寄附募集に関する禁止規範の法制化議論についての意見 2022.11

2022年11月11日
認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター
代表理事 萩原なつ子

一部宗教団体による霊感商法や献金集めが問題になっていることを受けて、被害者救済のための新法が検討されています。
2022年10月17日に消費者庁より公開された「霊感商法等の悪質商法への対策検討会報告書」において、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、公益認定法)の規定を参考に、寄附の要求等に関する一般的な禁止規範を検討するべき、という趣旨の提案がなされています。昨今の報道ではこの提言を受けて今回の新法において、宗教法人だけでなくあらゆる法人・個人を対象とした寄附募集の規制が検討されていると伝わっています。

霊感商法等による被害者救済は重要な課題であり、救済策の整備は急がれるべきです。
その中で、悪質な献金に対する規制も重要な論点であることに異論はありません。
しかし、これを根拠に寄附募集に一律的な規制をかけることは過剰な対応だと考えます。

今回の提言では公益認定法を参考にした禁止規範を検討することとなっています。しかしこの法律にある「寄附の勧誘又は要求を継続」「粗野若しくは乱暴な言動を交えて、又は迷惑を覚えさせるような方法」「寄附をする財産の使途について誤認させるおそれのある行為」などの表現は、具体的な判断基準が示されておらず、所管官庁の裁量の幅が大きくなっています。公益認定法第17条には罰則規定がないため、法人自らの努力を促すことにつながろうと思いますが、こうした基準が明確になっていない規程をもとに罰則規程が設けられると、寄附の募集を委縮させることにつながりかねません。
一方で、寄附募集が適正に行われることの重要性を認識し、自主的な寄附募集規程を設ける法人やガイドラインを広める取り組みも存在します。この論点に代表されるように、寄附募集の法規制はNPOのあり方に大きな影響を及ぼすものであり、慎重な議論が必要です。

NPOの活動において寄附は市民による支援の意思表示であり、公益性を示す源泉です。
そのために寄附募集の行動が適切になされることは私たちにとっても重要な課題です。
「骨太の方針2022」や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」でも指摘されている通り、我が国に寄附文化を醸成することは重要な課題です。そのために、適正な寄附募集を広め、過度な法規制によって委縮させることがないよう、配慮が必要です。

これらの考えに基づき、寄附募集に関する法規制の検討に際して、以下の通り要望をいたします。

  1. 非営利セクターとの意見交換を密にし、NPO等が既に設けている自主規範づくりの取り組みも尊重し、適切な寄附文化を育む視点で議論をすること
  2. 法規制については慎重であるべきだが、避けられない場合は、不適切な献金集めの実態に応じた検討を行い、一般的な寄附募集と区別する明確かつ客観的な基準を設けること
  3. 寄附募集方法のみを議論するのではなく、特定非営利活動促進法にあるような事業報告書等の情報開示の徹底による透明性の確保という視点も取り入れ、実態に即した実行性のある規程とすること