【開催報告】第5回市民社会創造ラボ

市民社会創造ラボの第5回目は、認定特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連さんをゲストにお迎えし、「参加を改めて考える~当事者の声に立った生活困窮者支援~」をテーマに語っていただきました。

ゲストの大西連さん

もやいは、生活困窮者への相談支援やホームレス状態の人のアパート入居支援、また居場所・コミュニティづくり、更には生活保護や社会保障制度の提言など、日本の貧困・格差の構造に切り込む多角的な取り組みをしています。

2014年にもやいの理事長に就任した大西さん。メディアを通じて貧困・格差の問題を独自の視点から発信し続けるとともに、市民社会の立場からSDGs推進円卓会議のメンバーも務めています。

2013年・2018年と続いた生活保護の削減を記憶している人も多いかもしれません。大西さんは、これらを含む生活困窮者問題をめぐる日本の政策の変遷について、「本人の権利」と「社会の利益」という2つの軸から解説。国の財政的な圧縮に起因する生活保護法の改正が、当事者のためになされたものではないことを指摘しました。当事者不在のままの政策議論が、人権ではなく経済的な視点に偏重してきたことに気づかされます。

「当事者の『参加』とは?」大西さんの問題提起で改めて考える場となった。

続いて、「自助」「共助」「公助」の問題。現在の生活困窮者の支援は、本来あるべきこれらの組み合わせのバランスが崩れていることも大西さんが指摘したところです。人口減少や財政的な制約の下、NPOや地域、家族などによる「共助」の必要性が強調される趨勢があるものの、「共助」を主軸に生活困窮者を支えていくことは現実的には困難であり、何より財政的な制約を理由に公的責任が放棄されてよいのか?という疑問が大西さんから提起されました。

また、生活困窮者を支援するNPOなどの事業者が抱えるジレンマについても語られました。大西さんによれば、この分野は事業を寄付のみで運営するのが難しいこともあり、委託や助成金による運営を余儀なくされる事業者が、結果的に「支援」というより「管理」に近い形での運営に進まざるを得ない場合が少なくないとのことです。もやいが寄付のみで運営できる事業規模を維持し続けている理由も、ここにあるようです。

社会は弱い立場に立たされた人々とどう向き合うのか?大西さんから「排除」「隔離(分離)」「統合」「包摂」のパターン(下図)を使って解説がありました。私たちの社会はどこをめざすべきなのか、この問題には一人ひとりが無縁ではいられません。

大西さんの資料から

当事者不在の支援や政策議論がもたらす状況をどう変えていくべきなのか。当事者の「参加」のあるべき姿とは?答えが簡単に見つかるように社会が単純でないことはもちろんですが、大西さんの問題提起を受けて議論を交わす貴重な2時間となりました。

市民社会創造ラボは、これからも理論と実践が往還する場をつくっていきます。皆さんもぜひご参加ください。

 

 第5回市民社会創造ラボの当日資料はこちらからご覧ください。

 大西連さん「参加を改めて考える~当時者の声に立った生活困窮者支援~」

 

《第5回市民社会創造ラボ(終了)ゲスト紹介》

大西 連(おおにし・れん)さん

自立生活サポートセンター・もやい 理事長

1987年東京生まれ。2010年ごろから新宿でのホームレス支援活動に参加。2011年<もやい>にボランティアとして関わり始め、2014年より現職。

ホームレス状態の人や生活困窮者の相談支援に携わりながら、日本の貧困、生活保護をはじめとする社会保障等についての発信や政策提言をおこなっている。

反貧困たすけあいネットワーク事務局長、新宿ごはんプラス共同代表。

 

次回の第6回市民社会創造ラボは、5月20日(月)に開催予定です。

産業能率大学経営学部教授の中島智人さんをゲストにお迎えし、「市民社会の再構築への取り組み:英国ボランタリーセクターの20年」をテーマに語っていただきます。

◆詳細とお申込みはこちらから: 第6回市民社会創造ラボ

皆さんのご参加をお待ちしています!

 

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認定特定非営利活動法人日本NPOセンター(担当:椎野、清水)
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