【開催報告】総合基本計画の策定プロセスにまなぶ市民協働(NPOと行政の対話を促進するための連続講座 第2回実践編)


NPOと行政の対話を促進するための連続講座 第2回は日本NPOセンター顧問、市民社会創造ファンド理事長山岡義典さん、狛江市企画財政部政策室 佐々木淳樹さんをゲストに「総合基本計画の策定プロセスにまなぶ市民協働」のテーマで開催しました。自治体における最上位の計画にあたる総合基本計画を双方が対話をしながら策定する重要性を認識する機会となりました。

条例づくりに参加・協働の視点を

冒頭、山岡さんは「狛江市に44年ほど住んでおり、狛江市民という立場で話をしたい」とお話を始めました。そのなかで、総合基本計画のまえに、2003年に策定された「市民参加と市民協働の推進に関する基本条例」についての説明がありました。

条例づくりを策定する際に、市から相談を受けた山岡さんは、「市民参加」だけでなく「市民協働」の視点の重要性を指摘。条例では、「市民参加」と「市民協働」それぞれの意味を定義しています。

・市民参加:行政活動に市民の意見を反映するために、行政活動の企画立案から実施、評価に至るまで、市民が様々な形で参加すること

・行政協働:市の実施期間と市民公益活動を行う団体が、行政活動等について協働して取り組むこと

その後も、2009年「第3次基本構想・前期総合基本計画」では、条例に基づき、市民が一緒になって条文を組み立てる「参加・協働型」の取り組みを試みられるなど、2019年「第4次基本構想・前期総合基本計画」策定まで、参加・協働の視点を取り入れた基本構想、計画づくりが続きました。

総合基本計画への市民の参加

狛江市役所の佐々木さんからは、総合基本計画の策定プロセスと狛江市の取り組みについてお話しいただきました。基本計画の策定において、狛江市の特徴は市民委員の募集でした。公募だけでなく無作為抽出を用いて「市民委員に参加してみませんか」という呼びかけをしました。一般的な公募以外の入口をつくることで、市民参加の裾野を広げることを試みたのです。また、「狛江らしい」計画の策定を目指し、狛江の各分野で長年活躍している方々に学識者として依頼する、情報収集から計画に盛り込む文言の一言一句まで、事務局で作成する形で進めました。

佐々木さんからは、市民参加を「面倒がらない」「怖がらない」で「対話(コミュニケーション)」をしてほしいというメッセージがありました。狛江市の総合基本計画策定でも、防災分野の方針について市民委員からの意見があり、関係部署とも協議をした結果、「風水害に対する備えの強化」という独自の方向性を打ち立てることができました。

最後にSDGs(持続可能な開発目標)については、市の施策をSDGsの17の目標に位置付けるだけではなく、SDGsのターゲットを意識した指標の設定をおこない、ただ取り組んでいることをアピールするのではなく、自治体としてアプローチとして何が必要かを引き続き考えたいというお話もありました。

■課題提起

山岡 義典(やまおか よしのり)さん

特定非営利活動法人市民社会創造ファンド 理事長 / 特定非営利活動法人日本NPOセンター 顧問

大学で建築を学び、都市計画の研究の後、トヨタ財団にてプログラム・オフィサーに着任。市民活動への助成の基礎をつくる。1996年の日本NPOセンターの設立に際しては中心的な役割を担い、民間非営利セクターの基盤強化に向けたプログラムづくり、NPO法の成立や各地の民間NPO支援センターの設立などに関わる。2008年に代表理事、2012年より顧問。2002年に市民社会創造ファンドを設立し、企業のフィランソロピーの新しい仕組みとして市民活動助成に取り組む。2001年に法政大学教授、2012年名誉教授。2014年より助成財団センター理事長。

■事例報告

佐々木 淳樹(ささき じゅんき)さん

狛江市企画財政部政策室

平成24年4月1日に狛江市役所に入庁。平成26年度に現在の所属部署、企画財政部政策室企画調整担当に異動する。平成30・31年度の2箇年をかけ、市の総合基本計画の策定担当として、令和2年度を計画開始年度とする「狛江市総合基本計画」の策定を行う。計画では、まちづくりの視点として、参加と協働によるまちづくりの重要性を掲げ、策定プロセスでも市民参加を重視している。

■聞き手

上田 英司(うえだ えいじ)

特定非営利活動法人日本NPOセンター 事務局次長/狛江市総合基本計画審議会 委員長職務代理者/狛江市市民活動支援センター 運営委員長

島根県出身。大学生のときに、国際ボランティアに参加し、市民活動の持つ可能性に魅せられ、大学を中退。国際ボランティアNGO・NICEの事務局長を経て、2017年日本NPOセンター入職。主に、企業の社員参加型ボランティア活動の企画・運営を担当。日本ボランティアコーディネーター協会理事、国立青少年教育振興機構 評価委員を兼任。