非営利法人格選択に関する実態調査

20150428151544233_0001日本NPOセンターは、公益法人協会と共同で、トヨタ財団の助成を受けて「非営利法人格選択に関する実態調査」を実施しました。このたび、その報告書を取りまとめましたので公開いたします。
なお、5月28日に本調査の結果報告シンポジウム「日本の非営利セクターを支える2つの法人格選択の現状と今後のあり方」を開催しました。

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はじめに

本報告書は、公益財団法人公益法人協会と認定特定非営利活動法人日本NPOセンターが共同して実施した、「非営利法人格選択に関する実態調査」の成果をとりまとめたものである。

2006年5月に公益法人制度改革関連3法が成立し、2008年12月に施行され、従来からある公益法人(特例民法法人)については5年後の2013年11月30日に新制度への移行期間が完了した。しかし、新しく設立する一般社団法人と一般財団法人(以下、一般法人)については、所轄庁の認証を受けることが必要な特定非営利活動法人とは異なり、行政庁の関与がなく公証人役場で定款の認証を受けて法務局で登記すれば足りるために、その設立の実態は十分な把握ができていない。

一般法人については、行政やNPO支援機関などの支援や連携の対象から取り残されることも少なくないが、一般法人のうち公益性の高い活動を行っている団体はこうした支援や連携の対象と成り得る団体であることからその実態を明らかにする必要がある。また、非営利の法人格を取得するに際しては、一般法人または特定非営利活動法人の何れかを選択することが多いが、その選択理由を明らかにするとともに非営利法人格を選択する上での課題や問題についても明らかにする必要がある。さらに、特定非営利活動法人については、一般法人類型の成立により、その選択や運営に対して影響を受けた可能性があり、それを明らかにすることも意図した。

このような問題意識を共有した公益法人協会と日本NPOセンターは、共同で非営利法人格選択に関する実態調査委員会を組織し、(1)一般法人及び特定非営利活動法人の選択に関する実態を把握すること、(2)一般法人及び特定非営利活動法人に対する支援や連携のあり方を検討すること、(3)今後の非営利法人制度のあり方や改善などを検討するための基礎資料とすることを目的として、2008年12月1日から2013年3月31日までの間に設立された一般法人及び特定非営利活動法人を対象にアンケート調査とヒアリング調査を実施し、その結果についての分析を行った。
なお、本調査は「トヨタ財団2014年度イニシアチブプログラム」として実施したものである。

この調査報告書が、今後の非営利法人制度のあり方とその方向性を検討していく上で有用な資料となり、非営利セクターの強化の一助になれば幸いである。
最後に、この調査を進めるに当たって、アンケート調査やヒアリング調査にご協力いただいた団体の皆様に心から感謝を申し上げる次第である。

2015年3月
非営利法人格選択に関する実態調査委員会