の必要性を意識するようになりました。

パナソニックのNPOサポートファンドは、事業への助成ではなく、組織基盤強化への助成だったので渡りに船のプログラムでした。組織基盤強化で最初に実施したことは、半年間にわたる役職員へのヒアリングによる課題の洗い出しとステークホルダー調査です。調査では町議会議員全員に話を聞くなど、相応の労力を要しましたが、意外な発見があり、とても重要なステップでした。

優先課題には、(1)地域への浸透不足、(2)財政構造の転換、(3)人材管理が挙げられました。プログラムのコンサルからは「(1)と(2)は車輪の両輪であるから一体的に取り組むように」とアドバイスがあり、この視点がとてもいいヒントになりました。課題解決に向けて、地域とのつながりの強化(スポーツ大会の開催や地域への経済的な還元など)や観光ネットワークの構築、賃金体系・財源構成の見直しなどに取り組み、組織改善を図ることができました。

このときの組織基盤強化プログラムを、法人の「事業」としてきちんと位置づけて行えたことが非常によかったと思っています。プログラムによって学んだ手法は、その後の課題解決にもつなげることができています。