東日本大震災現地NPO応援基金(第2期)第1回選考 助成概要と選考理由

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第2期第1回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

テーマ 岩手県陸前高田市気仙町上長部地区 [復耕元年]おさべまごころの郷づくり等における支援活動基盤強化
団体名 特定非営利活動法人遠野まごころネット(理事長 多田 一彦)
主な活動地域 岩手県沿岸地域(主に大槌町から陸前高田市、遠野市)
選考理由 遠野まごころネットは、岩手県沿岸部の被災者を支援するため、震災直後に遠野市民の有志と遠野市社協が中心となり設立されたネットワーク組織で、応援基金も第1期の助成を行ってきた。今後の団体ビジョンでは「被災者・社会に対する長期的(5~10年程度)な見守り・社会再生支援に取り組み、時の流れと時のニーズに対応した無限連携・風土と共存した社会構築」を掲げ、1)瓦礫撤去や支援物資の配布等の基本的復旧サポート、2)生活支援、家庭訪問、よろず相談等のパーソナルサポート、3)まごころ広場・まごころの郷の運営、復耕支援プロジェクト等の地域社会サポート、4)起業サポート、5)震災・復興検証サポートに取り組む。
本事業は、陸前高田市上長部地区の「おさべまごころの郷」でおこなう復耕支援事業の運営強化を目指し、ボランティアによる支援とともに、専門家や農業技術者をスタッフに加え、農機業者や土木建設業者の協力のもと、地域再生に取り組み、総合力のある、懐の深い活動基盤を構築するものである。被災した地域コミュニティの再生拠点として強化され、復興のモデルとなるよう期待したい。
テーマ 被災者支援情報支援の強化および組織基盤強化
団体名 特定非営利活動法人夢ネット大船渡(理事長 岩城 恭治)
主な活動地域 岩手県気仙地域(大船渡市、陸前高田市、住田町)
選考理由 夢ネット大船渡は、地域おこしのアイディアをもとに住民・行政・事業者との協働による元気なまちづくりの実現を目指し、2006年に設立されたNPO支援組織で、気仙地域(大船渡市、陸前高田市、住田町)の市民活動団体のレベルアップに取り組んできた。震災後は、気仙市民復興連絡会の立ち上げ、救援物資の運搬や炊き出し、被災者支援情報誌の発行、仮設住宅への巡回訪問、被災者交流スペースの運営に取り組む。
今後の団体ビジョンでは「市民活動支援センターの開設、震災前に準備中であった地元市民活動団体ネットワークの結成」を掲げ、「常設事務所と専従職員の確保」「経常経費の確保」「信頼されるNPO支援組織の確立」を強化方針とし、被災者支援活動の継続、職員ならびに後継者の育成、資金調達、被災者支援情報の収集・発信力の強化に取り組む。
きめ細かな被災者支援情報の収集と発信をベースに、被災者支援・復興支援に関わる地元市民活動団体のネットワーク化に取り組むと共に、中核となる人材が育成され、地域に信頼されるNPO支援組織に育つよう期待したい。
テーマ 岩手県内の新しい公共の担い手育成と発信、県内外のネットワークづくり基盤強化
団体名 特定非営利活動法人いわて連携復興センター(代表理事 鹿野 順一)
主な活動地域 岩手県全域(特に沿岸地域)
選考理由 いわて連携復興センターは、岩手県沿岸部の地域住民による地域復興を実現するため、震災直後に釜石市を本部に設立されたNPO支援組織で、外部支援機関と被災地のマッチング、NGO・NPOとの情報交換や連携促進(JCN現地会議の共催、JPF仮設住宅文科会議の共催など)、行政との連携(仮設住宅環境アセスメント調査、県庁との定期的なミーティング、北上市との復興協働協定の締結、岩手県連携復興会議の設立など)、震災後設立15団体への支援に取り組み、応援基金も第1期に助成を行った。
今後の団体ビジョンでは「今年度:被災者の生活再建を支援する地元団体の見える化、支援・連携の促進」「次年度:新しい担い手が参加しやすい環境づくり、市民活動団体の活動整備」「2年後以降:地域で問題解決ができる団体・コミュニティの育成と自立的復興」を掲げ、「県内外のマッチング機会の創出」「支援体制の構築」「情報発信力の強化」を方針とし、総括マネージャーの雇用継続、新たな人材確保、ホームページの再構築に取り組む。
