第1期助成レポート:にじいろクレヨン(旧・石巻こども避難所クラブ)

●震災後、避難所で始めた遊びを通じた子どもの心のケア活動。「私は元気だから弱っている人を助けるのは当たり前でしょ」と飄々と語る代表の柴田さんにお話しを伺った。
 【助成金額132万円(第1回助成99万円、補足助成33万円)】

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聞き手:活動を始められたきっかけはどんなものだったのでしょうか?

代表 柴田滋紀さん
代表 柴田滋紀さん

柴田:私がいた石巻高校の避難所では、子どもたちはおとなしく全然騒いでいませんでした。でもそれは我慢しているなと感じ、もうその時には、子どものために自分が何かやらなきゃなという気持ちになっていました。
まずは、避難所内で1時間くらい子ども達と遊ぶところから始まりました。楽しくなかったら子どもはすぐに飽きちゃうので、最初の内は色々準備してましたが、徐々に子ども達と信頼関係ができ、その必要もなくなりました。そのうち他の避難所へも行って子どもたちと遊ぶようになりました。

聞き手:活動を通じて子ども達に変化は出てきましたか?

柴田:個人的な感覚ですが、子どもたちは落ち着きました。例えば、片づけるよと言っても最初はばーっと逃げちゃって見向きもしない。でもだんだんと片づけられるようになってきた。
あと、親御さんが落ち着くと、不思議と子どもも落ち着いてくるんです。子どものケア活動だけでなく、大人にもケアが必要だと気付き、今はそこも意識して活動しています。

聞き手:応援基金はどのように活用されたのでしょう?

柴田さんは「こどもと遊ぶとやっぱり癒される」と語る
柴田さんは「こどもと遊ぶとやっぱり癒される」と語る

柴田:私がいないくてもこの活動が回る仕組みにしたいと、団体を立ち上げた当初から考えていました。複数の避難所で活動するにも、私一人だと回れる数に限界があるので、有給スタッフの必要性を感じていました。
そこで、応援基金は私を含めたスタッフの人件費として使っています。お金をもらうことで、善意の「ボランティア活動」から責任を伴う「仕事」へと変化し、私が目指す活動の形に近づきました。責任は大きくなりましたが、活動に関わる人には、ぜひ私が避難所で子どもからもらった「幸せっぷり」をこれからどんどん経験してもらいたいですね。

聞き手:今後の目標や課題を教えてもらえますか?

仮設住宅の外からも子どもたちが自然と集まり、地域のコミュニティがつながり始めている。
仮設住宅の外からも子どもたちが自然と集まり、地域のコミュニティがつながり始めている。
柴田:今後は避難所から仮設住宅に活動場所が移る中、子どもを軸としたコミュニティづくりにも取り組んでいきたいですね。子どもを中心にどんどん地域がつながっていく。まずそういう事例を作りたいです。
課題はやはり、お金が必要ですね。多くの人に会員さんになって活動を支えてほしい。そして、会員として私たちと繋がりを持つことで、石巻のことや被災地のことを忘れないで、多くの人に現状を伝えてほしいです。

2011年10月6日(@宮城県石巻市)
取材者:岡本泰志