【開催報告】2020.10.16 地方創生臨時交付金を題材にNPOと行政の協働を深める(NPOと行政の対話を促進するための連続講座 第3回 新型コロナウィルス特別編)

NPOと行政の対話を促進するための連続講座 第3回として「新型コロナウイルス特別編」をオンラインで開催しました。

当日は、内閣府地方創生推進事務局参事官補佐(地域再生担当) の宇佐見 清さん、三重県環境生活部ダイバーシティ社会推進課の牧田 拓巳さん、特定非営利活動法人みえNPOネットワークセンター・みえ市民活動ボランティアセンターの新海 洋子さんに話題提供と事例報告をしていただきました。聞き手として、地方創生臨時交付金のNPOへの活用支援に尽力している認定特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会の関口宏聡さんをお招きし、政府・自治体・NPOの三者で緊急時におけるNPOと行政の協働について議論を深めました。

地方創生臨時交付金とは
新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けている地域経済や住民生活の支援を目的に、内閣府から地方公共団体へ交付されたものです。NPOに関連する事業としては、NPOの活動経費支援、ITアドバイザー派遣等による新しい生活様式への対応支援、団体への伴走支援・相談窓口の設置などで各地の実情に応じて活用されています。

事例報告
三重県では、交付金の活用に先立って県の担当者と中間支援組織が対話を行い、交付金を活用して、新しい生活様式に対応したNPOの活動を後押しする「NPO活動再開支援補助金」などの独自の支援が行われました。事例報告では、対話から協働の取り組みへとつなげたプロセスについて牧田さん、新海さんそれぞれの立場から紹介がありました。
(参考)三重県のNPO支援について

適切な支援のための緊急アンケートの実施
新型コロナウイルスによるNPOへの影響が深まる中、三重県とNPO法人みえNPOネットワークセンターが協働で運営する「みえ市民活動ボランティアセンター」では、新型コロナウイルス感染症対策の影響に関する実態把握、適切な支援や対応の検討を目的に、県内市町、県内中間支援組織と連携して緊急アンケートを実施しました。これは「新型コロナウイルスによってNPOが受けた影響がわからない」「根拠を持って対策を立てたいが調査するネットワークがない」という三重県と、県内の幅広いNPOの状況を把握して支援活動の方針をつくろうと考えていたみえNPOネットワークセンターの意思が合致したことで実現しました。

見えてきた課題と役割分担
アンケート結果から、新型コロナウイルスの影響と課題、NPOと自治体がそれぞれできること、協働でできることが明らかになってきました。

県と中間支援組織が互いにもっている資源を生かす取り組みとして
(1)NPOからの相談窓口の開設とオンライン講座の開催
(2)NPOの新しい生活様式に対応した活動を支援する補助金の創設
という支援の大枠を決め、補正予算の議論に入りました。庁内の議論では、この取り組みが、県民、特に新型コロナウイルスの影響を受ける要配慮者の命・暮らし・生活を守るための緊急支援であることを強調。また、アンケート結果を受けて中間支援組織が責任を持って役割を担うと決めていたことから、その必要性、実効性、協働の効果、費用を粘り強く説明し、最終的に実現に至りました。

緊急時下におけるNPOと行政の協働の重要性
今回の事例にあった協働のポイントは中間支援組織が課題と支援の絵を描き、NPOの声を可視化して行政と対話し、取り組みを実現できるように展開したこと、他方、行政は中間支援組織の強みを把握した上で、役割分担をしながら協働で取り組める糸口を探ったことだったといえます。
実現に向けてさまざまな壁にぶつかりながらやりとりしてきた牧田さん、新海さんからは「新型コロナウイルスによる緊急自体宣言下でも、行政とNPOが対話して協働できる」、そして「互いの強みを冷静に共有し、対話の素地を作り続けていくことが重要であること」を最後に共有いただきました。

■話題提供

宇佐見 清(うさみ さや)さん

内閣府地方創生推進事務局参事官補佐(地域再生担当) 
平成25年に国土交通省に入省し、地域交通、環境、インフラ輸出などの分野に従事。令和元年10月より内閣府地方創生推進事務局に出向し、エリアマネジメント活動など、地域住民が中心となったまちづくりの取組を推進。令和2年4月より、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の担当として、同交付金の活用事例集の作成や「地域未来構想20 オープンラボ(※)」の創設・運営などに取り組む。※新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用に当たって、地方公共団体と各分野の専門家(民間企業やNPO等)の連携を推進するためのプラットフォーム。

■事例報告

牧田 拓巳(まきた たくみ)さん

三重県環境生活部ダイバーシティ社会推進課NPO班 班長

 

1996年4月に三重県庁に採用され、観光、土木、国際、商工、交通などの分野に従事。2003~2005年度の国際分野担当時にNPO との協働を経験。2019年4月から三重県環境生活部ダイバーシティ社会推進課NPO班 班長。

新海 洋子(しんかい ようこ)さん

特定非営利活動法人 みえNPOネットワークセンター
みえ市民活動ボランティアセンター センター長

1989年に公益財団法人名古屋YWCAに就職、青少年育成、異文化理解事業等を担当。NPO法人中部リサイクル運動市民にて、行政・企業とのパートナーシップによる「環境教育」「環境コミュニケーション」事業等を担当。2015年よりNPO法人ボランタリーネイバーズに就職し、2018年3月まで環境省中部環境パートナーシップオフィス、中部地方ESD活動支援センターで、自治体、企業、NPO/NGOを対象に、中部7県の協働事業、ESD事業等に取組む。2019年5月一般社団法人SDGsコミュニティ設立、代表理事となる。NPO法人持続化可能な開発のための教育推進会議理事、NPO法人ボランタリーネイバーズ主任研究員。2020年4月より現職。

■聞き手

関口 宏聡(せきぐち ひろあき)さん

認定特定非営利活動法人 シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 代表理事

2003年から環境NPOにて子ども自然体験活動などを行う。2007年6月からシーズに勤務し、2009年の日本ファンドレイジング協会設立に尽力。2011年の「新寄付税制・NPO法改正」実現において、NPO側の現状や意見を取りまとめ、省庁・国会議員へのロビー活動を担ってきた。この改正NPO法成立以降は、認定NPO法人制度の普及のため、日本全国を駆け巡り、これまでに300以上の講演をしてきているほか、NPO法人の認定NPO法人取得・維持の相談のコンサルティングを務める。また、条例指定の普及をすすめる為、奈良市NPO法人条例指定制度検討委員会委員(2012年~)、神奈川県指定NPO法人審査会委員(2011年~)など。新型コロナウィルスにより影響を受けるNPOを支援するため、要望・提言活動を推進する。