地域の新たな担い手の育成や現場型NPOへの支援力を高め、被災者の生活再建の支援に長期的に大きな役割が果たせるよう期待したい。
テーマ 東日本大震災 被災高齢者支援ニーズ調査及び生活再建支援のための基盤強化
団体名 特定非営利活動法人みやぎ宅老連絡会(代表理事 伊藤 壽美子)
主な活動地域 宮城県全域
選考理由 みやぎ宅老連絡会は、宮城県内にある宅老所の相互の親睦・情報交換・研究により、資質の向上と事業の充実・発展を目的とし、2006年に設立されたネットワーク組織で、介護サービス情報の公表調査、会員事業所向け介護研修、会員情報発信などに取り組んできた。震災後は、被災した介護事業所(30事業所・受益者数約200名)、避難所(2個所・受益者数約800名)、仮設住宅(4箇所・受益者数約1,000名)、借り上げ住宅(22世帯・約50名)への物資提供、被災介護事業所の再建支援に取り組み、応援基金も第1期に助成を行った。
今後の団体ビジョンでは「応急仮設住宅の閉所時期までを目標に、自立困難被災高齢者へのきめ細やかな生活再建支援をおこなう」を掲げ、「会員事業所の連携強化」「被災高齢者の情報収集力の強化」「他の専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士等)との支援ネットワークの構築」を強化方針とし、組織の要となる事務局スタッフの力量形成に取り組む。
理事・事務局・会員がビジョンや組織課題を共有し、具体の強化計画を策定・実行され、組織も人材も会員も育ち、被災者の生活再建に長期的に貢献できるよう期待したい。
テーマ 浦戸地域支え合い事業基盤強化
団体名 特定非営利活動法人浦戸福祉会(代表理事 中井 豊)
主な活動地域 宮城県塩竈市浦戸諸島
選考理由 浦戸福祉会は、松島湾に浮かぶ浦戸諸島(桂島・野々島・寒風沢・朴島の4島、人口約400名)の福祉の増進を図ることを目的に、2004年に設立されたボランティア団体で、島の清掃活動、観光案内、高齢者へのデイ・サービスに取り組んできた。震災後は、塩竈港との定期航路が一時寸断されたが、島民リーダーと協力し、支援物資の搬送、常設風呂の設置支援、理美容師やマッサージ師の派遣、ボランティアセンターの島内開設、仮設住宅の見回り、サロン活動、他団体との連携に取り組んでいる。
今後の団体ビジョンでは「島民に寄り添いながら島が自助努力で再び蘇るための復興支援」を掲げ、「仮設住宅入居者への継続的な生活支援基盤の整備」「島民自らが自立的な生活をめざす人的基盤づくり」「産業振興のための他団体との連携・協働の推進」を強化方針とし、定期的な見回り活動・介護・サロンの実施、島民生活支援員の雇用と養成、「うらと海の子再生プロジェクト(一口オーナー制度)」や観光会社との連携による産業復興に取り組む。常勤スタッフの配置と活動拠点を整備し、島内と島外の結節点となり、浦戸ならではの被災者の生活再建支援および地域の自立的な復興が実現するよう期待したい。
テーマ 有機農業による「ふくしま」の食と農の再生プロジェクト基盤強化
団体名 福島県有機農業ネットワーク(理事長 菅野 正寿)
主な活動地域 福島県及び首都圏
選考理由 福島県有機農業ネットワークは、2008年に「農を変えたい東北集会」の福島開催をきっかけに、福島県内の有機農業を推進する農業者を中心に、消費者、研究者、行政などが連携して設立されたネットワーク組織で、シンポジウムや有機農業技術講習会の開催に取り組んできた。震災後は「健康で安全な農と食の再生と持続可能な社会と地域づくりへの貢献、脱原発社会の推進」をミッションとし、市民放射能測定所と連携した農産物の放射性物質の測定、首都圏の消費者との交流や直販、情報発信や啓発活動に取り組んでいる。
今後の団体ビジョンでは「有機農業による福島県の食と農の再生」を掲げ、「組織体制の強化」「放射能測定事業の推進」「消費者への情報発信の強化と直販事業の推進」「新規就農者受入体制の強化」「放射能に対する農業技術支援の強化」を方針とし、事務所の設置と常勤スタッフの配置、放射能測定機器の設置、農業技術講習会・研修会の開催に取り組む。
農業者、消費者、研究者、行政とのネットワーク、放射能測定の専門性、農業者への支援力が強化され、力強く継続的に事業が推進できる基盤が強化されるよう期待したい。

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