【開催報告】東日本大震災現地NPO応援基金「大和証券フェニックスジャパン・プログラム2019」:NPOスタッフの人材育成事業の中間報告会を開催

 現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムでは、資金支援のほか、助成対象団体を主な対象とした「合同研修会」や「中間報告会」を助成期間中に実施しています。

現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムは、大和証券株式会社からの寄付により、現地NPOの組織基盤を強化するためにNPOが実施する「人材育成」の取り組みを応援するものです。
このプログラムでは、助成による資金支援のほか、助成開始直後と半年の時点で「合同研修会」を実施し、助成対象団体で互いに育成事業について報告し交流する機会を設けています。
通常であれば団体の皆さんに集まっていただくところですが、今回は新型コロナ感染症拡大の影響により、合同研修に代わりオンラインで中間報告会を実施し、助成対象団体7団体と選考委員を含み21名が参加しました。
はじめに、選考委員長の須田木綿子氏(東洋大学 教授)よりご挨拶をいただき、オンライン中間報告会をスタートしました。

参加7団体による育成事業の中間報告

発表は育成スタッフが行い、これまで半年間の育成事業の進捗状況の報告と、「育成事業における現在の課題・悩みポイント」、育成事業において「他団体に聞いてみたいこと」を共有しました。スーパーバイザー(育成責任者)がコメントをした後、他の参加者からも積極的に質問やコメントをいただきました。
コロナ禍の影響によって研修の目途が立たないことが悩み。組織全体あるいは理事との意見交換、コミュニケーションの取り方をどうしたらよいか。この間、育成対象スタッフに意識や行動の変化があったか、それはどのようなことか、など。悩みも聞きたい事もそれぞれでしたが、意見交換をする中で、共感を生んだり経験をもとにしたアドバイスが出されたりしました。

 

(助成対象団体)
<新規助成> 5団体

●特定非営利活動法人TEDIC(宮城県石巻市)
計画名:子ども・若者支援事業マネージャー養成プロジェクト
●特定非営利活動法人みんなのひろば(福島県伊達市)
計画名:みんなのひろば事務局整備プロジェクト2019
●特定非営利活動法人ふくしまNPOネットワークセンター(福島県福島市)
計画名:復興連携の核となるスタッフの育成計画
●特定非営利活動法人チームふくしま(福島県福島市)
計画名:福祉雇用、防災教育、観光促進支援事業継続のための人材育成
●特定非営利活動法人いいざかサポーターズクラブ(福島県福島市)
計画名:プログラム強化と総合マネジメントを担える人材育成計画

 

<継続助成> 2団体

●特定非営利活動法人にじいろクレヨン(宮城県石巻市)
計画名:にじいろクレヨン事務局体制強化計画(2)
●認定特定非営特定非営利活動法人ホールアース研究所(ホールアース自然学校 福島校)(福島県郡山市)
計画名:人と自然のつながりを再構築し、地域に芽生えた思いを体現・事業化できる組織づくりのための経営人材の育成(2)

総括コメント

(選考委員会 須田委員長)
・現在、日本各地において豪雨等で被災している地域がある。東日本大震災という大変な状況の中で組織を作り、人を育てるという体験は、東北地域の皆さんがお持ちである。これからは支援する側になるのだろうと思う。そのような経験、ノウハウを他の被災地域で使ってほしい。
この助成プログラムが出来たとき、NPOの人材育成が可能なのか半信半疑だったが、今回、すごく意味があったことが伺えた。この成果をもって、何らかの形でこのプログラムが続くとよいと思った。

(事務局 田尻)
・報告や意見交換の中で“変化”というキーワードが出てきた。変化するためには、きっかけが必要である。通常業務だけではなかなか気づきにくいが、新型コロナウイルス対応であったり、組織の変化もきっかけの一つ。そういったきっかけがあれば人は変われる。大和証券の本プログラムはそのきっかけを与えるプログラムだと思う。育成においては、はじめに目標が明確であると、変化のきっかけをつかみやすく良い研修結果が得られているように思った。スーパーバイザーには、研修期間に限らず個々のスタッフの目標について見える化を実施してもらいたい。頑張る機会を作る意味でもよい。

さいごに

今回、初めてオンラインでの中間報告会を実施しました。東日本大震災という大きな混乱の中から生まれてきた団体・プロジェクトを運営してきたのが、本プログラムの助成対象団体の皆さんです。コロナ禍という混乱した状況においても、育成事業を進め、悩んだり挫折したことから発見があり、工夫した中から次のステップが生まれた様子が伺えました。
2012年から開始したこの助成プログラムは、2020年募集の継続助成をもって終了を予定しています。様々な変化の中で、それぞれの団体が人材育成という目標に取り組み、悩み工夫した結果が集合知となるよう、プログラム終了後の展開を考えていきたいと思います。
(記録作成:市民社会創造ファンド 山田)