NPO法人こまちぷらす 発表者:北本若葉さん(副代表)

特定非営利活動法人こまちぷらす 副代表 北本若葉さん

NPO法人こまちぷらすは、子育てで孤立することなく、子どもの誕生が歓迎される社会をつくることを目指して、「こまちカフェ」の運営(居場所事業)や、子育てに関する情報発信を行っています。

団体は、2012年2月に現代表を含む友人5人で、週1日のカフェ営業からスタートしました。1年後には、常設店舗を毎日営業するとともに、区役所内での子育て応援ルームの運営と事業が展開していきました。

私が仲間に加わったのは2013年6月、まさに運営や活動も慌ただしいときでした。二つの拠点を行き来する代表とスタッフが、顔を合わせる時間もなかなか取れない。やる気のあるスタッフが集まり、頑張っているけれども、なんだかうまくいっていないという雰囲気が漂っていました。

なぜ、このような事態になってしまったのか。スタッフの話を聞いていて分かったのは、目指す方向は見えていたものの、一人ひとり大事にしているポイントが異なり、それをすり合わせる時間がなかったために、徐々にズレが大きくなっていったということでした。

そこで、まず取り組んだのは、原点に戻るということ。こまちぷらすは、何を目指しているのか。代表と理事で問い直し、確認したうえで、私たちが提供しているサービスはどのような意味を持ち、そのために組織としてどうすることが望ましいのかという視点で、活動を見直していきました。

組織が空中分解しかけたことで気づいたのは「組織は『人』ありき」ということ。これをきっかけに、新メンバーが加わる際には個別面談を必ずして、一人ひとりの想いやスキルと団体が必要としている力をマッチングさせるようになりました。

また、理念を共有するために、月1回のスタッフミーティングも始めました。その中で新たに気づいたのは、大事なのは「伝える」ことではなく、「伝わる」ということ。理念の共有が大事との思いから何度も会議の場で、口頭で伝えていたところ、「理念が分かっていないと思われているのか」とメンバーから反感を買ってしまう、ということがありました。そこで、考えた末に、理念共有に向けた工夫の1つとして始めたのがムービーの導入です。

ムービーの作成によって、メンバー内にとどまらず、ボランティアやお客様、行政や地域のキーマンにも団体を理解してもらえるようになり、結果として、人のつながりが広がり、事業の発展につながっていきました。

このほかの取組みについては、セミナーや書籍でもご紹介しています。また、ぜひカフェに来ていただき、スタッフにも話を聞いていただけると嬉しいです。