Microsoft NPO Day 2010 地域別ミーティング(水戸・8/16)実施報告


Microsoft NPO Day 2010 地域別ミーティング(水戸)

日時:2010年8月16日(月)18:30~20:30
会場:茨城県労働福祉会館2階会議室
主催:特定非営利活動法人茨城NPOセンター・コモンズ
記録:安久 正倫(茨城NPOセンター・コモンズ)

1.主催者挨拶

寄付やボランティアを通じたNPOへの市民参加を増やしていくために、NPOは情報公開・情報発信力が問われている。ファンドレイジングで組織を活性化するためには、ウェブサイトなどで活動・会計報告をしっかりと開示し、アカウンタビリティを果たす必要がある。そのためにはITを活用することが非常に大切であり、このIT支援者会議参加者が大きな力となる。この会議では、NPO団体へのIT支援者をネットワークしながら、今後の支援方策について考えていきたいと思っている。

2.運営協力者挨拶

特定非営利活動法人 日本NPOセンター  吉田建治さん
日本NPOセンターでは、TechSoupのソフトウェア寄贈プログラムやNPOの情報開示データベースの「NPOひろば」、またNPOのIT支援者を組織化するプロジェクトを全国8か所で行っている。IT技術が進化したとしても、それが現場で活かされているとは限らない。コモンズのような地域の中間支援組織が中心となり、現場に近いところの支援者を増やすことで、現場のニーズに即し、その地域に見合ったIT支援体制ができると考えている。

マイクロソフト 株式会社 社会貢献部  西堀華子さん
マイクロソフトでは、中古PC寄贈支援プログラム、ソフトウェア寄贈プログラム等を行い、NPOや個人を対象にしたIT活用そのものの啓発やすそ野を広げることから支援活動を行ってきた。また、NPO
スタッフやIT支援者のスキル向上を目指した研修会を全国で実施してきた。今後は各地域の支援者と協働してIT支援体制の構築を目指していきたい。

3.参加者自己紹介

4.県内NPOの課題

コモンズ10周年誌『Our Decade』にある、「茨城のNPO法人データ編」に基づいて、茨城NPOセンター・コモンズの大野が下記の点についてNPOの課題を報告した。

・全体的に寄付収入が少ない。
・その一方で、委託事業収入など行政からの資金に偏っており、NPO本来の社会運動的な活動が下火になっている。
・特に旧作業所や高齢者福祉の活動をしているNPOは、障害者自立支援法や介護保険収入など行政から資金が入ってくる。そのため、会報やウェブサイトを通じ広く市民に参加を呼びかけ自主財源を増やすという必要性を感じにくい。
・NPOがNPOであるための独自性を打ち出していくためには、会費、寄付、助成金を増やしていく必要がある。そのためにはITの貢献する度合いが大きいと考えるが、例えばホームページを持っている団体が少ない。

5.県内NPOのIT活用状況

2009年度にコモンズが実施した『ITを活用した業務効率化に関するアンケート』に基づいて、コモンズ・大野から報告した。

参加者からの意見・質問
・LAN、Skypeなど専門用語が質問に多く、趣旨が伝わっているかどうか定かではない。アンケートの回収率にも影響したかもしれないので、今後は設問に気を付けるべき。
・マイクロソフトでも同様のアンケートを行ったことがある。団体の予算規模に関わらず、インターネットを通じて情報発信していきたいというニーズが結果に現れた。しかしITスキルに長けるスタッフがいるかどうかで、活用状況が左右されていると思われる。
・兵庫県ではNPOのITセキュリティに関連したアンケートが行われたと聞いている。
・広島NPOセンターでもIT調査を実施したが、現在集計中である。
・市民団体からの個々の相談に対応した経験から言うと、「データの一元化」や「情報の共有」のニーズが高い。

6.コモンズが考えるNPOに必要なIT支援

(1)ビデオ作成、会報・ウェブサイト作成支援による情報発信
茨城には500程NPOが存在するが、情報開示度が極めて少なく、それが市民とのつながりを少なくさせている。団体の活動ビデオの作成、会報・ウェブサイトの作成をIT支援者が支援することにより、NPOがより市民に開かれるようになる。

(2)ウェブ会議システムを使った団体同士のネットワークづくり
茨城は地理的に広いため、特定の場所に一同が会するネットワーク会議を開くのもなかなか困難な状況である。Windows Liveメッセンジャーのようなウェブ会議システムの導入を支援することで、NPO同士が横のつながりを深め、お互いの活動から学びあい、活動がより活発化し、組織が開かれるようになると考えている。そこで、いくつかの障がい者福祉系団体にウェブ会議システム導入を提案しているが、パソコン自体に不慣れということで二の足を踏んでいるNPOが多い。あまりこのアプローチにこだわらず、他の支援策を考える必要性も感じている。

