【報告】東日本大震災現地NPO応援基金「大和証券フェニックスジャパン・プログラム2015」助成対象団体が集まり、合同研修会を開催しました!

 現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムでは、資金支援のほか、新規助成対象団体を主な対象に、事務局主催の合同研修会を助成期間中に2回実施しています。
 助成が10月にスタートして間もない10月8日に仙台で、第1回の研修会を実施し、助成対象の8団体、選考委員、そしてドナーである大和証券グループの責任者等、27名が参加しました。

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 現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムは、大和証券株式会社からの寄付により、現地NPOの組織基盤を強化するためにNPOが実施する「人材育成」の取り組みを応援するものです。 今回の合同研修会は、育成事業のスタートにあたり、育成責任者(スーパーバイザー/SV)と育成対象スタッフが今回の育成計画や役割を相互に理解すること、他の助成対象団体との関係づくりを目的として実施しました。

 半日をかけて、組織基盤に関するレクチャー、団体ごとの育成計画の発表、グループワークによる研修を行いました。

1.組織基盤についてのレクチャー  日本NPOセンター 常務理事 田尻佳史

 はじめに、日本NPOセンター常務理事の田尻より、本助成の趣旨を含めて、改めて組織基盤のポイントについてレクチャーを行いました。個々のプロジェクトを支える組織の基盤には、①目標設定、②人的基盤、③財政基盤、④ガバナンスが重要であり、それぞれを団体の特性に応じて整えていく必要がある、と話しました。

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2.参加 8団体による育成計画の発表

 下記の各団体の育成対象スタッフから、団体やスタッフ自身の自己紹介、今回の育成計画で団体が目指していることなどを発表いただきました。このプレゼンテーションそのものも研修の一環と考えています。

(助成対象団体)

<新規助成>

● 特定非営利活動法人 愛ネット高田  (岩手県 陸前高田市)
   計画名:被災地の障がい者、要介護高齢者等の持続的支援のための運営管理者養成

● 特定非営利活動法人 奏海の杜 (宮城県 南三陸町)
   計画名:被災地の障がい児を楽しく療育するイベントの企画力向上のための若手スタッフ育成

● 特定非営利活動法人 ウィメンズアイ (宮城県 登米市)
   計画名:被災地の女性による起業と事業継続の支援力向上のためのスタッフ育成

● 特定非営利活動法人 ポラリス (宮城県 山元町)
   計画名:被災地で暮らす障害者の素敵な生き方・はたらき方を支援する人材育成

● 特定非営利活動法人 みんなのひろば (福島県 伊達市)
   計画名:線量が高い地域における発達障がい児サポートの支援力向上のためのスタッフ育成

● 一般社団法人 おらが大槌夢広場  (岩手県 大槌町) ※欠席・資料による報告
   計画名:共育プログラムの発展と継続のための基盤づくりとその担い手となる若手スタッフの育成)

<継続助成>

● 一般社団法人 SAVE TAKATA (岩手県 陸前高田市)
   計画名:被災地における若者定住者創出のための若年無業者支援の専門家育成(2)

● 特定非営利活動法人 浦戸アイランド倶楽部 (宮城県 塩竈市)
   計画名:浦戸寒風沢コミュニティハウスの管理業務を担う農業指導員の育成(2)

● 特定非営利活動法人 ふよう土2100 (福島県 郡山市)
   計画名:障がい児者家族支援サポートのための専門スタッフ育成事業(2)

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3.グループワーク

 続いて、スーパーバイザーと育成対象スタッフで、部屋を分かれてグループワークを行いました。

<スーパーバイザー・グループ>
 スーパーバイザーの部屋では、スタッフを育成する上での「課題」、もしくは「課題となりそうなこと」についてそれぞれ出し合い、その解決方法を考えました。

 課題として、スーパーバイザーと育成対象スタッフの団体に対する思いのズレ、日々の業務量の調整、業務の優先順位の付け方など、組織のビジョンづくりや体制、仕事をする上での環境づくりに関する課題が出されました。その上で、4名の選考委員にも参加いただき、客観的な視点から具体的な経験をもとにアドバイスをいただきました。

 ワークの最後に、ドナーで選考委員の大和証券株式会社の横山正浩さんから、財務諸表の基本的な仕組みと見方について特別レクチャーをいただきました。前年度の合同研修の際に、団体からリクエストがあった内容で、営利企業も非営利組織も会計の根本的な考え方は同じであることを学びました。

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<育成対象スタッフ・グループ>

 育成対象スタッフの部屋では、1年間の育成プロジェクトの開始にあたって各自の育成計画書をもとに、改めて目的と目標の整理に取り組みました。選考委員でもある日本NPOセンター事務局長の新田がファシリテーターを務めました。

 はじめに各自の育成計画書をもとに目標を整理・分解しました。次に育成計画の実施内容の項目もひとつづつ書き出しました。書き出した実施項目に目標をタグ付けしていき、何のためにそれぞれの実施項目を行うのか、目的を再確認しました。また、組織としてのフォローは何を実施するときに具体的にどんな形で必要とされるかを書き出すことで、組織の具体的なバックアップも明確にしました。最後に、それまでの作業を「計画分解シート(見える化シート)」にまとめました。

 ワークによる整理を進めるにつれて、当初計画でしっかりできていた点や弱かった点なども明らかになり、計画そのものの課題発見にもつながりました。また、スタッフ各自の1年間の取り組みに対する自覚と自分事化も進んでいったようです。

<団体ごとの育成対象スタッフとスーパーバイザーの共有>
 それぞれのワークの総括として、スーパーバイザーと育成対象スタッフが合流し、各団体内でスタッフの作成した「計画分解シート(見える化シート)」を共有しました。これらを通じて育成計画の再確認を行うとともに、課題を持ち帰り、組織全体での共有と計画のブラッシュアップにつないでいくことになりました。

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4.まとめ

 最後に、参加された本プログラムの選考委員の皆さんからもコメントをいただきました。育成事業は、先が見えないと思うが、壁があったとしても楽しみながら乗り越えてほしい。また、日本NPOセンターでは、NPOの基盤強化事業を専門としているので活用してほしい。

 1年間、心に余裕をもち、楽しみながら頑張ると誓ったところで、本会を終了しました。

 この助成プログラムでは、現地NPOの組織基盤強化のために組織の中核となるスタッフの育成事業を応援しています。
 現在、被災地域では、さまざまな補助金や助成金が少なくなっています。本助成対象団体も、改めてミッションを見直し、体制を整えつつあるところが少なくありません。そのような被災地の状況、団体の変革期において、団体のミッション、ビジョンを共有して前に進む人材を育てていくことは、並大抵のことではありません。まずは、組織の思いとそこで働く個人の思いを丁寧に紡いでいくことが重要ではないでしょうか。
 この助成プログラムでは、育成レポートや合同研修など、スーパーバイザーと育成対象スタッフが向き合う場をいくつか設けています。助成対象団体には、助成プログラムのコンテンツを十分に活用していただけるよう、事務局としても今後のフォローを行いたいと思います。
                                      (記録作成:市民社会創造ファンド 山田)

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