東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」第4回選考総評

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第4回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

東日本大震災現地NPO応援基金〔特定助成〕
東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト 第4回選考総評

[JT NPO応援プロジェクト概要]
「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、日本NPOセンターが2011年3月から行っている東日本大震災現地NPO応援基金に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として実施している事業である。過去3回で17団体に助成、今回は4回目の助成である。

[応募状況と選考プロセス]
第4回助成(助成期間2014年7月1日~2015年6月30日)は、2014年2月より告知を開始、応募受付期間は4月1日~4月15日であった。応募件数は66団体で、過去最多の応募数であった。応募事業の活動地域別内訳は宮城県が最も多く、福島県、岩手県の順であり、団体の所在地も同じ順番であった。応募事業66件の内、過去3回の助成に応募したのは18団体であり、過去の傾向と比較して再応募の割合が最も大きかった。
選考プロセスは、まず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて慎重に検討を行い、選考委員会において選考すべき21件を選出した。続いてこの21件について選考委員が書面評価を行い、その結果を基に全員参加の選考委員会の場で審議を行い、助成にふさわしいと思われる7団体を選出した。選考委員会後、事務局スタッフが7団体を訪問し、活動状況や選考委員会から求められた確認点等について詳細な聞き取りを行った。このインタビュー結果を選考委員長に報告し、最終的に委員長による決裁を行い、助成事業6件を決定した。助成額合計は2,524万円であった。

※応募団体の一つである特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会の選考は、小職が利害関係者に該当すると考え、委員長を除く4名の選考委員で書面および委員会審議を行い、助成候補として選定した。最終決裁は、代理として栗田委員にインタビュー結果を報告して判断を依頼し、助成を決定した。

[選考における議論のポイント]
今回もこれまでと同様にJT NPO応援プロジェクトの5つ選考基準*1をベースに審議を行った。

*1≪JT NPO応援プロジェクト選考基準≫

地域性:活動する地域のニーズを把握、事業の内容がそれらに基づいて組み立てられているか
参加性:地域の人々や外部からのボランティア等の参加が期待できるか
連携性:地域の他の団体、企業、自治体等と協力して事業が実施されるか
実現性:目標設定、目標に対する計画、予算等が適切で実現性が高いか
継続性:参加する人々の主体性を育て、活動する地域への長期的な貢献を行なえるか

これら5つの選考基準に照らし合わせて審査した結果、全ての選考基準について万遍なく高い評価であった事業は数少なく、選考委員の支持する事業も過去3回より明らかに大きく分散した。選考委員会において、評価が高くなった事業の特徴および議論が起きた点は、主に以下の2点である。

第1に、実施事業における地元住民・団体の参加・連携の度合いである。地元住民もしくは団体からのニーズがある、もしくはニーズを生み出しており、それに応える仕組みをつくる事業は概ね高い評価がなされた。一方で事業の形としては評価できるが、その事業が誰のニーズによる誰のための事業なのかが不明確、もしくは活動する地域の住民であるという根拠が弱い取り組みについては、評価が低くなった。

第2に、実施事業の継続性、発展性である。特にものづくり、食に関する事業等、何らかの事業収入を得る取り組みについては、事業の対象者、商品、販売促進方法や現時点の収益構造等がどんなものであるか、コスト回収が疎かになっていないか等が、重要なポイントとして議論された。以上の点からみて、継続的なモデルを形成できる可能性がある事業については、選考委員から高い評価がされた。

 本プロジェクトは2013年8月に開始、年4回募集が終わり、200団体近くの団体から応募いただき、初年度合計23件の助成が決定した。それらの内容を見ると、発災直後に東北3県を支えた多くの取り組みが現在転換期、過渡期を迎えていることを実感している。今回の選考委員会でも議論となった地元住民の参加、地元団体との連携協力は、継続的な支援もしく事業の確立に今後ますます重要な要素となってくる。今回の助成事業がそれぞれのモデルとなり、復興の一助になることを強く願っている。

選考委員長 大橋 正明

【選考委員】
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