東日本大震災現地NPO応援基金[緊急助成]新型コロナウイルスの影響を受ける現地NPO支援助成 審査結果について

助成先一覧 | 審査総評 |審査委員コメント

東日本大震災現地NPO応援基金[緊急助成]新型コロナウイルスの影響を受ける現地NPO支援助成の審査を行い、下記の通り決定いたしました。

助成先一覧

No 団体名 所在地 助成額
(万円)
1 一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校 岩手県釜石市 50
岩手県釜石市で地域課題解決や地域支援に寄与する活動を組み込んだ交流プログラム、防災教育プログラムや教育旅行等のコーディネートなどを行う交流事業を行っている。また、放課後子ども教室では、室内での活動に加えて野外での身体を使った遊び、自然体験活動等を実施しているほか、週末や長期休みに地域の小学生を対象とした週末・休日プログラム『さんつなくらぶ』 を実施している。
2 特定非営利活動法人エムジョイ 岩手県宮古市 48
岩手県沿岸被災地域の子どもの運動・遊びを通じた体力づくり、高齢者向けの傾聴及び健康づくりを中心とし、変化・多様化する地域課題解決に向けた事業・交流の場づくりを行っている。また自然体験会や文化交流会なども開催、宮古市のみならず沿岸広域での活動も行っているほか、2018年より障がい者対象の交流事業にも取り組んでいる。
3 一般社団法人おらが大槌夢広場 岩手県大槌町 50
岩手県大槌町で唯一の震災学習・語り部を提供する団体として、県内外から修学旅行や企業研修など年間3000人程の受け入れを行って来ている。また、地元高校生の語り部育成や、東京での起業体験などの機会も提供し、地元の若手の育成を手がけている。
4 特定非営利活動法人パクト 岩手県陸前高田市 50
岩手県陸前高田市で子ども、保護者のための居場所『みちくさハウス』の運営、体験活動の企画・運営を行っている。また、行政委託として、市民への要望とりまとめとボランティアの募集・紹介などを行う陸前高田市復興サポートステーション事業を行っているほか、指定管理施設運営事業として、簡易宿泊施設「陸前高田市二又復興交流センター」の運営・管理を行っている。
5 一般社団法人プレーワーカーズ 宮城県気仙沼市 43
宮城県気仙沼市を中心に、遊び道具を自動車に詰め込んで、各地の子ども活動団体に協力し遊び場づくりを行うプレーカー事業を実施。また、自然災害被災地の子どもへの支援を行う被災地支援事業を宮城県丸森町、長野県長野市で実施しているほか、宮城県気仙沼市と名取市で、庭付きの一軒家を使用して子どもの遊び場兼居場所を運営している。
6 特定非営利活動法人にじいろクレヨン 宮城県石巻市 50
宮城県石巻市で、移動児童館活動、プレーパーク活動などの被災児童支援を震災後継続して行っているほか、地域食堂や子育て支援拠点「にじいろひろば」での活動を通した子どもを見守るコミュニティ作りや子どもの健全育成に関する講座、ワークショップ・ネットワーク作りの企画・実施・運営およびそれらへの参加・協力を行っている。
7 一般社団法人日本カーシェアリング協会 宮城県石巻市 26
宮城県石巻市を拠点に、復興公営住宅や町内会などの小規模コミュニティが、寄付車の共同利用を通して、地域住民同士で移動や買い物支援、見守り、サロン活動などを実施する、支え合う地域づくりのサポートを行っている。また、自然災害などで車を失った方へ一定期間、寄付車を無料で貸し出し生活再建の後押しを行うモビリティ・レジリエンス事業を実施しているほか、 NPO活動や生活に困っている方等に寄付車を低価格で貸し出し、地域の活性化を後押しするソーシャル・カーサポート事業を実施。
8 特定非営利活動法人石巻復興支援ネットワーク 宮城県石巻市 50
宮城県石巻市で、復興公営住宅を中心とした地域のコミュニティ形成事業を実施している。また、住民のチャレンジ応援を通じて地域資源を発掘・発信する「石巻に恋しちゃった♡」事業、女性リーダー育成、育児中の母親の居場所としてのコミュニティスペース運営とこども食堂事業のほか、ハンドメイドアクセサリー制作による女性の雇用創出、創業支援とインキュベーションオフィスを運営している。
9 一般社団法人ワタママスマイル 宮城県石巻市 50
宮城県石巻市で、被災して職を失った女性・障害者・ひきこもり等の自立支援や就労支援を行っている。また、弁当配食による高齢者への食の支援と健康改善支援、見守り支援を行っているほか、不登校や生活困窮家庭の子どもたちへの学習支援や居場所づくり、DV等の課題を抱えた子どもたちへのケアや見守り、生活困窮家庭の子どもたちへの食の支援や子ども食堂を運営している。
10 特定非営利活動法人故郷まちづくりナイン・タウン 宮城県登米市 50
宮城県登米市で環境美化・地域活動団体支援・自主防災活動支援などの地域まちづくり事業 を実施ている。また、直売所、加工場設置運営、事業再開支援、経営コンサルティングなどを行う災害復興支援事業のほか、復興支援「桜通信」、防災BOOK、紙SNS=KAWASなどの発行を行う地域内情報循環事業を行っている。
11 一般社団法人復興みなさん会 宮城県南三陸町 20
宮城県南三陸町でお茶会や植栽活動、住宅周辺のマップづくり、学習会等の活動を通じて、仮設住宅や復興公営住宅の入居者間の交流を促し、コミュニティ形成を支援してきた。また、町内に多く自生し、その実からとれる椿油が生活に使われる等、町民の記憶に様々な形で残る椿をシンボルとしたお茶会やお花見・育苗・植樹等を行うまちづくり活動「南三陸椿ものがたり復興」を展開している。
12 特定非営利活動法人元気になろう福島 福島県双葉郡 48
福島県福島市を拠点に、主に双葉郡・浜通り地域をフィールドとしたまちづくり・地域活性の為の支援事業を実施。特産品開発や地域団体の活動サポート、農業支援、地域包括ケア普及の取り組みなど、多様な手法にて地域の課題解決に取り組んでいる。
13 特定非営利活動法人コーヒータイム 福島県二本松市 46
福島県二本松市で、一般企業への就職が困難な障がい者に就労機会を提供するとともに、生産活動を通じてその知識と能力の向上に必要な訓練や、社会生活に必要な知識を身に付けるための支援を行っている。

