東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」第5回選考総評

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第5回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

東日本大震災現地NPO応援基金〔特定助成〕
東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト 第5回選考総評

[JT NPO応援プロジェクト概要]
 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、日本NPOセンターが2011年3月から行っている「東日本大震災現地NPO応援基金」に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として実施している事業である。過去1年間に4回公募を行い、23団体に助成している。2年目となる今回は、5回目の新規助成であるとともに、1年間の事業を終える助成案件(第1回助成)に対する継続助成も始まった。

[応募状況と選考プロセス]
 第5回助成(助成期間2014年10月1日~2015年9月30日)は、2014年6月より告知を開始、応募受付期間は7月1日~7月15日であった。新規助成の応募数は合計50件であった。応募事業の活動地域別内訳は、これまでとほぼ同様に宮城県が最も多く、福島県、岩手県の順であり、団体の所在地では宮城県と福島県が同数で、岩手県が次に多かった。50件の内、過去4回の助成に応募したのは21団体であり、これまでの4回と比較して再応募の割合が最も高く、4割を越えている。継続助成については、対象となる第1回助成5団体のうち、4団体から応募があった。

 新規助成の選考プロセスは、これまでと同様にまず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて慎重に検討を行い、選考委員会において選考すべき16件を選出した。続いてこの16件について選考委員が書面評価を行い、その結果を基に全員参加の選考委員会の場で審議を行い、助成にふさわしいと思われる4団体を選出した。選考委員会後、事務局スタッフが4団体を訪問し、活動状況や選考委員会から求められた確認点等について詳細な聞き取りを行った。このインタビュー結果を選考委員長に報告し、最終的に委員長による決裁を行い、助成事業3件を決定した。助成額合計は1,266万円であった。

 一方、継続助成についても、これまでの活動実績なども踏まえて選考委員会で審議を行い、継続助成がふさわしいと考えられる団体を4団体選出、新規助成と同様に事務局による聞き取りを行ったうえで、選考委員長にその結果を報告し委員長決裁を経て、助成事業3件を決定した。助成額合計は1,058万円であった。新規と継続をあわせての助成は6件、助成金額は2,324万円となった。

[選考における議論のポイント]
 今回もこれまでと同様にJT NPO応援プロジェクトの5つ選考基準*1をベースに審議を行った。

*1≪JT NPO応援プロジェクト選考基準≫

地域性:活動する地域のニーズを把握、事業の内容がそれらに基づいて組み立てられているか
参加性:地域の人々や外部からのボランティア等の参加が期待できるか
連携性:地域の他の団体、企業、自治体等と協力して事業が実施されるか
実現性:目標設定、目標に対する計画、予算等が適切で実現性が高いか
継続性:参加する人々の主体性を育て、活動する地域への長期的な貢献を行なえるか

 なお、継続助成については、上記の選考基準に加えて、1年目事業の活動実績や目標達成状況なども評価した。

 これらの選考基準に照らし合わせて審査した結果、新規助成については、全ての選考基準について万遍なく高い評価ができる事業は数少なかった。対照的に継続助成については、これまでに選ばれているという事情もあって一定水準に達している事業が多くみられた。選考委員会において、評価が高くなった事業の特徴および議論のポイントは、主に以下の2点である。

 第1に、実施事業における地域性、実現性である。発災から3年余り経過するなかで、本格的な復興に向けての地域ニーズや課題をしっかりと分析・把握しているか、それらの課題解決に向けて計画とプログラムを具体的かつ緻密に練り上げているか、そのために行政や他団体との連携や協力体制はどうなっているか、これらの点から大いに議論して、優れた事業はおしなべて高い評価を得た。

 第2に、実施事業の参加性、継続性、発展性である。地域住民が活動主体であれ受益者であれ、その参画の度合いや広がり・関わり方、また、そのコンセプトと年間の収支計画がかみ合っているか、さらには事業の発展性や3~5年先の中長期計画や将来の展望はどうなっているのか。これらの点について適正な検討を行っていると思われる事業は、概ね高い評価を得た。

 本プロジェクトは2013年8月に開始し、これまでに5回募集が終わり、累計約290件の応募をいただき、合計29件の助成が決定した。それらの内容を見ると、発災から3年余りが経過するなかで、被災地支援を巡るニーズや地域課題の変化への対応の仕方、そしてそれらの活動に取り組む目標設定や将来展望、あるいは活動主体の在り方などが問われているように思われる。今回の選考委員会でも、過渡期を迎えている被災地支援において、変化が連続する地域課題に応えてしっかりした目標を掲げ、将来を見据えた事業が求められているとの認識が共有された。これらは、今後ますます重要な要素となるだろう。今回の助成事業がそれぞれのモデルとなり、本格的な復興の一助になることを強く願っている。

選考委員長 大橋 正明

【選考委員】
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