【開催報告】第1回「Otemachi Discovery Salon 災害と林業 企業の森が安全であるために」


2021年3月22日に第1回「Otemachi Discovery Salon」を開催いたしました。第1回目は、「災害と林業 企業の森が安全であるために」をテーマに、特定非営利活動法人 自伐型林業推進協会 代表理事の中嶋 健造さんからお話しいただきました。

現在の日本の林業政策は標準伐期を40年とし、山林を大規模集約し林材を大量生産・大量伐採をする方針になっています。その結果、大規模な作業を行うために大きな道が敷設され、皆伐(すべての木を伐採)することで山を支える基盤が弱くなり土砂災害を引き起こす原因となってしまっている実態をご説明いただきました。


道幅2.5メートルの小さな作業道を敷設し、長伐期多間伐施業(長期間に渡り間伐を繰り返す施業)を展開する自伐型林業は、次々と山を変え皆伐す現行林業とは違い、1つの山で長く間伐することで高品質の大樹や生物多様性の観点からも豊かで持続可能な山林環境を生み出すものです。

企業ではCSR活動やSDGsの採択を受けて、社会貢献活動の一環として『企業の森づくり活動』に取り組む企業は年々増加しています。しかし、その多くの森林の運営管理は、日本の林業政策の中で実施される管理手法のため、土砂災害等を引き起こす危険性が高いのが実情で、見直す必要があると考えています。

全国各地で自伐型林業を実施する森林は綿密に計画を立て、災害を引き起こす原因の1つである作業道も最低限にして敷設することにより砂防堰堤の役割を果たしています。そのため過去の災害時においても自伐型林業を行っている森林には土砂災害が起こりにくくなっています。また自伐型林業を進めたことにより、地域の新しい仕事づくりにも貢献するという副次効果も生み出しています。(例として高知県佐川町における事例について写真や動画を基にご説明頂きました。)

参加者の方からは、森林管理の現状の問題点を知り、改めて自社が所有する森林の管理・運営面について再考する必要があると感じた。林業政策の見直しに向けた企業の姿勢のあり方、森林を所有するだけでなく新たな地域づくりの連携に向けた働きかけ等の必要性についてなど、沢山のご感想やご意見を頂きました。

今回は、コロナ禍の中でも特に、年度末の開催ということもあり、ご参加頂けなかった方もいらっしゃったかと思いますが、2回目以降も皆さまに興味を持って頂けるテーマを設定しながら、開催して参りますので、本企画の主旨にご興味の有る方は、どなたでも大歓迎ですのでご参加をお待ちいたしております。

■第2回 Otemachi Discovery Salon(5/31)
「注目のフードバンクの多様性を知り、これからの真のあり方を考える」

■第1回 ゲストスピーカー

中嶋 健造(なかじま けんぞう)さん

特定非営利活動法人 自伐型林業推進協会 代表理事

NPO法人「土佐の森・救援隊」設立に参画し、現在理事長。山の現場で自伐林業に驚き興味を持ち、地域に根ざした脱温暖化・環境共生型林業が自伐林業であることを確信し、「自伐林業+シンプルなバイオマス利用+地域通貨」を組み合わせた「土佐の森方式」を確立させた。平成26年に全国の自伐型林業展開を支援するNPO法人「自伐型林業推進協会」を立ち上げ現職に至る。
自伐型林業で衰退産業化した現行林業を根本から立て直し、森林率7割の日本林業・木材産業で100万人就業を実現させ、『世界をリードする森林大国日本』を目指して活動にまい進している。主な著書に「New自伐型林業のすすめ」「バイオマス材収入から始める副業的自伐林業」(いずれも全国林業改良普及協会)。総務省「地域の元気創造有識者会議」委員など。