 

*助成期間:2020年6月1日から2020年12月31日までの7か月
助成対象件数:13件  助成総額:581万円
*緊急助成は、日本NPOセンターが実施する東日本大震災の支援事業のいずれかのプログラムで支援対象となった団体を対象に実施し、2020年6月8日~6月19日までに応募のあった団体を対象に、審査を行い助成が決定したもの。

審査総評

東日本大震災現地NPO応援基金[緊急助成 

新型コロナウイルスの影響を受ける現地NPO支援助成

審査委員(座長)萩原なつ子 

1.審査の経過と結果
  東日本大震災から10年目を間近かにして、世界的に流行する新型コロナウイルスの影響は、東日本大震災の復興に取り組む団体に対しても大きな打撃を与えてい 

 事業の停止による収入の減少、対応のためのコスト増など、長期化にともない組織存続の危機に陥っている団体もある。この事業の主テーマである「東日本大震災の被災者の生活再建の支援を行う現地NPOの組織基盤の強化」を実現するために、その前提である組織の存続すら危うくなり始めている団体を支援する必要がある。 

 東日本大震災の被災者の生活再建に取り組む現地NPOが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化することで、事業の継続や資金調達に不安を抱え、団体の存続すら危ぶまれていることから、その組織継続を応援するため緊急助成を実施することとし、2020年6月8日~6月19日の期間に17団体から申請があり、審査を実施し 

 審査では、審査委員3名に書面審査をお願いし、6月29日に審査会を開催した。 

 審査会では審査基準である「影響度」「緊急度」「計画性」を基に総合的に判断13団体を採択とし、4団体不採択とした。 

以上の結果、緊急助成では、13団体の組織基盤整備に総額581万円の助成を決定した。 

 2.助成にあたって
 東日本大震災現地NPO応援基金を2011年3月に立ち上げ、多くの方々のご支援をいただきながら、被災者の生活再建や被災地の再生・復興に取り組むNPOへの助成活動を続けているが、新型コロナウイルスの影響は、東日本大震災の復興に取り組む団体に対しても大きな打撃を与え、被災者の生活再建支援活動に影響が出ている。 

 助成対象となったNPOについては、今回の助成金を活用し組織基盤整備を行うことで、地域の再生と活性化を目指した事業の継続に努めていただきたいと願う。

 審査会において、引き続き新型コロナウイルスの影響を注視し、状況に応じて復興支援を行うNPOへの支援の継続を確認したことを加えておきたい。 

皆様方におかれましても、当基金への継続したご支援を切にお願い致します。

<審査委員>
萩原 なつ子(座長) 認定特定非営利活動法人日本NPOセンター 代表理事
栗田 暢之 認定特定非営利活動法人レスキューストックヤード 代表理事
山岡 義典 特定非営利活動法人市民社会創造ファンド 理事長

[助成事務局]
認定特定非営利活動法人日本NPOセンター
特定非営利活動法人市民社会創造ファンド

審査委員からのコメント

 

審査委員  栗田 暢之

 やはりコロナ禍は被災地でも例外なく影響を及ぼしていることが分かった。特に、飲食系やイベント系、研修系などの収入が激減している現実を目の当たりにした。本助成金が立て直しの礎になることを願っている。一方、残念ながら、時代は「afterコロナ」ではなく、「withコロナ」だ。これまでと同じ手法では通用しないことは明白である。今こそ、NPOが本来持つ自由性や創造性を駆使して、根本的な課題解決に向け、お互い知恵を絞っていこう。

 

審査委員  山岡 義典

 東日本大震災発災から10年目に入ったところで、新型コロナウイルス感染症が日本の各地に蔓延した。といっても東日本3県では感染自身はそれほど広がったわけではない。6月末現在、岩手県では未だに1人の感染者も確認されていない。にもかかわらず、感染防止の自宅待機や三密回避によって、社会的にも経済的にも大きな打撃を受けた。その様子は17団体からの申請書からも、ひしひしと伝わってきた。特に自主事業で自立の努力をしてきた団体において、被害が大きい。今回はすべての応募を採択してもよいとも思ったが、問題の基本が読み取りにくいものや、組織基盤の回復方向が見えにくいものには、残念ながら痛みをもってご遠慮いただく結果となった。採択団体にとっては、50万円以下という限られた助成金ではあるが、効果的なテコとして組織の立て直しに活用いただければ幸いである。