【開催報告】2020.9.25 NPOと行政の協働とは(NPOと行政の対話を促進するための連続講座 第1回基礎編)

NPOと行政の対話を促進するための連続講座、第1回目となる基礎編をオンラインで開催しました。第1回は、神奈川県庁職員としてかながわ県民活動サポートセンターで10年間の勤務経験を有する日本NPOセンター特別研究員の椎野修平をレクチャーの話し手、NPO支援に尽力する市民活動家である子どもの未来サポートオフィス代表の米田佐知子さんを聞き手として、行政側とNPO側の対話に近い形で開催しました。レクチャー、質疑応答の時間で、NPOと行政にとって、「相互理解」「対等性」「目的共有」などの忘れがちな協働の基礎を改めて見つめ直していただく機会になりました。

NPOと行政の協働の歴史
レクチャーでは、まずバブル崩壊後の行財政改革や地方分権、市民自治の要請があり、これに応えるべく協働は導入されてきた時代的背景の説明がありました。協働は、行政とNPOの「相互理解」、「対等性」、「目的共有」の下で社会サービスを供給する活動形態として広く自治体内で位置付けられていること、NPOと行政が社会サービスの供給のために人・物・金・情報等の経営資源を出し合うことによって協働は成り立つことを改めて解説しました。一方、現行制度下で最も一般的な「協働」の形である行政が委託料や補助金といった勘定項目で資金提供をし、それ以外の資源をすべてNPOが負担することへの問題意識も共有されました。

協働の今日的課題
行政とNPOの双方が現状の制度にある程度満足してしまっていること、担当者の人事異動により協働の本来の意義が担当課内で継承されていないことを挙げ、これにより協働がルーティンワーク化してしまっていることを課題としてあげました。

NPOと行政の実践的な課題
講座の後半では、米田さん主導の下、参加者からの質問に椎野と米田さんが答えました。そこでは、協働において議会や議員が果たすべき役割、新しい協働の形として一般化しつつある「協働契約」、NPO支援センターが担うべき「協働コーディネーター」という役割、協働事業の「評価」の重要性と実践例、担当者の変更に動じない協働の方法論など、行政とNPOが今すぐ検討すべき実践的な課題が示されました。最後に、それぞれの当事者が持つべき姿勢について、行政と協働するNPOの8つの姿勢を示して終了しました。

日本NPOセンターでは、望ましい協働の姿を、NPOと行政の互いの立場からまとめた「NPOと協働する行政職員の8つの姿勢」と「行政と協働するNPOの8つの姿勢」をブックレットとして発行しています。こちらも併せてご参照ください。


■講師

椎野 修平(しいの しゅうへい)
特定非営利活動法人日本NPOセンター 特別研究員

神奈川県庁にて税務、国際交流、児童福祉、広報、商工部局などの業務を担当。1996年4月に全国に先駆けて開設された「かながわ県民活動サポートセンター」に10年間勤務し、市民活動やNPOの支援に取り組む。この間に「かながわボランタリー活動推進基金21」の設立に関わり、NPOと行政の協働事業への資金提供の仕組みを構築。退職後に経済団体で中小企業の経営支援や商店街振興などに携わった後、2012年4月より現職。

■聞き手

米田 佐知子(よねだ さちこ)さん

子どもの未来サポートオフィス 代表

1996 年子育て当事者によるまちづくりNPO子育てまち育て塾を立ち上げ、2001年に横浜市域、神奈川県域の子育て支援ネットワークをコーディネイト。川崎ボランティアセンター非常勤職員、かながわ県民活動サポートセンターアドバイザー、まちづくり情報センターかながわスタッフなど、NPOの中間支援活動に関わり2001年以降、寄付財源でNPOへ助成を行う 神奈川子ども未来ファンドの設立運営に参画、事務局長として10年間、ファンドレイジング・助成プログラムの実務を行う。2013年に「子どもの未来サポートオフィス」を立ち上げ。子ども・子育て支援の社会資源をつなぎ、CSRやNPO等の支援を行う。企業行政等の各種助成プログラム選考委員、かながわ協働推進協議会委員、横浜市立大学地(知)の拠点学による地域創造推進事業外部評価委員会委員(H25~H30) 、埼玉県こどもの居場所づくりアドバイザー(R1)、横浜市子どもの居場所づくり支援アドバイザー(R1)など。NPOの組織運営、資金調達、コミュニティカフェ、こども食堂等に関する講座講師を多数務める。日本ファンドレイジング協会准認定ファンドレイザー。かながわ福祉サービス第三者評価調査者。