「地域人材の日米交流プロジェクト」渡米時の現地メディアによる取材記事をまとめました

日本NPOセンターと Japan Society(米国ニューヨーク)は、地域活性化に携わる日米のリーダーたちによる2ヵ年・2国間の事業 「地域人材の日米交流プロジェクト」を実施しています。初年度は岩手、新潟、島根、愛媛などで活躍する日本人リーダー5人が、10月下旬から約10日間、ウェスト・バージニア、オハイオ、ネブラスカ、ニューヨーク各地で地域の経済発展、不公平の是正、起業家支援や雇用促進を通じたコミュニティづくりに取り組む団体を視察し、相互交流を図りました。
そして訪問先4か所で地元紙の取材を受けました。これらの地元メディアの記事と社説を日本語に要約しましたので、ご覧ください。
※日本側参加者による米国訪問記はこちらのFacebookページでご覧いただけます。


“Japanese, W.Va. entrepreneurs find common ground in growth challenges”
The Herald-Dispatch (Huntington, West Virginia)

ヘラルド・ディスパッチ紙(ウェスト・バージニア州ハンチントン)
「日本とウェストバージニアの社会起業家が、地域再生の課題の共通性を認識」(2017年10月24日)

【要約】ウェスト・バージニア州の地元紙、「ヘラルド・ディスパッチ」は、地域人材の日米交流のプロジェクトチームのウェスト・バージニア州・ハンチントンのソーシャル・ベンチャー、コールフィールド・ディベロップメント・コーポレーションへの訪問を紹介した。炭鉱跡地の農地再生を目指す事業や、小規模農業の推進、人材育成事業の現場を訪問したこと、日本側からの積極的な質問と、活発な議論を通じて、地域課題や、それに取り組む手法や姿勢に多くの共通点と共感を見出したことについて、日本食べる通信リーグの江守敦史さんと愛媛大学地域創成研究センターの佐藤亮子さんのコメントを交えながら報じた。最後に今後の長期的なパートナーシップや協働の重要性と期待について江守さんのコメントが紹介された。

※リンク先のトップの写真は、ハンチントンの100年ほどの歴史を持つ工場跡地の地域住民のためのスペースへの再生を目指すウェスト・エッヂ事業を視察する視察メンバー


“Center for Rural Affairs hosts Japanese delegation”
The Lyons Mirror-Sun (Lyons, Nebraska)

ライオンズ・ミラー・サン紙(ネブラスカ州ライオンズ)
「日本の視察団がセンター・フォー・ルーラル・アフェアーズ(農村問題研究所)を訪問」(2017年11月2日)

LyonsMirrorSun【要約】ネブラスカ州の人口約800人の町、ライオンズの地元紙、「ライオンズ・ミラー・サン」が、地域人材の日米交流プロジェクトチームのライオンズ訪問を一面・トップ記事として紹介した。視察団の受け入れを担当した農村問題研究所の代表、ブライアン・デピュー氏は、視察メンバーとの質疑応答、ディスカッションを多いに楽しみ、メンバーの問題意識の高さと熱意を高く評価し、また、アメリカの中西部やグレートプレーンズ地方と日本の地方が抱える課題の共通部分の多さを指摘している。一方、日本のメンバーの多くが、地方コミュニティの課題だけでなく、都市問題への取り組みも視野に入れた活動をしていることについても興味深く言及している。最後に数あるアメリカの地方の町の中からライオンズを訪問地として選択した視察団に対する敬意と、自分たちのコミュニティの取り組みが、国際的な関心を集めるだけの質を持ったものであり、このコミュニティに生活することに誇りをもつべきと締めくくっている。

※写真はライオンズの農村問題研究所のオフィスでの記念写真。中央がデピュー氏


Editorial: “Rural lessons to be shared from neighbors a world apart”
Omaha World-Herald (Omaha, Nebraska)

オマハ・ワールド・ヘラルド紙(ネブラスカ州オマハ)
社説:「地方問題の学びは、遠くにいる隣人との共有を」(2017年11月5日)

【要約】視察団のネブラスカ州訪問の2、3日目はネブラスカ大学農村未来研究所が中心となり、同大学でのフォーラムの開催及び、同研究所のフェローとして協働関係にある地域の実践者や起業家を訪問した。地元紙のオマハ・ワールド・ヘラルド紙は今回の日本の視察団の訪問を受け、FoundingBaseの林賢司さんへのインタビューを基にして、ネブラスカ州やアイオワ州などアメリカ中部地域と林さんが活動を展開する島根県津和野町など日本の地方が抱える、経済危機、地域の高齢化、若者の地元離れ、地域の歴史や文化遺産に対するオーナーシップの低下など、多くの共通した課題があると論じている。そして、日本では地方の課題解決が政府の優先課題の一つと認識されており、今回のような国境を越えた課題解決のための知見共有や対話、共同の研究などの今後の推進が日米双方にとって有益であり、今回の米国訪問と来年予定されているアメリカ側の日本訪問による交流プログラムがその第一歩として高く評価されるべきと伝えている。


“Hospital, BCom Solutions share expertise with rural Japanese innovators”
The Nemaha County Herald (Nemaha, Nebraska)

ネマハ・カウンティー・ヘラルド紙(ネブラスカ州ネマハ)
「ネマハ郡立病院、Bコムソリューションズが、日本の地方のイノベーターたちと知見を共有」(2017年11月9日)

【要約】視察団のネブラスカ州訪問の最終日(10月28日)には、ネブラスカ大学農村未来研究所が地域で協働事業を展開するフェローたちを訪問した。そのうち、住民の肥満という米国の地方特有の健康問題に取り組み、院内の電子化など充実した施設の整備と運営で全米で高評価を得ているネマハ郡立病院と、12歳で起業し、地域コミュニティの活性化をインターネットを通じて展開するBコム・ソリューションズのブレント・コムストック氏を訪問したことを伝えている。訪問に同行した農村未来研究所のフェローで地元のペルー州立大学で健康学を教えるカイル・ライアン教授は、視察団の地域問題に対する関心の高さ110917Herald page 20_と知的な対話を高く評価した。今回の視察の責任者であるジャパンソサエティのベティー・ボーデン氏は、インタビューに答えて、今回の訪問が日本の視察メンバーにとって、特に共通の課題意識や、取り組みの姿勢を持ったアメリカの実践者や研究者と直接話をし、活動を見れたことが大変大きな収穫であり、今回の視察が、今後の新しいアイデアや活動の種になることを期待していると述べている。また、受け入れ側のネブラスカ大学農村未来研究所も、ネブラスカの農村が取り組む課題が海を渡った日本でも同じように課題となってその解決に様々な視点から取り組んでいるということをネブラスカの住民が知れたことが大きな収穫であり、今回の視察の重要な点であることを指摘している。

※右の写真はネマハ郡立病院CEOマーティ―・ファティグ氏(左端)、ベル―州立大学カイル・ライアン教授(右から2番目)、ネブラスカ大学農村未来研究所副代表のコニー・ライマーズ-ヒルド教授との集合写真に納まる視察メンバー