ガイドスター来日公演


米・ガイドスター創設者であるバズ・シュミット氏、カロライン・ネリガン氏、ティンズレー・ゴード氏の来日に合わせ、財団法人公益法人協会は11月30日、「NPOの情報公開と今後の可能性」と題したセミナーを行った。
2006年11月30日(木) @日本財団
挨拶・問題提起 公益法人協会理事長 太田達男氏
講演 「NPOの情報公開?米国・英国の経験を中心にして?」n ガイドスター創設者 バズ・シュミット氏
講演 「NPOの情報公開とアカウンタビリティ」n 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授 山内直人氏
講演 「世界におけるNPO情報公開の潮流」
 ガイドスター カロライン・ネリガン氏
講演 「ガイドスターWEBサイトの日本における可能性」n ティンズレー・ゴード氏
パネルディスカッション 「NPOの情報公開の意義と今後の課題」
 バズ・シュミット氏、カロライン・ネリガン氏、ティンズレー・ゴード氏
 太田達男氏、松岡紀雄氏(神奈川大学)、鶴見和雄氏(日本フォスター・プラン協会)
 コーディネーター 宮川守久氏(公益法人協会副理事長)
ガイドスターはアメリカで1994年に開設されたデータベースサイト。
100万を超える非営利団体の情報を掲載し、アメリカの非営利セクターにおけるスタンダードなデータベースとして定着している。http://www.guidestar.org/
【参考】
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・「NPOにとっての効果的な情報公開と評価の手法とは ? 米国ガイドスター会長バズ・シュミット氏を囲むセミナー ?n 日本国際交流センターによるレポート
 シーズ=市民活動を支える制度をつくる会によるレポート
市民セクター全国会議2002「支援者からの信頼を得るために必要なこと ?情報の公開と広報活動の視点から考える」
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以下、講演内容の要旨をまとめた。
【注】n————————————————————–
・本文中、日本で言う「(広義の)NPO」については講演者の表現に基づき「CSO(Civil Society Organization:市民社会組織)」と表現していますn・本報告は講演内容についての手元メモを元にしたもので、主催者の内容確認は行っていませんn————————————————————–
バズ・シュミット氏講演
・米国では100万の団体が税制優遇を受けており、そのうち年間予算25000ドル以上の40万団体がForm990を提出する義務があるn・ガイドスターでは内国歳入庁と連携し、Form990提出団体の財務情報を入手して掲載している
・12万の団体が、ガイドスターの提供する情報に追加して、自主的に法人情報を登録している
・団体が自主登録する情報の正確性については確認していない。物理的に不可能であるし、ガイドスターで負える責任の範囲を超えている。(企業のレポートと同じように、自らの報告である以上、情報は一面的という宿命を持つ)
・ユーザーはCSO職員が40%、CSOへのサービス提供者が16%と続き、CSO理事10%、寄付者9%、財団8%、学生・研究者5%、政府関係者3%、求職者(注:ボランティア?)3%、マスコミ2%、その他となっている
・ガイドスターのシステムを他の中間支援団体にプラットフォームとして提供しているため、それも含めると実際のユーザー層は若干異なるだろうn・ガイドスターではCSOの認定、ガイドスター独自のレポート・財務分析などはしない方針n・ガイドスターは自主登録であること、無料で使えること、多様な視点に応えられること、他のサービス開発を助けられること、常にシステムが新しくなっていること、レポートの枠組みはグローバルスタンダードであることを重要視している
・現在、「ガイドスターインターナショナル」として、アメリカの他、イギリス、南アフリカにシステムを提供。インドも準備中。
・イギリスではチャリティコミッションと連携している。
・ガイドスターインターナショナルの特徴は
 ・国境を越えた共通のプラットフォームの活用(将来的には国際比較が可能)
 ・各国の事情に合わせたカスタマイズが可能
