東日本大震災現地NPO応援基金(第2期)第6回選考総評

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第2期第6回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

「被災された人々の生活支援を継続するために―現地NPOの組織基盤強化」

選考委員長 島田 茂

【現地NPO応援基金の概要】

東日本大震災現地NPO応援基金は、震災発生直後の2011年3月15日に日本NPOセンターの理事会で設置を決定し、第一次募金を呼びかけ日本各地の個人・団体・企業、そして、アメリカ・中国など海外からも寄附があり、約1億5千万円の尊い資金が集まった。さらに震災後1年経過した2012年3月11日に第二次募金を呼びかけ、これまでに二次の募金で1,067の団体・企業・個人から本年3月末までの累計で約2億7千万円の寄付を頂いた。2011年10月までを救援期(第1期)として、現地NPOの救援活動への助成に取り組み、11月からは生活再建期(第2期)として、「被災者の生活再建を支援する現地NPOの組織基盤強化」をテーマに、市民社会創造ファンドと協力して助成に取り組んだ。その結果、第1期で27件、総額4,380万円、及び第2期では第5回までに31件、総額1億399万円の助成を行った。
この間に、従来の現地NPO応援基金を[一般助成]として定義しなおし、新たに[特定助成]として、2012年7月に人材育成に特化した支援を行う『大和証券フェニックスジャパン・プログラム』と、2013年8月にコミュニティの復興・再生・活性化に向けた事業を支える『東日本大震災復興支援JT NPO応援プロジェクト』という二つの[特定助成]制度が加わった。
現地NPOは、組織基盤を目的とする[一般助成]か、人材育成を中心とする[特定助成] 『大和証券フェニックスジャパン・プログラム』か、又は、事業自体を目的とする[特定助成] 『東日本大震災復興支援JT NPO応援プロジェクト』かに助成申請目的が分かれるが、現実には複数の助成制度に申請している団体もあり、各団体が活動を継続するために外部資金を必死に獲得しようと努力していることがうかがわれる。

【一般助成の目的】

[一般助成]は、「組織基盤強化」として、「今後の活動を充実していくために組織の力をつけていくこと」を目的とし、NPOの人事、財政、情報などの運営基盤の整備を主な助成内容としてきた。また、組織基盤強化につながる基礎的な支援ニーズ調査も助成の対象とした。助成の対象となる団体は、岩手県、宮城県、福島県において被災した住民の生活再建を直接支援する「現地NPO」または、それらの団体の「現地ネットワーク組織」あるいは「現地中間支援組織」とした。
被災者の生活再建等の支援のため、NPOの果たす役割には大きな期待があるが、過去第2期第5回までの申請を見ると震災後新たに設立されたNPOが多く、NPOを運営する知識と経験、必要な資金や人材を自分たちで安定的に確保するための組織基盤は弱い。それぞれのリーダーの思いは強いが、震災後2年半経過したにもかかわらず、復興の目途の立っていない地域も多く、被災者の生活再建を支える活動にも困難や焦りも生じている。また、支援するスタッフ自身が被災者である場合もあり、ストレスやトラウマで疲労が蓄積している。そのような状況下ではあるが、[一般助成]としては、応募団体のミッション・ビジョン・活動内容・実績を鑑みつつ、あくまで組織の自立的かつ長期的な運営基盤確立支援を審査基準としてきた。

【第6回選考の経過】

今回、個人の方から尊い多額の寄附も寄せられ、第6回(助成期間2013年10月より1年間以内)の助成を行う運びとなった。助成金額は、1件当たり300万円以内(助成総額は概ね1,200万円)で募集を行った。第6回の応募は、8月7日に締め切り、29件の応募があった。このうち、これまでに一度も助成を受けたことがない団体からの応募が23件、これまでに助成を受けたことがある団体で2013年9月末までに助成が終了する団体からの応募が6件あった。
選考は、選考委員が事前に書類で審査し、推薦団体を絞り込み、選考委員会に於いて、【継続助成】候補3件、【新規助成】候補3件、補欠 2件、計 8件が選出され、その後事務局による現地ヒアリングを実施した。
事務局によるヒアリングの結果、新規団体の内1団体は申請内容と実情が異なり、助成対象外とした。また、補欠の内1団体は、他の助成が決定し辞退となった。9月 18 日の決裁会合時点で継続3団体・新規1団体を助成決定としたが、継続助成団体の内、1団体が『東日本大震災復興支援JT NPO応援プロジェクト』への重複申請であり、新規の2団体を保留団体と決定し、9月 27 日に再度決裁会合を行い、助成対象を確定する運びとなった。結果的には、第 6回選考では、助成件数5件(新規 3件、継続 2件)、助成総額1,116万円を決定した。

【応募内容と選考の印象】

応募団体の事業内容では、障がい者への自立支援、仕事を生み出し生活を支えるためのコミュニティ・ビジネス、身寄りのない孤立した人々の生活を支える活動、アート・スポーツ・健康支援などの活動、そして、市民活動やNPOを支える中間支援センターによる申請が多かった。組織基盤としての申請目的では、代表の人件費という団体もあり、大半の団体は、運営能力がある地元スタッフの採用や育成ということであった。
復興に時間がかかる中で、団体の自立性を高めていくことは困難ではあるが、それぞれの団体が改めて使命や目的を参画する役員や会員と共有し、共感し共に活動する仲間を増やし、ブログやSNSなどを活用し活動内容や実績を広く情報発信し、団体としての公明性と透明性を高め、寄附を募るなど組織を強化されることを願う。今回の助成金が、被災者と寄付者の期待に応えられる結果であることを願う。

東日本大震災現地NPO応援基金(第2期第6回)選考委員

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