【開催報告】第9回市民社会創造ラボ


日本社会の将来像と移民政策の議論は切り離せない。現場で在日外国人のサポートをしている参加者も多かった。

第9回目を迎えた市民社会創造ラボ。今回は公益財団法人日本国際交流センター執行理事の毛受敏浩さんをゲストに「外国人受入れ新施策と地域社会の未来」のテーマで語っていただきました。

毛受さんは、草の根の国際交流や東南アジアNGO活動など多様な事業に従事されていますが、近年は外国人材の受入れ促進の必要性を積極的に提言したり情報発信されたりしています。めざすのは、グローバル化や人口減少などの大きな変化に柔軟に対応できる、多様性に富む社会の実現です。

日本の人口が減り続ける中、先ごろ入管法の改正により外国人の受入れ枠が拡大されました。しかし、毛受さんはデータを示しながら「人出不足解消のための小手先の対策では、早晩行き詰まる」ということを分かりやすく指摘されました。

  • 2016年から2018年にかけて人口が増えた地域は7都県のみ。7番目の福岡県は8,325人の増加だが、内訳は日本人は3,014人減少、外国人11,339人増加である。
  • 地方創生は出生率の上昇を期待しているが、現実は下降。仮に上昇しても、女性の年齢別人口では若い層が減少していることから、将来的に人口は増加しない。
  • 人口減少は国内消費の減少に直結し、市場の縮小につながる。産業政策上も大きなリスクである。

『移民政策』はとらないという国の方針の下、これまで課題の本質に切り込まないまま応急処置的な対応に終始してきた現実。今回の入管法の改正も人手不足への対応策として取られた措置ですが、人口減少による様々なリスクを回避する観点からも、外国人の受入れが不可避であるとの意見には説得力がありました。

外国人受け入れに必要な「日本人の新意識の醸成」として、毛受さんは以下を挙げられました。

  1. 住民の意識をどう変えるか?
    一時的な住人ではなく、日本をともに担う仲間としての認識を
    ・(例1)ドイツウエルカムセンター
    ・(例2)韓国「世界人の日」(在韓外国人処遇基本法)
  2. 企業の意識をどう変えるか?
    技能実習制度が「職場を変わらない安い労働者」を提供している現実
    日本人と同待遇、企業を担う人材の認識を

レクチャーの後は、現場で長く外国人をサポートしてきたり、地域の政策を担ったきたりした参加者の方々を交え、様々な角度から意見が交わされました。

外国人を「一時的な住人」としてではなく、日本の社会をともに担う「仲間」としての意識を醸成しない限り、人権、社会政策のいずれにおいても明るい展望は開けないという事実を、改めて認識する機会となりました。

 

第9回市民社会創造ラボの当日資料はこちらからご覧ください。

 毛受敏浩さんのレジュメ

《第9回市民社会創造ラボ(終了)ゲスト紹介》

毛受 敏浩(めんじゅ・としひろ)さん

公益財団法人日本国際交流センター 執行理事

慶応大学法学部卒。米国エバグリーン州立大学公共政策大学院修士。兵庫県庁で10年間の勤務後、1988年より日本国際交流センターに勤務。草の根の国際交流、東南アジアNGO活動など多様な事業に携わる。2012年より現職。慶応大学、静岡文芸大学等で非常勤講師を歴任。2018年度に内閣官房地域魅力創造有識者会議委員を務め、現在、文化庁文化審議会(日本語小委員会)委員、新宿区多文化共生まちづくり会議会長等を務める。

著書に『限界国家人口減少で日本が迫られる最終選択』等がある。月刊文藝春秋201811月号の『亡国の移民政策』座談会が年間読者賞となる。

次回の市民社会創造ラボは、来年1月に開催予定。詳細が決まり次第HPでお知らせします。

皆さんのご参加をお待ちしています!

 

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