 ・データベース構築にかかる初期コスト、ランニングコストの削減
 など
カロライン・ネリガン氏講演
・CSOに対しては「政府とは違う公益の担い手」という期待と「テロの温床」「不正の温床」という不信の両面があるn・人々はCSOが何をしているのか、知りたがっている。・それに対して、政府のアプローチはCSO支援施策、活動の規制の両面がある
・CSO自身による対応としては行動規範作り、認定制度作り、評価、ネットワークを組んだ向上への努力、自らの能力開発などがあげられるが、「組織の透明性」は前提となっている
・CSOの組織の透明性は、財団にとっては「リソースの効果的配分」という意味でも重要
パネルディスカッション
バズシュミット氏
・「ガイドスターがあり、それを使う」のはもはや「当然」になっている
・「小規模な団体だから発信しなくてよい/できない」は言い訳
・情報を発信する→多くの人が見る→CSOが情報を出すメリットを感じる、というサイクルを作ること。多数を作ることで情報は自然に増える。
・ガイドスターは6つの財団の助成でスタートした。現在は3つに支えられている。
・コスト削減が課題。同じコストを各国が用意できるとは思えない。
・そのため「みんなで共有できる技術開発」を意識してきた。・アメリカでは800万ドル必要だが、インドでは100万ドルで可能。他の先進国でも50万ドル程度で可能だろう。
・ガイドスターは単なる情報提供の場ではない。CSOの情報を集めることでアジェンダや意見が集まったサイトと考えている。
・日本にふさわしいガイドスターはユーザーが作っていかなければならない。・政府は情報提供に徹するべき。独自でデータベースを持つべきでない。
松岡紀雄氏
・アメリカには800万以上の非営利団体があるといわれる。そのうち、IRSから非課税認定を受けているのは100万。F990を提出している団体は40万。・何のためにデータベースを作るのか、という理念が重要
・NPO自身が財政基盤を確立していくためには、「NPOがどういう思いで、どういう活動をしているのか」を発信することは不可欠。・日本では「いいことはだまって行う」という考え方があるが、NPOはそれでは発展しない。「我々はこうしたのだが、みなさんもしませんか、もっといい方法ありませんか」と言うべき。
カロライン・ネリガン氏
(宮川守久氏の「ガイドスターインターナショナルの苦労は?」という質問を受けて)
・すべての国は独自の文化を持っており、チャンス(注:opportunity)とチャレンジが常にあるn・具体的にはデータをどのように入手するか、財源をどう考えるか、CSOの参加を得ることができるか。・インドではCSOが広い国土全体に分散しており、言語がバラバラ。政府の規制も強い。可能な限り広いネットワークを作り、乗り越えたいn
鶴見和雄氏
・フォスタープランでは7万人の個人から年間38億円の寄付が集まる。我々は7万人への説明責任と、新たな寄付者開拓のための信用性が求められるn・日本の寄付市場はまだ小さく、現状は事業で力を蓄えないといけない。また町内会等地縁による寄付が中心。・組織としての信頼性=透明性と実績の公開の不足、使途の不透明性、依頼の不足が課題として挙げられる。
・情報のプラットフォームは共通化すべき
ティンズレー・ゴード氏
(宮川守久氏の「世界共通のプラットフォーム作りと各国文化の調和」という課題提示を受けて)
・ガイドスターのデータ項目は各国に合わせてカスタマイズが可能
・一方で、グローバルなデータ保持・検索ができるようにしたいn・ガイドスターを使うことで導入コストは削減できる。日本版デモは宮川氏との3日間のメールのやりとりだけでできた。
太田達男氏
・日本に古くから根付いていた寄付文化がある。それを育てることは可能。・これまで寄付が育ってこなかったのは、NPO側の努力不足、市民からの不信感などが要因だろう。
・制度面も整備していく必要がある。03年にインド洋で津波があった際、津波が起こったのが12月26日。1月4日にIRSのサイトを見ると、(通常03年12月末までの)03年の寄付として申告できる期間を2004年1月末まで延長する、という告知があった。さらに寄付優遇団体のリストが掲載されていた。
・データベースを作るにあたって、政府との関係は3つのパターンがあるだろう。すなわちデータの収集・提供をしてもらう、データを加工し提供する、資金を提供してもらう、の3つ。政府自身が情報提供する国は危険だ。