(3)他地域の先進IT支援事例
仙台では既に中間支援組織がIT支援者のネットワークを作り、IT支援活動の準備を整えつつある。

参加者からの意見・質問
・いきなりツールを提示するのではなく、既にNPOが感じているWordが使えない、会計処理が大変などの具体的な課題に対して、ITでの解決法を提示した方が良いのではないか。
・ウェブ会議で障がい者福祉系の団体を選んだ理由は?
⇒ 団体数が多く、各々が定型化した施設作業を行っているケースが多いので、ネットワークしやすいと考えたため。また、それぞれの団体が情報交換を行い、客観的な視点で活動を活発化する関係づくりを行いたいと考えたため。
・どこか一つ大きな成功事例を作った方が良い。
・ITで解決できるような、各NPO団体が不便に思っている課題、ニーズの掘り起こしがまず必要。
・リーダーとスタッフのコミュニケーションが一方的でワンマン体制になっている、といったような外部の人間が指摘するのは困難な課題も、IT支援という切り口で団体の中に入り込むことで、一緒に考えることができる。
・市民活動フォーラムみのお(大阪府箕面市)が「まちかどITカフェ」という集まりを行っている。ITについて教える、教えられるという関係ではなく、ITに興味を持つ人間が、立場や所属を超えて気軽につながる方法だと思う。茨城でも同様にあまりIT支援講座のような形式ばった支援策ではなく、このようなカジュアルなやりかたも良いのではないか。

まちかどITカフェの映像(USTREAMより)
http://www.ustream.tv/recorded/8447984?lang=ja_JP
まちかどITカフェのパンフレット(市民活動フォーラム みのおより)
http://minoh-npo.com/event/event_img/NPOday.pdf
まちかどITカフェの様子(みのおどっとネットより)
http://www.minoh.net/minohnow/log.php?date=201007091732

・これまでNPOに個別にIT支援した経験から言うと、個別のIT課題の解決につながったとしても、それ以上にシステム改善したいという意欲までなかなか生まれないのが実情。
・課題は活動分野によって異なるし、一律化するのは難しい。
・委託事業を行っているNPOが増えているということは、それだけNPOが行政に提出する書類も増えているということ。パソコンに触れる機会は増加しているはずなので、ITによる事業効率化を目指すチャンスと考えるべき。
・特定のITスキルを持つスタッフに団体が依存するようにさせないためにも、汎用型で誰でも使えるシステムを普及させていく必要がある。
・NPOが取り入れたいと思うようなキラーアプリ、ソフトを多く用意することが必要。

7.コモンズのこれまでのIT支援活動

8.話題提供(松浦弘智さんより、これまでのIT支援活動について)

・10年ほど前にCompuMentorの創立者が来日し、講演に参加した。その時に彼が強調していたのは、NPOへのITに関するアドバイスはあまり効果がなく、最初は詳しい人が隣に座り、手とり足とり教えることが大事だということ。もちろん、口は出すが手は出さない、つまりアドバイスするが代行はしないという姿勢は、団体の自立を促すうえで重要。
・必要なのは現場のニーズに対応した支援。「これをすればNPOの運営がうまくいく」といったキラーアプリが求められている。
・IT支援は、パソコンに詳しい人がいなくなればそこでITを使った活動がストップしてしまう場合が多い。アドバイザー、支援者同士のネットワークづくり、マッチングに向けた責任のある体制づくりが今後の課題。
・現在、ソーシャル・メディア、マイクロボランティア、プロボノ、オンライン寄付に注目が集まっている。

※マイクロボランティアとは
オンライン上で時間を過ごす人が増えており、その人たちを巻き込むための新しいボランティアの仕組み。例えば、ハイチ地震の行方不明者の捜索がウェブを活用して行われた。

※プロボノ
企業で培った専門的な知識を活用して社会貢献したいという、企業と社員によるボランティアの形。社員にとっても業務の一環として時間に縛られず活動できるメリットがある。

・オンライン上でのボランティアも、現場での活動と同等の価値があることを知ってもらうのが重要。
・米国サンフランシスコ発のネットスクエアードという団体があり、日本でも去年活動がスタートした。< http://www.netsquared.jp/ >

9.今後の支援体制について

・本日の参加者で、それぞれの立場を尊重しながらIT支援を行っていくという認識は共有できたと思う。今後、団体へのアプローチの方法について検討していく。
・団体間の口コミ効果というのも小さくはないので、まずは小規模でもIT支援実績を作り、我々の活動への信頼をNPOから得ることが重要。
・ITツールありきではなく、現場の課題やニーズに対応して支援策を検討することが必要。そのためにも団体ヒアリングが重要になってくる。
・支援のチャンネルを作る、IT支援者同士がネットワークするなど、支援する側の体制づくりが必要。
・今後、IT支援体制づくりに向けて、メンバー同士で意見交換する会合を設ける。

記録提供:安久 正倫さん(茨城NPOセンター・コモンズ)