第1期助成レポート:杜の伝言板ゆるる


●震災以前から、情報誌を中心にずっと宮城県のNPO・ボランティア活動について情報を発信し続けてきた杜(もり)の伝言板ゆるる。「小さいながらも地域の復興に貢献している地元NPO。それを伝えていくのが私たちの使命」と語られる代表理事の大久保朝江さんにお話しを伺った。
【助成金額420万円(第1回助成220万円、第2回助成96万円、補足助成104万円)】

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聞き手:震災後の取り組みについて、教えて頂けますか。

大久保:まずNPOの状況を把握しようとしました。具体的には、県内のNPOに対し、電話やメールで、安否確認と被害状況について聞き取り調査をしました。調査は震災から5日目にスタートし、10日間で330団体から回答をもらいました。津波被害を受けた沿岸地域のNPOとはほとんど連絡が取れず、それ以外の地域からの回答が多かったのですが、その時点では高齢者や障害者へサービスを提供している事業者が、交通機関の停止やガソリン不足などで、事業を再開できておらず、その結果、収入が減り潰れてしまう団体が出てくる可能性が高い、といったことが見えてきました。

聞き手:その結果を受け、すぐに支援活動を始められたのですか。

訪問による実態調査の様子

訪問による実態調査の様子

大久保:沿岸部のNPOの状況も含めて正確に状況把握がないまま動けないので、特に高齢者や障害者の支援をしているNPO法人に限定して、アンケートと訪問による本格的な実態調査を実施することにしました。その調査を実施するための人件費や移動交通費に現地NPO応援基金からの助成金を活用し、早速5月から、新しく専従スタッフを増員することができました。 

聞き手:訪問された時の現地の様子はどんな状況だったのですか。

大久保:もちろんすぐに支援活動をしている団体もありましたが、しばらくの間は気力
が湧かないというか、途方に暮れている団体も多かったです。その頃は、とにかく被災地に行って団体を訪問することを繰り返しました。すると、徐々に元気を取り戻してきて、何回も訪問しているうちに、ちょっとずつぽろぽろ話し始めてくれました。

聞き手:被災地のNPOにもちょっとずつ変化が出てきたわけですね。

大久保:訪問して寄り添う。これを続けました。後になって「精神的な支えになった」という言葉ももらいました。寄り添いながら、話を丹念に聞き、実態を詳しく把握する中で、各団体の活動再開に向けた課題が明確になっていきました。ずっと使ってきた拠点が流されてしまい、事業所がない中で融資返済を抱えている団体や、開所式をした直後に施設が流され、融資そのものが下りないかもしれない団体、利用者が減り減収になった中でも雇用を守ろうと奮闘している団体など、どれも1つの団体だけで乗り越えられる課題ではありません。施設再建に向けて、社会福祉法人と同等の公的支援(*)をしていただくための働きかけをする一方で、寄付応援サイト「復興みやぎ」を立ち上げ、特に建物被害が大きく、お金のめどが立たない団体が一緒になって、寄付を呼びかけることにしたのです。その立ち上げ資金のために現地NPO応援基金に2度目の申請をしました。

(*)当初、宮城県ではNPO法人は国の介護保険施設再建のための助成金(「社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金」)の対象外となっていた。社会福祉法人は5/6。

聞き手:その寄付応援サイト「復興みやぎ」とは、どういったサイトなのでしょうか。

活動再開に動き出す団体

活動再開に動き出す団体

大久保: 最もこだわったのは、寄付をしたい人が応援したいNPOを自ら選んで直接寄付ができることです。私たちが紹介する団体の状況を見て、支援したいと思ってくれる人がいるはず。お金だけではなくそうした気持ちも一緒につなげていきたい。そして、寄付者とNPOのつながりが生まれ、これをステップにNPOの発信力が上がり、継続的な支援へとつながることが理想です。 

聞き手:2つのプロジェクトを通じて、現地NPO応援基金はどのように役立ったとお考えですか。

大久保:今回の応援基金は、支え手を支えてくれるお金でした。被災者を丁寧にサポートしようと思うと、人が介さないとできない部分が多く、そうした「地域を支える人」と「支える人を支える人」のためのお金が必要です。でも現実には、人件費への寄付や助成は多くはありません。人件費をどこから捻出するのか。この問題をクリアできなければ、被災NPOに寄り添った支援は難しかったかもしれません。

聞き手:今後の課題について、教えて頂けますか。

大久保:まずは福祉施設の運営をしている団体の状況を重点的に調べ、支援をしましたが、それ以外の分野の団体について、きちんと調べる必要があると感じています。まだ動き出していない団体が多いように感じていますが、それは、活力や気力に依るところが大きいと思う。まだやる気がわかない状態なんだと思うんです。そこにどうやって活力や気力を持ってくるか。難しい問題です。
ただ、1歩動き出したところを応援できれば、3歩4歩と前に進めていくのではないかとも感じています。そういった気持ちを後押しする、きっかけとなる支援をしてきたい。そうした、被災地NPOが行う小さなことの積み重ねが地域を動かしていくと信じています。

2011年10月6日(@宮城県仙台市)
取材者:岡本泰志