- 公益法人制度改革ってどんな改革?
- 2008年にそれまでの公益法人(社団法人と財団法人)制度と中間法人制度を統合し、新たに「一般法人(一般社団法人と一般財団法人)」と「公益法人(公益社団法人と公益財団法人)」の制度が創設されました。
- これに伴い、従来の特定公益増進制度も改められました。これらの関係を図示すると、下図のようになります。この図では、上に行くほど税の優遇措置が大きくなっています。
- 図の左半分が2008年までの制度で、主務官庁の許可によって設立される公益法人の制度と準則主義[Q5-03参照]によって設立される中間法人の制度があり、それぞれ民法と中間法人法に定められていました。また公益法人のうち特定の要件を満たしたものは、主務官庁と財務省の認定によって特定公益増進法人になることができました。
- 2008年の改革では、民法を抜本改正するとともに中間法人法を廃止して、これを図の右半分のようにしました。まず、「一般法人法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)」によって、一定の要件を満たせば準則主義で「一般法人」を設立することができるようになります。それらは税制上、「非営利一般法人」と「その他の一般法人」に分けられ、さらに一定の要件を満たせば「公益認定法(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)」に基づく認定を経て、「公益法人」になることができます。この認定は、行政庁[Q5-04参照]が「公益認定等委員会」などの第三者機関に諮問して行います。
- この改革は2006年5月に成立した公益法人制度改革関連3法によって内容が確定し、2008年12月1日から施行されました。

- 公益法人制度改革はなぜ行われたの?
- 2008年までの公益法人制度は1898年に施行された民法に定められたもので、すでに110年近くを経ていました。その時代の流れの中で、この制度にはさまざまな欠陥が生じてきました。
- 官庁の縦割りによる許可制度は小規模な市民活動団体などには馴染みにくく、容易に法人化できなかったこともその一つですが、これはNPO法の成立によってほぼ解決しました。また公益法人でありながら同業者組織や同窓会などの共益団体を含んできたことにも問題がありましたが、これは中間法人制度を実現することで少なくとも新しく法人化する団体については解決しました。
- しかし主務官庁制による行政との癒着問題は、指導監督基準をいくら厳しくしても防ぐことができませんでした。2008年の改革は、この問題を解決するために、行政改革の一環として行われることになったのです。併せて、すでに公益法人として存在している共益型の法人の扱いも整理するため、2002年4月に施行されたばかりの中間法人制度も統合することにしました。
- 2008年の改革の最も大きな理由は主務官庁制度を撤廃することといえますが、併せて公益法人と共益法人を統一的な制度において区分すること、寄付税制の拡充によって民間の公益活動を促進すること、なども目的とされていると考えてよいでしょう。
- 「一般法人」を設立するにはどうしたらいいの?
- 株式会社などと同様、準則主義によって設立することができます。すなわち、一般法人の社団・財団のそれぞれの要件を満たす定款を定め、公証人の認証を受けて必要事項を登記すれば設立することができます。
- その場合、定款の内容によって「非営利型一般法人」になるか「その他の一般法人」になるかが決まりますので、よく気をつける必要があります。税制上の措置も、それで異なってきます。
- 詳細は法務省の下記ページをご覧ください。
一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A
- 「公益法人」になるにはどうしたらいいの?
- まず「公益法人」の要件を満たした「一般法人」を設立し、その上で必要書類と合わせて行政庁に公益認定の申請を行い、公益認定を受けて登記すればいいのです。
- 行政庁は公益認定等委員会などの第三者機関に諮問して公益性の認定を行います。
- 行政庁は、
1. 事務所の所在地が複数の都道府県の区域内にある場合、
2. 公益目的事業を2つ以上の都道府県の区域内において行うことを定款で定めている場合、
3. 国の事務・事業と密接な関連を有する一定の公益目的事業を行う場合には内閣総理大臣になりますが、
1.2.3.のいずれでもない場合には事務所所在地の都道府県知事になります。
- 新しい法人制度で税制はどうなるの?
- 「一般法人」については原則としてすべての所得に課税されますが、1.余剰金の分配を行わない旨が定款において定められている、2.会員に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的としている、等の要件に該当する法人は、「非営利型一般法人」として収益事業所得にのみ課税されます(寄付金や補助金・助成金は非課税)。
- 「公益法人」は収益事業所得のみにしか課税されませんが、さらに「みなし寄付」や利子等非課税の適用、寄付金控除などの優遇措置があります。
- 「みなし寄付」というのは、収益事業所得の一部を公益目的事業に用いた場合には寄付したこととみなして一定の範囲で課税所得を控除できるようにするものです。
- 「寄付金控除」とは、寄付をした個人の寄付金控除や企業等の損金算入枠の拡大を行うものです。
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